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第三者意見

多田 博之氏

富士ゼロックスサステナビリティレポート2007は、54ページに抑制した冊子と豊富な情報量を包含したWEBとの二段構えになっており、このフレーム自体は珍しくはないものの、前者に〈理解容易性〉、〈比較可能性〉の重きを置き、後者に〈網羅性〉、〈専門性〉の役割を担わせるという使い分け意図が明確であり、紙媒体から電子版への導線も含め、読者視点の配慮が随所に散りばめられた、誠実な報告と思います。

理念からトップコミットメント、ハイライトは流れがあり、読み応えがあります。ハイライト1 、2は、グローバルなサプライチェーンマネジメントという最も今日的に重要かつ困難なテーマに対するこの会社の決意と実行成果を示しています。1は本業を通しての貢献、2は丸投げでなく責任を引き受けるという強い意志、3は地域特性、多様性への視座であり、登場する13名の社内外ステークホルダーの顔がよく見え、富士ゼロックスのCSRを支えるものを語る小林陽太郎相談役最高顧問まで、よどみなくつながり、一貫して企業品質を追求する姿勢が感じ取れます。経営者のビジョンも含め、富士ゼロックスが積み重ねてきたCSR経営の成熟度を具体的に示す重厚感ある内容となっています。

Management & Performanceからの後半部は、ステークホルダー別の記載となっており、読みやすさは担保されているものの、単調な記述に終始しており、たとえば株主・投資家とのかかわりなどは、これら重要ステークホルダーに対して、サステナビリティのためにどういう関係性を構築したいのかが分かりません。平板な印象を与えるのは、「評価」の観点が全般にやや希薄な書き方になっているからではないでしょうか。「何をしたか」ではなく、「何ができて、何ができなかったのか、できなかったことをどう評価し、是正アクションを取ろうとしているのか」、PDCAの基本フレーム、原点を今一度認識し、そこを基軸とした進捗を表現すべきと思います。

多くの紙数が割かれた環境は、パフォーマンス改善への多様な取り組みは高いレベルと思いますが、喫緊の課題である温暖化を見るならば、これは「将来世代とのかかわり」だけでなく、世代内の地域間公正の問題でもあるという課題認識が不可欠と考えます。その認識に立つならば、温暖化防止は環境効率指標だけでは限界があり、もはや絶対量ベースでの長期スパンのCO2削減の覚悟を示すべき時ではないでしょうか。また海外への大幅な生産シフトの中で、化学物質は海外を含めた連結の情報開示が求められ、水資源、生物多様性への取り組みへの言及があってもよいと思います。

富士ゼロックスが連綿と守り、育ててきた理念、価値、ビジョン、企業品質、それらの先に広がる、目指すべき持続可能な社会像は何でしょうか。2030年、2050年、長い時間軸上での未来像が考察され、描かれ、世界中のステークホルダーと共有され、共感と信頼の輪が広がることを期待します。

遠い水平線のかなたでもその島影が見えたとき、個々のハイライトは物語へと進化し、THE DOCUMENTCOMPANYのサステナビリティは社会のサステナビリティと重なるのだと思います。

水尾 順一氏

富士ゼロックスのサステナビリティレポート2007(以下、当レポートと称す)は、冊子版によるCSR活動のエッセンスと、ウエブ版の総合的なレポートにより体系的な報告書として説明責任を十分に果たしています。企業でCSRの実務を推進し、大学でその理論構築をしながら、“理論と実践の融合”を社会に促進してきた立場から、以下に第三者意見を申し述べます。

高く評価できる点:本業を通じた「守りと攻めのCSR」への取り組みを知ることができます。

CSRはトップのコミットメント(関与)と、現場のイン ボルブメント(巻き込み)による相乗作用が成功の秘訣です。当レポートにあるトップのメッセージから、企業品質に対する強い信念を知ることができます。さらに、その思いが食品のトレーサビリティや情報セキュリティなど、人に安全・安心を提供するCSRのサポート体制に反映されていることがよく開示されています。安全・安心への取り組みは、企業として当然すべきこと、すなわち“当為性”であり、そのことを支援する活動もドキュメントカンパニーとして社会から期待される“守りのCSR”ということができます。

また、取引先企業と学びあうCSRでは、近年重視されているCSR調達への取り組みや、富士ゼロックスコリア(韓国)の“人を起点とした経営”の報告を通じてグローバル展開を進めるCSRを知ることができます。これらは、当社の“卓越性”を追及する“攻めのCSR”を具現化したものであり、当為性とあわせて、事業活動を通じたCSRがよく開示されています。

今後の改善に期待する点:国内の販売第一線を巻き込んだサプライチェーンのCSRを期待します。

富士ゼロックスは、“モーレツからビューティフルへ(1970年)”、“ニュー・ワーク・ウエイ(1988年)”、さらにはボランティア休職制度の“ソーシャル・サービス制度(1990年)”など、常に時代を先取りして社会に新しいライフスタイルやワークスタイルを提案してきました。今回のサステナビリティレポートの中核となっている経営思想である「企業品質」からも、その遺伝子を読み取ることができますが、それが現場第一線でどのように受け継がれ実践されているか、“三歩、先行くCSR”の活動事例として、具体的に社会に提示することも求められます。

さらに言えば、CSRの活動は社員への働きかけと、あわせて社員の取り組みに焦点をあてることが極めて重要です。なぜなら、社員は重要なステークホルダーであると同時に、一方ではこの活動を推進するキーマンともなるからです。

このことを前提にしてサステナビリティレポートを開示するなら、本社を支える国内の営業拠点となる34の販売会社の取り組みにスポットを当てることが極めて重要となります。例えば、富士ゼロックス千葉(株)は2004年度に日本経営品質賞を受賞し、また、富士ゼロックス東京(株)では、“東京DREAM100人委員会”を結成して主体的な取り組みを進めるなど、国内の販売会社で「高い企業品質」を目指して斬新かつ秀逸な活動が展開されています。本社の取り組みに加えて、現場を重視し、現場を巻き込んだ活動を報告することで、情報共有と社員の意識高揚、さらにはステークホルダー・エンゲージメント(参画)の促進にも結びつきます。

そのためには、国内外における富士ゼロックスの関係会社も含めて“富士ゼロックスリーグの企業品質サポーター”を募り、彼ら・彼女たちを核として、サッカーゲーム感覚による全社一体型の“強い、やさしい、おもしろい”CSR活動の展開を強く期待します。

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