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調達先やお客様と共に取り組む社会課題解決への挑戦

ハイライト2 持続可能な用紙調達に向けて

森林破壊に関する社会の関心の高まりに対応し、お客様に「環境や社会の持続性と両立可能な用紙」を提供し続けるためには何を行動すべきか。用紙サプライチェーンの上流における問題の発生を契機に、ドキュメントサービスを生業とする企業として用紙ビジネスにおける自社の責任を問い直し、持続可能な用紙の提供に向けて、生産者、販売者、お客様が一体となって取り組むことの重要性を提起する当社の取り組みを紹介する。

世界の自然林の減少面積(年間) 約1,300万ヘクタール注1
(日本の国土の約1/3)
FSC®注2の認証森林面積が世界の森林面積に対して占める割合 約5%注3
富士ゼロックスが用紙調達規程を制定した年 2004年
富士ゼロックスが現地調査を実施した用紙調達先の割合 100%

森林破壊を巡る社会の状況

用紙の原材料である森林資源は、適切に管理されれば再生可能な資源として持続的な利用が可能となるが、不適切な森林伐採は地域住民の生活環境の破壊や生物多様性の減少、温暖化・気候変動など深刻な社会・環境問題の要因となりかねない。
従来、用紙については、適切に管理された森林に由来する木材を使用していることを保証するFSC®認証などの仕組みがあったが、この認証を取得している木材は世界全体の森林の約5%にとどまっており、抜本的な問題の解決には至っていない。そうした状況下、現在国際社会では、違法木材取引を規制する法律と執行システムの導入や強化がすすんでおり、主導的役割を果たしてきたEUに加え、米国、オーストラリアなどでも、違法に伐採された木材の取引に対する罰則を定めた法律が施行されている。
ドキュメントサービスを生業とする富士ゼロックスにとって、複合機やプリンターで使用する用紙は、事業の根幹を支える重要な商品の一つとなる。そのため、当社は、ニュージーランドでの植林事業への出資参加(1996年)や、同事業により生産された木材と古紙だけを原材料として使用する環境配慮用紙の販売など、適切な森林資源の管理に向けた活動に早くから取り組んできた。
2004年には、「調達先に対する環境・健康・安全に関する調達規程」(用紙調達規程)を制定し、用紙の原材料のトレーサビリティ確保や、製造工場の環境管理などを調達先への主な要求事項として展開した。このように、社会の持続性や地域社会との調和を図りながら用紙製品の安定調達を実現することは富士ゼロックスのビジネスの前提条件であるという認識は、継続的に当社の経営層の間で共有されてきた。

富士ゼロックスの新たな責任の形

そうした我々に大きなインパクトをもたらす事態が2011年8月に発生した。オーストラリアのABC放送が、大手製紙会社が不適切に森林を破壊し近隣の地域社会に悪影響を及ぼしていることを報道し、その際に、オーストラリアにある当社の販売会社がその企業から用紙を調達しているうちの一社として実名で報道されたのである。前述の用紙調達規程に基づき、同製紙会社に対して地域住民や環境NGOとの関係改善を求めていた矢先の出来事であった。
この報道に対するお客様の反響は多大であった。富士ゼロックス自身が、不適切な森林伐採に加担し、環境や地域社会に間接的に悪影響を与える当事者として受け止められたのである。当社およびオーストラリアの販売会社は、直ちに社外の専門家や環境NGOなどとも協議し、改めて自社のビジネスが社会へ及ぼす影響を真摯に受け止め、たとえ意図せぬ形であってもビジネスを通じて環境や地域社会に悪影響を与えることがあってはならないとの経営判断を行った。そして、同社との取引停止を決定するとともに、抜本的な再発防止策の検討に着手した。
抜本的な対応に向けて、当社が強く認識したことは、サプライチェーン全体を自社の責任範囲としてCSRを実践することがいかに重要かということと、そのためには製品としての用紙だけを評価するやり方では問題の解決につながらず、適正な森林資源管理に関する当社の考え方を用紙の生産者と共有し、調達先に対して主体的に問題解決へ取り組む意識の醸成を促すことが不可欠ということである。
そうした認識の下、当社は2012年5月に用紙調達規程を大きく改定し、従来のように用紙そのものだけを評価するのではなく、「環境」「地域住民の権利」「企業倫理」などCSR観点で用紙調達先の取り組み全体を評価する新たな基準(取引先基準)を定め、その基準を満たした企業から用紙を調達することを制度化した。仮に商品である用紙の価格や品質に問題がなくても、CSRを含めた調達先の経営全般に関する状況をチェックし、社会や環境の持続性の観点から調達先の経営に問題があると判断される場合には、取引を行わないこととしたのである。

用紙調達規程の改定前後の比較

富士ゼロックス
インターフィールド株式会社
顧問 渡辺 謙

こうした考え方を調達先に理解してもらうことには困難が伴ったが、評価の過程に社会的な視点を取り入れるために環境NGOの意見を参考にする仕組みをつくり、また形式的な評価にならないように我々自身が国内外の調達先の製紙工場に対する現地調査を行い、現場の実態を確認しながらすすめていった。
富士ゼロックスの用紙ビジネスに長年携わってきた富士ゼロックスインターフィールド株式会社顧問の渡辺謙はこう語る。
「当社は責任ある用紙調達に向け、2004年の用紙調達規程の制定をはじめとして常にスピード感を持って挑戦し続けてきました。製紙工場への現地調査などは当社にとって前例がなく、新たに仕組みをつくりあげる苦労がありましたが、その後はPDCAを回し、改善しながら継続することができています。このような取り組みを続けていくことは大きなチャレンジですが、常にお客様を第一と考える富士ゼロックスのフィロソフィーがその原動力になっているのだと思います。」
さらに、規程の見直しと現地調査に加え、活動全体を経営レベルで管理するために、富士ゼロックスおよび富士ゼロックスインターフィールドや海外販売会社など、国内外の用紙調達・販売を担当する関連会社が全社横断的に参加する「責任ある用紙調達委員会」を設置した。この委員会の目的は、用紙サプライヤーの同規程への適合状況を定期的に確認するとともに、適合状況に疑義が生じた際に早急に対応方針を決定することである。会議では、用紙サプライヤーへの実地調査のすすめ方に関する議論、サプライヤーの用紙調達規程への適合状況の報告とレビューなどを行っており、その中で、改善がすすんでいないサプライヤー2社に対しては用紙調達取引の停止を継続する判断を行っている。

持続可能な用紙を選択していただくために

三井住友信託銀行株式会社
理事・CSR担当部長
金井 司 氏

一方、森林資源の適切な活用を加速するためには、責任ある用紙調達へ向けた取り組みがあらゆる紙の調達先に「面」として広がる必要がある。そのためには、サプライサイドの改善に加えて、お客様を含めた社会全体が環境や地域社会に配慮した持続可能な用紙を選択していくことも重要であり、そのようなお客様の選択をサポートすることも、当社が果たすべき重要な責任の一つとなる。実際、お客様の中でも、コストや品質に加えて「環境や地域社会への配慮」という価値を主体的に考慮して用紙を選択する動きが生じており、変化の兆しが見え始めている。
用紙のエンドユーザーである日本企業5社注4と株式会社レスポンスアビリティ、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWF)は、2013年11月、「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」を協働で発足した。紙を利用する側の複数の企業が連携して、持続可能な紙利用の社会全体への拡大、浸透を目指す取り組みであり、その調達方針などの基本的な考え方は、当社の用紙調達に関する考え方とも一致するものである。このような取り組みが社会に広がっていくように、当社自身もお客様に対し、環境や地域社会に配慮した用紙を選択することの大切さをお伝えしつつ、適正な品質と価格も備え合わせた商品を提供していかなければならない。
同コンソーシアムのメンバーでもある、三井住友信託銀行株式会社の理事・CSR担当部長 金井司氏はこう語る。「銀行業務において最も大量に使用する資材は紙であり、銀行によるサプライチェーン・マネジメントの対象として、紙は非常に重要な位置を占めます。しかし、紙は用途に応じて調達先が多岐にわたるため、そのすべてのトレーサビリティを確保することは容易なことではありません。そのため、富士ゼロックスの取り組みには期待していますし、また同様の取り組みがコピー用紙以外の紙を扱う企業にも広がることで、消費者が倫理的に紙を選択しやすい社会になることを望みます。」

公益財団法人
世界自然保護基金ジャパン
自然保護室 室長
東梅 貞義 氏

また、公益財団法人世界保護自然基金(WWF)ジャパンの自然保護室 室長東梅貞義氏は語る。「お客様であるエンドユーザーと、調達先である製紙会社の双方に対しビジネスを通じた接点を持つ富士ゼロックスは、『持続可能な紙利用』を社会に広げるうえで大きな役割を果たすことができる存在です。富士ゼロックスのような取り組みが社会のスタンダードになるように、その価値をお客様と調達先の双方に発信し続けていただきたいと思います。」

  • 注4 2014年6月にさらに2社が加入した。

富士ゼロックスの挑戦

富士ゼロックス株式会社
取締役 専務執行役員
柳川 勝彦

当社が目指すのは、サプライチェーンの中間に位置する企業として、調達先とお客様の双方に働きかけ、用紙と森林にかかわる問題の解決に貢献していくことである。
「責任ある用紙調達委員会」の議長である柳川勝彦(取締役 専務執行役員)は、今後の方針を次のように語る。「富士ゼロックスにとって、環境や地域社会に配慮した持続可能な用紙を提供することは、当然果たすべき社会的責任です。自社で取り扱う用紙の管理を徹底することは当然ですが、それに加えて調達先やお客様と問題意識を共有し、その解決へ向けてともに取り組んでいくことが重要です。国内外において積極的に当社の取り組みを情報発信し、用紙ビジネスにおける森林資源の適切な保全と活用に向けた活動を継続していきたいと考えています。」
お客様や調達先とCSRに関する価値観を共有し、持続可能な社会の実現を目指す富士ゼロックスの挑戦に終わりはない。

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