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メカ設計支援ツール

開発現場では、製品の多様化や設計要件が拡大する中で、高い設計品質を短い開発期間で達成することが求められています。従来の開発プロセスでは、開発後半でのトラブルや設計の手戻りが発生したり、設計者のスキルの差により設計にバラツキが生じるなどの問題がありました。そこで富士ゼロックスでは、ベテラン設計者の設計手順を標準化し、そのプロセスに従って、社内に蓄積された標準/ノウハウ/ツール/データベース等を効率よく活用する「メカ設計支援ツール」を導入しています。

メカ設計支援ツールでは、工程の相互関係を見える化する手法としてDSM*1(Design Structure Matrix:設計構造マトリックス)を活用しています。DSMは工程の繰り返しや手戻りの発生を予測し、業務の手戻りを最小限にすることを可能にする手法です。図1のようにDSMでプロセスを表記すると、の対角線より下にある×印は、上流工程から下流工程への情報の流れを意味しており、の対角線より上にある×印は下流工程から上流工程への情報の「手戻り」を表しています。「手戻り」の規模は、どの位反復するかによって評価します。具体的には図1のDSMにおいては、の対角線上にある×印の位置を頂点とする四角枠の大きさが「手戻り」の規模となります。
このように、DSMを活用して、ベテラン設計者の設計手順を見える化し、さらに手戻りが最小または発生しないように工程順序の入れ替えや情報の流れ(工程手順)の見直しによって整流化を行い、それを標準設計プロセスとします。

図1:DSMを活用した設計手順の標準化
【図1:DSMを活用した設計手順の標準化】(*は、工程手順の見直しを実施)

また、メカ設計支援ツールは、上記の標準化されたプロセスに対して、各工程で必要な標準書・ノウハウ・再発防止リスト・関連図面等の各種設計・技術情報を紐付けた状態で設計者に提供します。
このように、設計手順を標準化して、設計者間の設計品質のバラツキを小さくすると同時に、各工程で参照すべき設計技術情報が見えることで、高い設計品質を短い開発期間で達成することが可能になりました。
また、設計結果や設計過程での情報、設計者が入力した情報やコメント、設計メモなどは、このメカ設計支援ツールを介して、設計根拠*2として設計データベースに蓄積されていくため、設計履歴を参照することで、複数の設計担当者で設計する場合でも、設計作業のプロセスと変更箇所が一目で把握でき、設計情報の共有ができます。さらに、次期種の開発においても過去の設計過程や結果を知見として有効活用することができます。

図2:メカ設計支援ツール
【図2:メカ設計支援ツール】

  • *1DSM(Design Structure Matrix)は、カリフォルニア州立大学名誉教授のドナルド・スチュワード氏がGEに在籍していた当時に開発した手法です。その後、MIT(マサチューセッツ工科大学)のスティーブン・エッピンジャー教授により製品開発分野への適用が研究されてきました。
  • *2設計根拠とは、設計品質を担保する裏付けとなるもので、具体的には過去の実績(試作/品質確認/再発防止などに関するリスト)、設計計算書、解析結果、公差計算、実験データ、生産要件、仕入先要件、各種設計技術標準/ガイドなどのこと。

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