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2011年3月の東日本大震災で犠牲になられた方々に謹んで哀悼の意を表します。そして大切なご家族、お住まい、お仕事をなくされた皆様、ならびに不自由な避難生活に耐えていらっしゃる皆様にお見舞い申し上げます。さらに、厳しい環境のなかで献身的に被災地域の救援・回復や危険業務にあたってくださっている数多くの方々に心より御礼申し上げます。また、2月のニュージーランド南島地震で被害に遭われた現地関係者の皆様にもお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
今般の大震災では、多くの方々が亡くなり、疾病、水・食料不足、倒産、失業、移住、そして深刻な環境汚染も一度に経験しました。ビジネスの領域でも、電力不足、素材・部品供給の遅れなど深刻な事態への対処や将来計画の見直しが続いています。
そうしたなか、当社は、救援・復旧時のお客様のコミュニケーション活動を寸断させることなくサービスを提供できたか、多層化するサプライチェーンを把握して影響を最小限に抑えられたか、これまで進めてきた事業継続計画(BCP)が有効に機能したか、といった面で大きな反省材料が残りました。当社はその改善を急いでまいります。皆様にこれらを踏まえた私の気付きを29ページ「東日本大震災への対応から学んだこと」で紹介しましたのでご覧ください。
企業経営におけるESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みは、先進国のみならず、中国・アジアの新興国にも急速に拡大しています。そうした取り組みは、自社の調達・生産・販売だけでなく、お客様のご使用時やその後のリサイクル・再資源化を含めたバリューチェーン(9ページ参照)で考えるべきであると認識されるようになりました。
当社は、「知の創造と活用をすすめる環境の構築」に寄与することをミッションの一つに掲げています。このミッションを実現するために、より良いドキュメントサービスとコミュニケーション手段を提供し、お客様の価値創造活動を円滑にすると同時に、お客様の社会に対する貢献や説明責任をお手伝いすることが当社の社会的責任であると認識しています。
その際、お客様の経営課題の背景にある「お客様と社会のつながり」の変化を深く理解し、商品・サービスを提供する活動と自社のCSR調達・環境経営などの活動の両面において、どうすれば社会に新たな価値を創造できるか、バリューチェーン全体において粘り強く考えてまいります。
2010年度は、経営方針“Go To Customers”のもと、①新興国市場でのCSRに配慮した市場開拓と販売拡大②国内企業の環境負荷低減やワーク・ライフ・バランスに寄与するサービス提供③グローバル規模での事業活動に適した洞察力と機動力の強化を重点戦略に掲げました。①については、中国市場やアジア・パシフィック市場において
ビジネスとCSRの融合が急速に進むなか、環境配慮商品を中心に目標を上回る成長がみられました。その一方で②の中心となるサービス事業へのシフト③の実現手段である開発・調達・生産・営業の国内機能と海外機能の連携は、私自身が目標と考えるレベルには至らず、引き続き重要な経営課題として残りました。いずれも必要不可欠な市場対応であり、敢えて重点課題と言わずとも、当たり前のこととして主体的に考えて実践する行動文化を伸ばしていかなければなりません。
こうした反省点と課題につきましては、現在、各機能において多角的に検討を進めています。2010年11月に発行されたISO26000などの枠組みも参考にして、有効なESGの取り組みと情報開示を推進する所存です。

CSR主要管理指標の実績(32ページ以下参照)につきまして、経営の立場から説明します。以下に述べる事項を展開するにあたり、私は従業員に、①良識ある社会人としての気付き②現場・現物・現実に基づく考察③価値創造に向けた熱意を呼び掛けました。そうした不断の配慮と研鑽が、責任ある行動につながると私は考えています。

国内市場では、2008年度からの3年間、商品とソリューションサービスの営業体制の一元化、お客様接点のコミュニケーション環境の整備を精力的に進めてきました。その結果、お客様の満足度は業界トップの水準(J.D.パワー アジア・パシフィック社調査)を回復しました。海外市場でも、カラー機への転換や高付加価値ソリューションの充実などを精力的に進めた結果、多くのお客様との関係を強化することができました。お客様の満足度スコアは、それ自体が最終目標ではありませんが、従業員一人ひとりがお客様の視点での行動を徹底するためにも、今後も引き続き重視する考えです。
当社は、この20年間で関連会社の役員・従業員が占める割合は42%から75%へ、日本人以外の役員・従業員が占める割合は7%から42%へ変化しました。このように人員構成の多様化は進んでいますが、その相乗効果を生み出すマネジメントには、まだ多くの課題が残っているように思います。
また、サービス化やグローバル化を牽引するプロフェッショナル人材の採用・育成や、多様な人材が柔軟に働き方を選択できる制度の充実(モバイルワーク、在宅勤務、兼業)という経営課題も、率直なところ、まだ十分な工程表がつくれず苦戦しています。
私は、従業員が自己の成長を実感できる環境を提供することが経営の責任と考え、選択肢や柔軟性に富む人事政策を拡充するとともに、各国の従業員が現地の事情に合わせて創意工夫を施す組織に育てていきたいと考えています。
現在は、2020年温室効果ガス削減目標を達成するための計画展開や資源循環システムの継続的運用など、従来型の施策を粛々と継続する一方、次の段階に向けた準備を進めています。
具体的には、環境ビジョン・環境方針・環境中期計画の見直し、資源系中期戦略(部品リユース、水資源の保全、廃棄物の削減など)の策定と展開、生物多様性の方針策定とガイドラインの作成、用紙調達基準の見直し、環境負荷データの見える化などが主要な動きとなります。
環境負荷の低減は、お客様にとりましても重要な経営課題ですので、当社での実践や改善を通じて、お客様に提供できるソリューションサービスを充実してまいります。
資材調達プロセスにおけるCSR調達とともに、物流プロセスにおけるCSR調達を促進しています。当社では、CSR調達は一方的な監査ではなく「顔の見えるコミュニケーション」を通じた協働による改善と位置付けています。協力会社のなかには、当社の進め方や資料を参考に、独自にCSR調達を開始される企業も現れてきました。微力ながらCSR調達の普及に貢献できていることを喜ばしく思います。
2010年度は、東日本大震災やニュージーランド南島地震への災害寄付および災害支援NGOとの連携などを行いました。国内外の関連会社では、環境・生物多様性保全に関する1社1テーマ運動を推進しています。詳しくは、「各国関連会社のCSR活動」をご覧ください。
2010年度は、アジア・パシフィック地域での販売や米国ゼロックス社向け輸出が増加したことなどにより、連結売上高は9,831億円(前期比4.2%増)となりました。さらに、コストダウン施策の推進、構造改革の効果などにより、連結経常利益は560億円(前期比177.6%増)と増益になりました。特記すべきガバナンス上の問題はありません。
日本の国内事業では、大震災や電力不足による不透明感が残るものの、当社の商品・サービスに対する需要は堅調に推移するものと見込んでいます。また、数年後には売上比率50%超に成長させたい海外事業では、原油や資源の高騰などの懸念はあるものの、新興国や欧米での堅調な伸びが引き続き期待できると考えています。
さらに、国際政治の舞台でも、気候変動対策、生物多様性の保全、社会的格差の是正などの国際ルールづくりが進んでいます。今後は、企業活動におけるCSR側面の問題がますますクローズアップされることは必至であり、お客様の企業価値を向上させるサービスへの関心がより一層高まると予想されます。
こうした状況のなか、やるべきことをしっかり実行して社会の期待にお応えすることが持続可能な成長につながると考えています。
上記の現状認識を踏まえ、2011年度の経営方針を次の通り設定し、現在、その実現に努めています。これらは当社のサステナビリティ経営を支える骨格にあたります。
グローバルなマーケティング連携を進め、すべての関連会社が連携・サポートし合うことを目指す「グローバル化」と、グローバルな視野、ローカルな視点での細やかなニーズ把握に基づいたソリューションサービス提供などの「グローカル化」の両面を推進します。
当社の営業地域では、多国籍企業による国際基準のマネジメントが現地に拡大し、特にESGの取り組みや情報開示を求める政府調達・CSR調達の動きが加速しています。こうしたなか、お客様の業種・業務に適応したソリューションサービスを体系化し、開発・調達・生産・営業の国内外の人的連携を強化することで、お客様の課題解決に向けた国際基準のベストプラクティスを営業地域の全域に水平展開します。
ICTの進化に伴い、オフィス環境、ドキュメントのあり方、ワークスタイルが大きく変化しています。ドキュメント・情報の標準化、統合的なデータベース管理、クラウド化サービスの活用によって、情報の共有化とフラット化を中心とした新たなワークスタイルをまず自分たちが実践し、その効率的な実現をお客様に提供します。
私は、CSRは単なるリスクマネジメントではなく企業経営そのもの、すなわち、当社や社会の将来を左右する価値創造であると固く信じています。
この2011年度は、私が社長に就任して5年目にあたり、2012年2月には当社の創立50周年を迎えます。私は、これまでのCSRに関する取り組みを整理し、本格的に実行に移す意味において、覚悟をもってCSR経営に臨みたいと考えています。そして「360度サステナビリティ」をキーワードに、当社の関係者全員が自分のなすべきことを考え、勇気をもって挑戦するよう牽引してまいります。そして、私自身も、大震災の犠牲となられた方々の無念を無駄にしないよう、お客様、従業員、取引先、地域社会の皆様が安心して暮らせる社会の実現にどのような貢献ができるかを考え続けたいと思います。
