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富士ゼロックス株式会社 代表取締役社長 山本忠人
冒頭のトップコミットメントで触れたとおり、2011年3月の東日本大震災への対応で当社が学んだことを皆様に報告します。
まず、震災に伴う停電の影響を受け、保守サービスのコールセンターや消耗品の受発注に支障をきたし、お客様の災害対応にご迷惑をお掛けしましたことは、いくつかの失策のなかでも痛恨の極みでした。昨今では災害時の社員安否確認システムや物資の緊急輸送ルールを導入されているお客様が多く、当社の複合機、プリンター、ファクス等は、その情報伝達を支える重要な役割を担っています。その大切な役割を十分に果たせなかったことの重大さを深刻に受け止めております。
また、製造業の多くの企業が経験されたように、当社でも組み立て部品の不足や物流機能の麻痺によって、生産と出荷が一時休止した結果、多くのお客様にご迷惑をお掛けしました。これまで事業継続計画(BCP)の整備に取り組んでまいりましたが、機能しなかった部分があった事実は謙虚に反省しなければなりません。サプライヤーの先の事業者で発生する事態まで考慮した内容になっていたか、経済性や効率性を理由に調達先や拠点を過度に絞り過ぎていないか、といった見直しを丁寧に行う必要があると認識しております。
その一方で、比較的うまく行動できた点もありました。当社では、これまでの災害支援の経験から、大規模な災害の発生時に行政や自衛隊の救援が届かない被災者に迅速で効果的な支援を行うNGOに対して資金・モノ・人・情報を提供する重要性を痛感していました。そこで今回の大震災では、NGO、企業、政府のパートナーシップで設立された国際救援組織ジャパン・プラットフォームを経由して、復興支援NGOに2億円の資金協力を行いました。
また、災害支援NGOシビックフォースと連携し、必要な物品リストを毎週木曜日に送ってもらい、そのリストに基づき、当社各事業拠点が輪番で支援物資を集めて金曜日に送り込む活動を続けました。さらに、復興支援NGOによるマニュアル作成や情報伝達向けに、当社オンデマンドプリントサービス(仙台・横浜)と複合機の無償利用サービスを提供しています。
現場の実需に基づく即効性のあるNGO向けの支援と、その後の復旧・復興を支える日本赤十字社や自治体向けの支援とをバランスよく使い分ける知恵を、企業サイドで身につけて、本当に有効な支援活動を考える必要性を再認識しました。
私は今年の経営方針の一つに「全社を挙げて災害復興に取り組もう」を入れました。7月4日から5日間、新入社員221名を支援ボランティアとして被災地自治体へ送り込み、「誰かのために、相手の目線で働く」という仕事の原点を体感してもらいました。今回の大震災は、これまでの無駄やおごりに気付き、新しい成長の道を探る、日本再生のきっかけにしなければなりません。ですから、富士ゼロックスおよび関連会社の社員一人ひとりが、いかにして社会の復興に貢献できるかを考えてほしいと思います。私もその先頭に立ち、調達、生産、販売などバリューチェーン全体にわたり当社の事業を見直し、社会の復興に貢献してまいります。
| 実施事項 | 時期・期間 | 対象 | ||
|---|---|---|---|---|
| 本業を活かした復興支援 | 1.複合機貸与 | 被災地災害対策本部等への複合機貸与 | 2011年3月~ 貸与後1年間以内 |
被災自治体 |
| 復興支援に携わるNGOへの複合機の貸与(ジャパン・プラットフォーム認可NGO)注1 | 2011年5月~ 貸与後1年間以内 |
復興支援NGO | ||
| 2.プリント支援 | 移動式オフィスコンビニによる被災証明発行支援 | 2011年5月 | 被災自治体、被災地 | |
| 被災顧客(印刷業)のビジネス支援 | 2012年3月まで | 被災顧客 | ||
| 避難所マニュアルや炊き出しの案内チラシなどの大量出力支援注1 | 同上 | 復興支援NGO、被災地 | ||
| 本業以外の復興支援 | 3.義援金 | ジャパン・プラットフォームに2億円 | 2011年3月 | 復興支援NGO |
| 4.社員募金 | 社員募金3,900万円を被災販売会社を通じて、被災した社員ならびに地域に寄付 | 2011年4月 | 被災社員/被災地 | |
| 500万円を富士フイルムグループ一員として東北3県の震災孤児などを支援する育英基金に拠出(富士フイルムグループ全体で約6,900万円) | 2011年4月 | 被災社員/被災地 | ||
| 5.支援物資発送 | 富士ゼロックスおよび関連会社各拠点で収集した支援物資をNGOを通じて被災地に発送 | 2011年3月~5月 | 被災地 | |
| 6.新入社員派遣 | 2011年度新入社員221名が被災地で復興支援を実施 | 2011年7月4日~8日 | 被災地 | |
| 7.社員ボランティア派遣 | 社員のボランティア休暇を活用し、継続的に被災地支援を実施注2 | 2011年9月~2012年3月まで | 被災地 | |
富士ゼロックス宮城
社長 惣水敦彦
3月11日14時46分の地震発生後、本社ビルから全員避難した仙台駅付近の公園で、大津波の発生を知りました。家族の安否を気遣う従業員・派遣社員の気持ちを考え、16時15分に帰宅を指示しました。二次災害が懸念されるなか、何を優先すべきかを、断片的な情報に基づいて判断するのは厳しい選択でした。3月12日に暫定対策本部を設置し、現金と自転車・バッテリー・用紙やトナー等の物資の確保に走り回りながら、24時間体制で従業員・派遣社員と家族の安否確認を続けました。さらに14日から、24時間体制でお客様の安否確認を開始しました。ネットワークが寸断されるなか、県・警察・電力・自治体・学校のお客様は不眠不休で対応されていましたので、当社のサービスエンジニアが二人一組になって、緊急の情報伝達に使用する複合機の復旧・調整を支えました。
情報と物資の不足から従業員が不安と疲労をつのらせないよう、経営トップとして私は①従業員の安否確認と緊急物資の確保・配布の継続②お客様の状況把握と復旧支援工程の決定と実行③当社の一年間の復旧計画を震災後4日間で検討し、社内に展開しました。そして従業員全員が最新の情報にアクセスできるよう従業員・家族の安否確認とお客様の被災状況・ご要望を紙に書いて壁に張って共有し、毎日、全員朝礼と夕礼を行い、その場で判断して対応を指示しました。優先度の高い事柄から効率よく対応できるため、現在もこの方法を続けています。
救援・回復に取り組んでいるお客様を訪問する際、「絆パック」(富士ゼロックスおよび関連会社から届いた食料や生活用品等の緊急物資のお裾分け)と「お見舞いパック」(用紙2冊と事務所復興支援メニュー)を持参しました。そして、お客様がご無事かどうかを確認してから複合機等の状況を把握し、当社にできるお手伝いはないか、お客様のご要望をきめ細かく伺う活動を続けました。
当社は、お客様の声をデータベース化して分析する仕組み、携帯電話を活用した従業員への業績情報配信システム、お客様幹部と当社幹部との直接コンタクト強化等の施策を営業力強化のため2年前から導入していましたので、これらがとても役立ちました。
また、定期的な防災訓練と備蓄の重要性も痛感しました。初動段階を乗り切れたのも、半年に一度、防災訓練と安否確認訓練を行っていたおかげだと思います。携帯電話の補助バッテリーを200個備蓄していたことは素晴らしい効果を生みました。電気が通るまでの数日、予備バッテリーを使ってお客様幹部にSMS(ショートメッセージサービス)を送り続け、安否確認や復旧活動につなげることができたのです。
今回の経験で私が強く感じるのは、お客様の声、従業員の声、地域社会の声にしっかり耳を傾け、迅速に応えることの重要さです。平常時とは異なり、お客様が必要とされるものは、それぞれ違っていました。一人ひとりのお客様が抱える困難に一緒に向き合い、救援から復旧へと進めてきました。そのたびにお客様との絆が強まり、それが従業員のパブリックマインドを上げ、現在も地域復興に向けたCSR活動を推し進める原動力になっています。
不幸にして起きた大災害ですが、それに屈せず、情熱をもってイノベーションにつなげることこそが企業の社会的責任であり、持続的価値創造や競争力向上に結び付くと確信しています。
企業の役割について認識を新たにし、組織の結束がより強まった実感を糧に、さらに洗練されたお客様との関係性を構築し、地域の復興とお客様へのお役立ちができるよう、これまで以上に尽力いたします。
お客様の状況とご要望を対策本部に張り出し、全員で情報を共有
富士ゼロックスおよび関連会社から届いた緊急物資を「絆パック」にしてお客様にお届け
「お見舞いパック」を持参しお客様を訪問