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巻頭言

富士ゼロックス株式会社 専務執行役員
佐々木 登
Noboru Sasaki

日本では2009年9月に50余年続いた自民党中心の55年体制が終焉を迎え、戦後築き上げてきた種々の価値観が根底から覆されそうになっている。民主党の鳩山首相はこれまで依存的な同盟関係にあった米国に向かって「対等な外交関係」による新たな協調姿勢を、アジア諸国には地域重視の外交姿勢を表明した。これに対して米国内で反発が起きていることを米国のメディアが伝えている。

戦後日本は石油ショック等の数々の試練を乗り越えながら工業を中心に驚異的な経済成長を遂げてきた。しかし1990年半ばからの「失われた10年」を漸く挽回し「モノ作り大国ニッポン」として自信を取り戻しつつあった矢先にリーマンショックに見舞われた。その結果日本の国際競争力の象徴であった超優良企業の多くが赤字に転落する事態になり、政界に先立ち産業界に激震が起こった。この惨状から脱却するための処方箋は欧米・アジア・日本それぞれ異なり、日本の場合は価値観の転換とこれに基づく長期的戦略がないと本質的な脱却が出来ないのではないかと思えてならない。

これまで日本は原理発明やこれに基づくビジネスモデルの確立は欧米で、これを具現化する実用化技術と改良技術の開発および生産は日本を含めたアジア諸国で、との枠組みでやって来られた。しかし日本の得意としたモノ作りは技術のみならず思想も含めて徐々にアジア諸国に移転するであろうから、今後日本は自らイニシアティブをとりビジネスモデルを創造する立場にならなければならない。産業界においてビジネスモデルは米国で、モノ作りはアジア諸国でとのジャパンパッシングが起きてからでは手遅れとなる。

その意味で小宮山三菱総研理事長の言う「課題先進国日本」にいち早く訪れた少子高齢化による医療・介護問題、過度な人口集積による交通渋滞等の非効率・産業集積による炭酸ガス排出問題等の課題は、日本が真っ先に取り組み優れた技術と発想によるビジネスモデルを創造するチャンスを与えてくれる。

先ずは日本人として、日本企業として、技術者として強い誇りと意思を持たなければ始まらない。今回のテーマ「ドキュメントサービス&コミュニケーション」のビジネスドメインの中にも日本がイニシアティブをとれるチャンスが大いにあると思う。今後の発展に大いに期待したい。

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