ワーク・ライフ・バランスへの取り組み方針
富士ゼロックスは、1988年より展開を開始した経営刷新運動「ニューワークウエイ(NWW)」の狙いである「個の尊重」「個人の創造性をひき出す仕事のあり方と環境づくり」という方針のもと、1988年の育児休職制度導入、1990年の家族介護休職制度導入など、仕事と家庭の両立を支援する就労環境づくりに早くから取り組んできました。この結果、現在では、従業員が育児などの家庭的な事情を理由として仕事を辞めることはほとんどなく、制度を活用することによって仕事を継続することが当たり前という風土が定着しています。現在の課題は、特定の従業員の両立支援ではなく、すべての従業員が仕事で能力を発揮し、同時に個人の生活の充実を図ることが可能な、全従業員を見据えた「ワーク・ライフ・バランス」の実現と定着であり、そのためには単なる制度の拡充と定着だけでなく、活動の軸を企業全体の働き方の変革へと大きく踏み出す必要があります。そうした課題認識の下、2007年3月に、あらためてワーク・ライフ・バランスの推進に関する方針を発表し、より生産性が高く、従業員が生き生きと働くことが可能なワーク・ルールやマネジメントの実現に向けた活動を開始しています。
2007年度の取り組み
当社では2008年4月に育児支援制度の改定を行ないました。2007年度はそのための具体的な内容の検討や労働組合との協議などを実施しています。具体的には、妻が出産する際の特別休暇の付与日数を拡大、育児のための勤務時間短縮制度の適用期間限度を小学校3年生まで拡大、育児のための深夜業および時間外労働制限制度の適用期間限度を小学校6年生まで拡大、再雇用制度の対象者および対象期間を拡大という4点について改定を行ないました。今後は、介護に携わる従業員が働きやすい職場環境を作るための制度改定なども順次検討していきます。
2008年4月の制度改定の直接の対象は育児を担う従業員です。しかし、真の狙いは制度改定をきっかけにダイバーシティやワーク・ライフ・バランスの価値観を社内に根付かせ、「今の職場での仕事のやり方を従業員全員で見直していくこと」にあります。そのためには、マネジメントの認識と従業員一人ひとりの自覚が重要と考えています。
具体的には、ワーク・ライフ・バランスに対する現場マネジャーの意識向上のため、新任マネジャー研修や労務管理教育などの研修時にワーク・ライフ・バランスの意味や重要性についての理解を深めるための教育を行っています。現状ではマネジャー層の認識にもバラツキがあるため一段の意識変革に向けた啓発の仕掛けが必要と認識しています。
育児支援諸制度の概要図

介護支援諸制度の概要図

育児休職および介護休職取得者数の推移(富士ゼロックス単独)

これらの施策の結果が出るのはこれからですが、2007年度は出産した女性従業員の100%が育児休職を取得し(2007年4月1日~2008年3月末日の実績)、また、2007年度は5名の男性従業員が育児休職を取得しました。

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安藤良紀 営業本部 首都圏第一支社 城東支店
2007年5月に二人目の子どもが産まれ、7月から一カ月間育児休暇(以下、育休)を取りました。妻が専業主婦なので差し迫った必要性はありませんでしたが、大切なこの時期に子どもと一緒に過ごしたいと思い、制度を利用しました。
妻には最初は、育休中に会社の机がなくなる心配をされて反対されましたが、今は夫婦そろってチャンスがあるのならもう一回取りたいと思っています。限られた機会の中で、休職中の一カ月はとても貴重な時間でした。 |
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仕事上、「お客様との関係」を考えてしまい心配していたのですが、担当しているお客様はほぼ好意的に受け取っていただけて、引継ぎをしておいてくれれば問題ないという反応でした。一方、社内で引き継いでくれた周りの方々は本当に大変な思いでフォローをしてくれ、とても感謝しています。ただ、周囲の皆さんに少なからぬ負荷をかけてしまうのは大きな問題だと思います。
家庭によって事情や考え方が違うので、育休を取ることだけがあるべきライフスタイルとは思いませんが、育児にかかわる意思のある方が育休を取得しにくくなっていることが問題だと思います。男性の育休の取得自体をを否定する人は少なくなってきていると思いますが、早めに周りの方に打ち明けて、協力してもらえる人間関係を築くことが必要です。育休の取得に際しては大変なこともありますが、やり方さえ工夫すればそれだけの価値のある時間だと思いますので、取得したい人はぜひ取得して欲しいですね。
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上司の声 営業本部 首都圏第一支社 城東支店 マネジャー 鈴木 重雄
安藤さんから相談を受けた際、今までに男性営業職が育休を取得したという実績を聞いたことがなかったため、素直に応援したいと思いました。取得実現に向けては、取得時期や不在時の対応など、配慮しなければいけないことが多くありましたが、それも管理職としてマネジメントの幅を広げる良いチャンスだと思いました。安藤さんの休暇中、きちんと役割分担をしたとはいえ、各メンバーの業務負荷は日を追うごとに増える一方でしたので、実務を受け持ったシステム営業やアシスタントの精神的なケアが大変でした。この制度を営業部門で普及させるには、「メンバーの協力と柔軟な支援体制」が必要と思われます。そして、取得する側のマナーとして「メンバーへ心から感謝」できる人が、この制度を利用する有資格者だと思います。支援体制においては、支店や支社のマネジメント層の柔軟な理解が必要だと実感します。人が足りない急場での支店支社スタッフの協力や、自分の仕事に優先してまで安藤さんの仕事に取組む必要性が多々あったことから、サポートするメンバーへの評価面の工夫も必要と感じます。柔軟な理解や工夫が「同意したいのはやまやまだが…」といった隙間を埋めるものと考えます。
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梅原塁 営業本部 首都圏第一支社 営業推進部
現在は、首都圏第一支社でサービスビジネスの営業をしています。育児休暇取得前はシステム営業をしていました。2006年10月末に第一子が産まれ、2007年の6月から10月までの4カ月間育児休暇を取りました。共働きの妻が仕事の繁忙期を迎えることや、お互いの実家が東京にないことなどから休職の必要性は高かったのですが、子どもと一緒に過ごしたいというのが休職した最大の理由です。 |
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最初、上司に育休を2カ月で相談したところ、上司が「4カ月休めば」と言ってくれたのが嬉しかったですね。ちょうど案件が一区切りするタイミングでしたが、引き継ぎを含め周囲の皆さんには本当にご協力いただきました。私は専門型の営業なので、案件の状況でスケジュールが見通せましたが、アカウント営業(特定のお客様を担当)の方が取るのは大変だと思います。
普段の働き方についても、子どもが生まれてからは、早く帰るようになり、子どもがいつ熱を出すかわからないので今日できる仕事は少しでも前倒しして終わらせるように意識が変わりました。 男性で育休を取りたい方は、とにかく後悔しないように、周囲に早めのアナウンスをすることと、取得したいという意思の強さが必要だと思います。
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上司の声 営業本部 首都圏第一支社 港支店 支店長 古川 利正 営業本部 首都圏第一支社 港支店 マネジャー 武田 圭三
梅原さんから初めて育休取得の希望を聞いたとき、主軸の営業の一人が抜けることによる仕事の分担やお客様の対応など一瞬不安もよぎりましたが、すぐに賛同しました。 育休取得に関しては、お客様にも社内にも事前説明ですぐ理解をしていただけました。梅原さんは復職後に他部署に異動になりましたが、異動後の部署のマネジャーが事情をよく知っていたので、特に問題はなかったです。復職後の彼に違和感はありませんでしたが、仕事のブランク後に、営業職に必要な勇気を取り戻すのには若干の時間が必要かもしれません。 男性の育休取得は、少子化問題の解決へのひとつのアプローチ方法として有効だと思います。男性の育休取得がなかなか一般的にならないのは、お客様や社内の問題ではなく、日本全体の意識、特に親の意見などが一つの要因になっているのではないかと思います。 |
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2004年2月から2006年7月にかけて、在宅勤務の実験的な導入を行ない、のべ317人の従業員が参加しました。参加した従業員からは、「家族と過ごす時間が増えて生活が充実感がでた」、「仕事を効率的に行ないたい人にとって望ましい働き方である」などの声が寄せられています。実験の結果、定型的業務やチームの生産性に大きな効果があるとは言い切れないものの、少なくともマイナスとはなっておらず、部分的な在宅勤務は、創造的業務の生産性や従業員の自律性向上に効果があることがわかりました。今後、本格的な導入に向けて検討を進めていきます。