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第三者意見

後藤 敏彦氏

世界が対応を迫られている3つの重要課題は、気候変動、生物多様性、南北問題です。産業革命以来の経済社会システムの負の側面で、これを解決する文明史的変革が求められています。あまりにも大きな問題で企業とは無関係のように思いがちですが、グローバリゼーションの中、そのメイン・アクターとして企業の取り組みに期待がかかっています。制約ではなく事業の好機と考え期待を先取りして取り組む企業が社会から信頼される、すなわちそれがCSRであり、21世紀の経済社会システムでの勝ち組になることを意味していると思います。

「CSRとは企業品質を追求、向上することです」と明確に定義付けられ、緒言で「CSRは企業経営そのもの」とし、3つのCで徹底を図られています。報告書に記載された3つの事例はこれが重要(マテリアル)ということを示されたものと理解しました。

CSR全般についてビジョン、ミッションを掲げた後、多くの日本企業は包括的な方針はあるものの具体的事項になると方針等はあいまいのまま実施しているのが一般的です。貴社は、項目ごとに具体的な方針、仕組み、実施計画等々が極めて明確に示されていることが特徴です。取り組みの継続性とパフォーマンス評価に有益であると思いますので高く評価したい。結果についても、従業員満足度について経年推移の数値情報やマイナス情報の開示もあり、また、従業員の多様化や柔軟な就労形態対応について子会社からも学ぼうという姿勢など好感がもてます。

地球環境・将来世代とのかかわりについては実に多様な取り組みをされています。三つの重点領域の中で「天然資源の保全」という生物多様性に係わる事項を早くから掲げられているのは敬服します。これらについてはCSR調達が極めて大きな鍵となります。CSR調達については大変な困難を伴うと思いますが、グローバル共栄会と一緒に着実に進めていこうとされていることがよく分かります。先行き一次調達先だけでなく末端までの取り組みを徹底されることを期待します。

古紙混入率偽装について多くの製紙会社の開き直りのように見える姿勢はいただけませんが、貴社の迅速な対応には敬意を表します。同時に、最終消費者には対応不可能な課題であることを常に念頭に置き生産者に注文をつけ続けていただきたいと考えます。
環境効率について掲げられた全社環境目標を10年単位で反復継続されたら極めて効果大であり期待しています。ただ、気候変動では総量が問題とされています。貴社の、ライフサイクル全体を通しての温室効果ガス(GHG)総量削減は重要、かつ有効な取り組みと評価しますが、自社グループ全体のGHG排出総量削減にも抜本策を考えるべき時期と思います。ここ10~15年の取り組みが最も重要といわれていますので、例えば2020年をターゲットとした中長期計画の検討も期待したい。

南北問題は技術移転、雇用創出、CSR調達等が企業としてもっとも貢献しうる分野です。営業地域全域でこの取り組みがなされているのはさすがです。ただ、情報開示は項目によっては単体データに止まっていますので、早急に連結ベースと主要国別のものが欲しいところです。社会貢献等について国内での取り組みには定評があり高く評価されていますが、これも海外のことがほとんどみえません。今後はプラン、ドゥー情報だけでなくチェック、アクト情報も期待したい。

報告編集に関連して、理解しやすいように多くの指標を数値化されていることは高く評価します。ただ、ウェブとの併用を徹底してほとんどの詳細情報を移されていることはよいのですが、冊子でウェブとの関連の説明が最後になっているのは課題です。企業情報提供に関する全体像や考え方は最初に示すべきと考えます。

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