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CMYK入力対応カラーマネジメント技術

印刷業界では、制作・製版・印刷と工程ごとに分業化されています。制作では、解像度やフォントなど最終印刷物に用いられる条件に合わせて原稿が作成され、制作後にカラープルーフ(色校正)が行われます。色校正のための小部数の校正刷りを作成する手段として印刷機や校正刷り専用機を使用しますが、印刷機での校正刷りや印刷所から各クライアントへの輸送には、時間とコストがかかり、その削減が課題になっていました。そこで、富士ゼロックスではオフィスに設置されたプリンターなどのデジタル印刷でリモートカラープルーフ(遠隔校正)注1を実現することを目指し、独自のカラーマネジメントシステム(CMS)技術を開発しました。

デジタル印刷でカラープルーフを行うためには、印刷CMYK注2からプリンターCMYKへの色変換を精度よく行うことが求められます。さらに、測色的一致に加えてプリンターCMYKに変換した後も、できるだけ印刷の色分版の状態を保存しておくことが画質上好ましいとされています。一般に、黒文字は測色的な一致よりも、K(クロ)による単色かつベタ(100%)で再現する方が、文字太りやぼけが起こりにくく、文字をすっきりと再現することができるため、黒文字に対してはKによる単色かつベタ再現を保証することが求められます。また、印刷用の電子原稿を作成する際に考慮されたUCR注3を反映させるためにK版を保存できることが重要です。
CMSは、カラープロファイルと呼ばれる多項式の係数や多次元のテーブル値などを予め採取された測色値に基づいて生成するプロファイラーと、カラープロファイルに基づいて画像データの色変換を行う部分に分かれます。現在、広く流通しているICCプロファイル注4は、図1に示すように、印刷やプリンターなどのデバイスに対して多次元テーブルを用いて、PCS(Profile Connection Space)と呼ばれるL*a*b*色空間またはXYZ色空間で入出力デバイスの色空間をつなぐ方式です。ところが、カラープルーフにこのICCプロファイルの考え方を適用すると、PCS色空間を経由するため4次元から3次元への縮退が起こってしまい、UCRや黒文字などで重要な役割を果たすK保存ができないなど、印刷入力信号CMYK4版の情報を保存することが原理的に不可能でした。そこで、富士ゼロックスでは、図2に示すように、印刷入力信号(CMYK)からプリンター出力信号(C’M’Y’K’)へ直接変換を行うことができる4次元テーブルによる独自のカラープロファイルを採用しました。その結果、印刷CMYK4版の情報をプリンターCMYK変換後も保持することが可能になり、印刷同等の色再現性を実現しました。

図1:ICCプロファイルによる色変換例

図2:4次元テーブルによる色変換

更に、印刷市場のお客様が想定しているプリント物の風合いを実現できるように、プリント物のレリーフ感(トナー層厚に起因する段差感)を好ましく調整できるカラープロファイル生成技術を開発しました。本技術は、Gamut(色再現域)外郭生成技術やGamut Mapping技術、プリンター色予測モデルから構成され、色処理でトナー総量200%未満の制限を可能とし、レリーフ感の低減を図るカラープロファイルを提供します。

また、近年、印刷ワークフローにおいて、より忠実な印刷プルーフの再現が求められています。そこで、図3に示すように、実測誤差を印刷ターゲット(シミュレーション対象となる印刷環境特性データ)にフィードバックし、カラープロファイルの作成を繰り返すことで、印刷ターゲットとの色差精度を追い込むカラープロファイル高精度化技術を開発しました。これにより、より高精度なカラープロファイルの作成が可能になり、プリンターでの高精度な色再現を実現しました。

図3:カラープロファイル高精度化処理の流れ