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地球温暖化、派遣労働の問題、企業不祥事など、CSRをめぐる課題への関心が高まり、企業のそれらへの取り組みがますます重要になってまいりました。そうした中、私は、4年間続けたCSR会議を廃止しました。一見世の中の流れと逆行するようですが、そうではありません。CSRは企業経営そのものであり、その対応は企業活動のすべてのプロセスの中で考えてこそ意味があります。見栄えを競ったり、単に好感度企業のイメージづくりのためではなく、従業員一人ひとりが日常業務のなかで自然体で行なうことが本来のCSRであると思います。他人からCSRを言われないと主体的に動かない状況は恥ずかしいと思います。すべての役員や従業員がそうした考えと感性で行動できる企業となるよう、さらなる進化を図る所存です。
会社と社会にとって意味のある仕事をするには、お客様の期待を徹底的に理解することが大切です。そのため私は、‘三つのC’を社内で徹底しています。
最初のCはCustomerです。お客様一人ひとりとの接点をしっかり保ち、ニーズを聴き取り、課題解決から普遍的なビジネス・プラットホームをつくり出せるよう、すべての従業員が営業的なセンスを持ってほしいと指示しています。なにか一つ大ヒット商品をつくれば安泰という時代ではありません。お客様が期待し発信するニーズや情報にきちんと向き合う姿勢を大切にしてまいります。
二番目のCは、Competencyです。これからのビジネスでは、お客様の課題解決に的確にお応えすると同時に、感性、美、善の要素が求められます。いずれも、画一的な答えはありません。社内に蓄積された知恵や経験を効果的に結びつけて、そして内部にない能力は外部のパートナーと手を組んで、圧倒的かつユニークな魅力を生み出す努力が必要です。多彩な人材の育成と活用を通じて、グローバルに通用する組織としての高いCompetencyを根付かせたいと考えています。
三番目のCは、Commitmentです。「いろいろ努力したけれど駄目だった」という姿勢では、社会に魅力ある価値を提供できません。自部門だけでできなければ役員や外部機関を動かすとか、万策が尽きるまで徹底しないと、お客様や社会から評価される課題解決は生まれないのだと、役員や従業員に繰り返し説いています。それほど気持ちを入れて仕事に取り組むことで、達成感や自己の成長を実感することができると思います。
2008年4月、当社は13年ぶりにコーポレートロゴを一新しました。ITの発展とビジネスのグローバル化に伴い、コミュニケーションの手段は、紙だけでなく、音声やマルチメディアも含めた多様な媒体へと進化しています。これまでは、ドキュメントを通じてお客様のコミュニケーションをお手伝いしてまいりましたが、さらにドキュメントを超えてお客様を支援するパートナーになるという決意、加えてグローバルなフィールドで躍動感のある企業に成長したいという願いを込めて、新しいコーポレートロゴを導入しました。その狙いのとおりの企業となるよう精進いたしますので、従前のロゴと同様、皆様に愛していただければ幸いです。
2007年度のレポートで、私は社会から信頼される企業となるために、富士ゼロックスが挑戦すべき課題として(1)CSRの精神に基づいたモノづくり(2)お客様のCSRに役立つ価値の提供(3)やりがいを持っていきいきと働ける環境をつくること、を掲げました。よく理解できたというご意見がある反面、どの目標に進もうとしているのか道筋が不明確であるといった厳しいご指摘も承りました。こうしたご意見を経営に反映して、この一年間、確実な改善につなげてまいりました。
本年度のレポートでは、私が大切に考える三つのC(前述)を代表する事例をハイライトに掲載しました。
第一は、複雑な国際分業が進むなか、あえて難しい商品開発に挑戦することで、我々が社会に提供すべき価値を問い直し、あわせて組織の連携強化を図った事例です。Customerに対する我々の姿勢を感じ取っていただきたいと思います。
第二は、国際人事制度のヒントを、欧米流マネジメントの先進国である富士ゼロックスオーストラリアに学び、それを富士ゼロックスおよび関連会社全体のナレッジに高めようと努力している人事スタッフの事例です。関連会社内部の知恵と経験を最大限に活用してCompetencyの強化を図る富士ゼロックス流のスタイルをご理解ください。
第三は、海外の現地サプライヤーを巻き込んでCSR調達活動を進めることで、相互にメリットのある、対等の協力関係を築こうとしている事例です。
品質のつくり込みや法令遵守の徹底への我々のCommitmentをお伝えしたいと思います。
当社は2012年に創業50周年を迎えますので、これを機に本年度は10年ビジョン策定に着手いたします。そのなかで「CSRはプラスアルファの仕事ではなく事業や経営そのものである」という認識を社内にもっと浸透させ、地に足の着いた自然体のCSRを組織全体で進めていきたいと考えております。
また、経営の責任者である私は、これを自身の重大な任務と認識して、CSRを織り込んだ理想の経営に全身全霊で打ち込むことを皆様にお約束申し上げます。
皆様からの忌憚のないご意見、ご感想をお待ちしております。
