国/地域:
富士ゼロックスは、環境に優しいバイオベースプラスチックの種類を増やすためにポリ乳酸系に加え、セルロース系をベースとした新しいバイオベースプラスチックの研究開発に取り組んでいます。
セルロースの原料は木材で、世界中に分布しているため、特定の国に偏った資源と比較して輸送によるCO2排出量の削減が可能となり、また非可食であり土地間接利用注1まで考慮して食糧問題と競合しません。
しかしながら、一般にセルロースはもろい性質があり、ポリ乳酸系に比べて扱いにくく、さらに燃えやすい、という課題があります。
富士ゼロックスでは、従来の石油系プラスチックと同等の強度を確保するために独自のアロイ(複合)相溶化技術を開発しました。
まずセルロースの強い水素結合性を化学反応で弱め、セルロース分子間に石油系プラスチックを混合しやすくしました。次にセルロースと混合させたとき溶融粘度の差が小さくなるように石油系プラスチックの種類、分子量を調整し、セルロースと石油系プラスチックの分散性の比率を最適化しました。これにより相溶化剤と呼ばれる添加剤を使わなくても良好な相溶化を実現しました。
開発されたバイオマスプラスチックの内部を顕微鏡で観察すると、混合しにくいセルロースと石油系プラスチック(写真1)が均一に混ざり合っていることが分かります(写真2)。このため、強度や難燃性の極めて高いプラスチックが実現されました。
富士ゼロックスが開発した木質系非可食バイオマスプラスチックは、セルロースをベースとし、重量比40%以上と高い植物度でありながら、ウエルド強度注2と柔軟性は石油系プラスチックを上回る性能を実現しています。また石油系プラスチックと同等の難燃性を確保しました。開発したプラスチックは日本バイオプラスチック協会のバイオマスプラマークを取得しています。

写真1:相溶化技術導入前
スピンドル構造(ロープのように突き出している状態)になっているのが石油系プラスチック(ポリカーボネート)、その他の部分がセルロース。両者の分散が非常に粗く、接着面にも隙間があり、相溶性が悪い。機械強度が低く、吸水しやすくなり寸法変化も大きくなる。

写真2:相溶化技術導入後
粒子状の部分が石油系プラスチック、その他の部分がセルロース。良好な分散状態であることが分かる。これにより高い機械強度が実現し、吸水が少なくなり、寸法変化も抑性することができた。