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老舗と革新 |
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私の手元に、京都市が市制100周年を記念して市内の老舗を調査した出版物があります。それによれば、老舗の当主たちが、何世紀に もわたって家業が続いた理由として最も多くあげた言葉は「革新」でした。老舗と聞けば、伝統を守り続けるイメージが強く、「革新」とはおよそ縁遠い印象があるかもしれません。しかし、時代とともに変化する社会や文化の中で、同じことを繰り返していては何百年も生き残れるはずがありません。老舗の当主たちは、正直に社会の評価を受け、覚悟を決めて自らを変えてきたのだと思います。そうした自己改革の姿勢がどこまで徹底するかによって企業の寿命は決まるのだと思います。 |
意思の共有 |
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CSRは、企業が社会との相互作用を通じて 持続可能な社会の実現に貢献するための基本的コンセプトです。欧米での取り組みや格付け機関の評価もおおいに参考にすべきですが、まずは社会との関係について自分達が立脚する現実を正しく理解し、社内外の英知を集め、バランスのよい成長を築く意思を共有することが大切でしょう。 企業の自己改革も同様で、ひと握りの天才や英雄によって実現できるものではありません。見識を備えたリーダーシップ、社会との豊かな接点をもった従業員、そして互いを尊重するコミュ ニケーションが連動して初めて成り立ちます。 社会も企業も自分達で変革を作る気概を持って事にあたらないと何も変えられません。それだけに、一人ひとりが思う存分に能力を発揮できる企業文化が社会の共感を生むのだと思います。 |
挑戦がおもしろさを生む |
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私は、一人ひとりがおもしろいと感じて仕事に打ち込む状況を作ることが何よりも大切と考えます。おもしろいということはやりがいがあるということでもあります。自分がおもしろくない仕事の成果が社会にとって魅力的であるわけがありません。ですから私は、「おもしろい」が富士ゼロックスのCSRの命綱と考えています。 こうした仕事のおもしろさの源泉は、よい仲間と試行錯誤する知的な刺激や挑戦のもたらす爽快さにあると思います。それには、挑戦や失敗を許す上位職の度量も必要です。我々は若い頃当時の経営者達に随分思い切って仕事を任せてもらいました。残念ながら、最近は仕事や職場のストレスだけが増えて、仕事のおもしろさを語り合う機会や、若い人に挑戦の機会を与えることも減ったように 感じます。それは我々年配者に「任せる」勇気が少なくなったからでしょうか。 心に余裕がなくなり、ほかから支えられている自分が見えなくなったときに自分も仕事も孤立します。社内外の信頼が万事の基盤であることを心にとめて仕事に励んでほしいと思います。 |
社会との接点 |
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社内外の信頼を得るうえで大切なのは、役員や従業員の一人ひとりが企業の内向きの発想に閉じこもらず、社会との接点を豊かにし て外部の視点を仕事や職場に持ち込むことであると思います。そして現状に甘んじることなく、望ましい会社の在り方を自由闊達に議論することが大切です。 富士ゼロックスでは早くから、私生活との調和を支える人事制度や社会貢献活動の支援に注力してきました。これらは、高感度な人材を増やし、社会のニーズを先取りする革新力につながると考えて導入しました。短期的には職場の生産性を下げたり、ほかの従業員の負担を増すこともあるかもしれません。しかし、それを含めて実現の知恵を出し合うことで、結果的に職場の連帯感を強め、会社の基盤を確かなものにするのだと、私はそのように信じています。 |
革新の基盤は人と人の信頼 |
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最近では、日本でも随分CSRの理解が深まり、ワークライフバランス(仕事と私生活の調和)や処遇格差の解消といった話題が新 聞紙上を賑わすようになりました。また、富士ゼロックスが生産の多くを行なっている中国でも、環境対策や人権・労務の改善を目的にCSRを促進する動きが活発になりました。 社会の事情はそれぞれに異なりますが、人を起点に経営するという考え方は、企業が社会に対する責任を果たすうえで普遍の原則だ と思います。これまで富士ゼロックスが挑戦してきたのは、従業員一人ひとりの能力を活かし、豊かなイノベーションを社会に還元する、常に高い目標に挑戦する企業であり続ける、ということです。これは、社会に対するミッションを基盤とする米国ゼロックスコーポレーションの創業精神と高い品質を追求する富士フイルムの経営姿勢から受け継いだ富士ゼロックスの大切な財産であり、DNAでもあります。これからも、いろいろな人材が当社の事業を支えてくれると思いますが、この高い志はいつまでも守り抜いてほしいと願っています。 |