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ナレッジ/知識経営

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K(Knowledge)-Direct Vol.1 「サラサラの組織」へのノウハウ
― あなたの会社や組織はドロドロになっていないだろうか? ―

2009年4月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

「X-Direct」が乗っ取られた!?
富士ゼロックスでも異彩を放つ「知識創造」集団KDI(Knowledge Dynamics Initiative)があなたの組織をサラサラにするため1年間の連載を開始します!
その名も「K-Direct」───
“サラサラの組織”になるため「オピニオン」「サラサラの組織」「KDI流創造的ワークスタイル」といった3つのテーマトラックをK-crew(KDIスタッフ)が熱くお伝えします。

index
プロローグ
1 第1トラック
  オピニオン(1):「生産性」だけでよいのか
2 第2トラック
  サラサラの組織:21世紀の組織論 (1)ドロドロの心理学
2-1. 職場の知的活力が低下している
2-2. なぜにぎわいが消えてしまったのか
2-3. ドロドロを超えて
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル (1)「観察:オブザベーション」
富士ゼロックスKDIに関する著書

プロローグ

富士ゼロックス・KDI(Knowledge Dynamics Initiative)は、「知識創造経営」の研究とコンサルティングを行なうビジネスグループとして生まれ、今年10周年を迎える組織です。
私たちとともに組織変革を仕掛け牽引してきた多様な業種のナレッジ・リーダーが、定期的に集まり知恵とエールを交換しているのが「K−コミュニティ」です。このコミュニティからは、これまでの経営の常識では考えられなかったことですが、社員の自発性・創造性を最大限に引き出すことによって実現した経営革新、その成功事例が、次々と生まれてきています。
昨年12月、K−コミュニティのこれまでの実践から得た組織変革の方法論を、書籍「サラサラの組織」にまとめました。「サラサラの組織」とは、個の意志や想いが尊重され、チームや部門を超えて協力し合いながら、あらたな価値を創り出し続けていく、そんな知の流れの良い組織をあらわしています。皆さんの組織は、知がサラサラと流れているでしょうか?

今月から12回連続で、皆さんご自身の組織をサラサラに変えていくための具体的なノウハウをご紹介していきたいと思います。では、ボンボヤージュ。

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第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(1):「生産性」だけでよいのか

多くの企業が、生産性を高めることに躍起だ。景気が悪くなり、経営のトップライン(売上)が伸びなくなってくると、経費削減、コスト削減、生産性向上、の大合唱となる。イノベーティブな思考は、「これを乗り切ってから」ということになる。

しかし、真に生産性を高めるためには、そもそもやらなくてもいいことをやらない、ということが一番大事なのではないだろうか。部分最適で、場当たり的な改善だけでは生産性向上にも限界がある。今の組織には、問題の本質を考えるための、創造性が圧倒的に欠如している。

「生産性課題」は、効率性追求の限界に気づかないことに根っこがある。これは本質思考、創造性の欠如から生まれる。このようなマネジメントの下では、社員が考えなくなり、受身の姿勢が蔓延する。手段の目的化が進み、意味を考えずに改善施策を重ねる。生産性が見えない、上がらないと悩みながら、間違った努力を続ける。組織は疲れ、社員は将来に希望を持てなくなる。

こんな状態に陥っていながら、「生産性の問題をこなしてから、そのあと将来のための創造性に取り組む」などと言っていて大丈夫なのだろうか?

効率追求のあまり、統制感が強まると、個々が自分を守ることにしか関心がなくなる。その結果、人の間、部門の間を暗黙知が流れない「ドロドロ組織」が生まれる。結果、職場から、知的にぎわいが消えてしまう。全体効率は思ったほど高くならず、閉塞感が強くなる。

ドロドロ組織は、残念なことに、真面目に業務に取り組めば取り組むほどひどくなる。そこには、個のモチベーションを「与えられた目標の達成」にのみ向かわせる負のスパイラルがあるからだ。組織は何らかのビジョンを実現するために作られる。達成目標を掲げ、効率的な組織運営を行なおうとする。それは正しいことだ。しかし、効率的な組織運営は分業を生み、効率化を必死に進めるほど、また、評価やルールを強化するほど、ドロドロは加速される。その結果、ビジョン(理想)と個の活動(現実)が乖離してしまう。(図1)

図1:負のスパイラル
図1:負のスパイラル

視点をもう少し高くしてみると、短期志向の経営管理は、未来への準備をことごとく後回しにしていることになる。長期的な組織改革、人材育成、市場創造にまったく手が回らない。一部の部門に任せるだけで、会社全体の資源や焦点を当てて取り組む企業は、ほとんどない。

新しいビジネスが生み出せない、顧客満足を根本から高められない、社員の活力が低下している、と言われながらも、この10年、ずっと解決されずにきている。これを「創造性課題」と呼ぶならば、これらのことはすべて、生産性至上症候群(とにかく目先の改善に躍起になる病気)の生む当然の結果である。

生産性課題と創造性課題は、どちらも「部分最適問題」だと言っても、言い過ぎではない。部分最適では生産性は高まらない、部分最適では創造性は発揮できない。矛盾に立ち向かい、本質を解き明かそうとしなければ、生産性も創造性も高まらないのだ。

部分最適を超えて、生産性と創造性を同時に高めるための鍵は、「問題の本質を捉える力」があるかどうか、「最適な人を集めて対話する力」を持っているかどうか、そして何より大切なことは、「一貫した思想をもって継続的に取り組む力」があるかどうかである。その結果、組織の壁を超えて、複雑な問題を解決できるようになる。全体の生産性を上げることができる。新しいイノベーションが生まれやすくなる。

そう、生産性と創造性を分けて考えない。それが何より大事なのだ。このことが、組織を活性化し、社員の毎日をいきいきとしたものに変えていく。

野村
担当:野村
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第2トラック

<「サラサラの組織」のポイントをお伝えします>

サラサラの組織:21世紀の組織論 (1)ドロドロの心理学

2-1.職場の知的活力が低下している

あなたの属する会社や組織に、感情や「知」が通っていない「ドロドロ」状態を感じたことはありませんか?多くの企業に調査・ヒアリングをしていると、組織の活性化や従業員のモチベーションを問題視する企業が、大幅に増加しています。代表的な意見を抽出してみます。

  • チームワークや職場の絆を感じることがほとんどなく、孤立感がある
  • OJTが喪失されている。業務に追われ、部下の悩みの相談に乗ったり、問題解決に立ち会ったりする余裕がない
  • ひたすら言われたことだけを黙々とこなし、新しいことへの挑戦ができない
  • 同じような仕事がどんどん振られて、達成感や成長の実感がない。キャリアに夢や展望が開けない
  • 現状に不満を感じていても、主体的にそれを打破しようとする人がいない。ホンネでぶつかりあわずに、傍観者的立場をとる

2-2.なぜにぎわいが消えてしまったのか

私たちが働く企業・組織の現場からにぎわいが消え、ドロドロの状態が見えてきます。
なぜ、そのようなことに至ってしまったのでしょうか?調査を進めると、社員の孤立化を生み出しているのは、「お互いを認め合う場がない」からだ、ということがわかってきました。さらに、なぜそうなってしまったのかと、問題の根源を掘り下げてみましょう。

図2:孤立してしまう原因
図2:孤立してしまう原因

図2に表したように、その原因は、効率化・結果優先的な経営が、人と人の絆を破壊し、職場の分断を招いてしまっていることのようです。

2-3.ドロドロを超えて

顧客価値の最大化には、知の創造が不可欠となります。顧客価値へとつながる製品やサービスは、一人ひとりの個の思いやひらめきを起点に、基本構想が生み出されます。それが他の人たちの知識やスキルによってさらに磨かれ、そのうえでモノやサービスに価値変換され、社会に供給されます。人間は一人ではほとんど何もできないし、小さな力しか発揮できません。しかし、一人が強い信念を持って、いったん行動を起こすと、共感の輪が形成され、集団の中で夢や目標として共有されます。その目標を達成するために、相互に助け合って活動を進めていくと、時として、我々の予測をはるかに超えた、驚くべきアウトプットを生み出すことができるのです。
信頼にもとづくつながりの構築は、知的にぎわいに満ちた職場づくりの基本であり、あらゆる価値創造の源泉となるのです。

齊藤
担当:齊藤
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第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル (1)「観察:オブザベーション」

みなさん、こんにちは。
KDIのワイルド・ナレッジ・アーキテクト、荒井恭一です。今回から12回に分けて、KDIのメンバー(K.Crewと呼んでいます)から読者のみなさんに向けて、働き方に関するメッセージを発信していきます。毎日繰り返しの仕事の中に、ちょっとした工夫を取り入れてみることで、ルーチンワークが効率化できたり、人間関係がよくなったりすることがあるはずです。そんなTipsを紹介していくコーナーです。
モノは試し。半信半疑でも結構ですから、「面白い」と思ったらものから、早速取り入れてみてくださいね。

さて、私からご紹介するTipsは「観察:オブザベーション」です。
まず、皆さんに質問です。
「皆さんの日常で1週間の仕事の中に、『観察』という行為は、どの程度組み込まれているでしょうか?」
マーケティングやデザインなどごく一部の職種の方を除いて、ほとんどの皆さんには縁のない言葉に感じられるかもしれません。でも、「現場に出向く、歩き回る」「顧客に会う、話を聴く」「店舗にとにかく行ってみる」という言葉であればどうでしょう? 「大事だけど、できてないなぁ……」という声が、そこかしこから聞こえてきそうです。
顧客、ユーザー、消費者、市民、現場、社員、後工程、役員など、皆さんの仕事の成果を直接/間接に受け取る人の呼び方は様々ですが、ここでは総称として「クライアント」と呼びましょう。もし仮に、皆さんがクライアントの仕事のプロセスはもちろん、感情面や日ごろの問題意識、趣味などを共感していたとしたら、どうなると思いますか? 皆さんの仕事の質はぐっと高まるはず、と私は確信します。
とはいっても、どのように「観察」すればよいのでしょう?私たちKDIは観察の専門家でもありますから、いろいろなバリエーションを駆使しています。

  1. オンサイト・インタビュー
  2. 単純観察
  3. シャドーイング

などです。数字が少ない方が、より「問う」を中心に構成され、数字が多い方が、より「観る」を中心に構成するものです。いずれも、クライアントの日常の活動現場に入り込むことが絶対条件です。会議室でヒアリングすることは、ほとんど観察としては意味がないと思います。

では、皆さんにもすぐに使える、観察のTipsを三つほどお伝えします。
一つ目は、実際に観察をする際の「心構え」です。それは、「クライアントに完全になりきる」ことです。観察者だからと言って、課題探しのような批判的な見方を絶対にしないこと。もしそのようなやり方で観察をしても、表面的なことしかわからないでしょう。その人を自分の師匠だと思ってください。明日からこの人の仲間になるんだ、そのために、この人のような振る舞いが身に着くよう、必死に学ぼう。そういう気持ちで観察をすることが大事です。

その人に感情移入をすることで、ささいな、表面的な課題ではなく、その人を真に苦しめている致命的な課題を把握できる可能性が高まります。環境というものは、必ず不完全なものですから、そこに気づくことができるかもしれないのです。しかも、それはクライアント自身も気づいていないことかもしれない!

二つ目は、気づいたこと、感じたことは、どんな些細なことでもよいのでメモする。人間が目から獲得する情報量はすさまじいものがあります。したがって、あっという間に忘れてしまうのです。メモはその場で手書きする、そして、その日のうちに周辺情報を加えて、テキスト化しておくことを心がけてください。

最後に、三つ目。周囲の仲間や上司に、観察したことを伝えます。せっかくクライアントに感情移入して観察したのですから、その人に成りきって、熱く熱く物語を語ってください。 統計量で示すよりも、よほど価値のある伝達ができるはずです。

観察中
観察中

どうですか?実際にできそうだな、と思っていただけましたでしょうか。ぜひ皆さんも、それぞれの仕事の価値をとらえなおすために、ほんの少し、観察の要素を取り入れてみてください。きっと新しい気づきが得られると思います。
さっそく明日からでも!と思ったイノベータのみなさん、徹底的にクライアントを観察しようとお考えでしたら、まずクライアントに了解を取るのを忘れないでくださいね。そうでないと、ストーカーと間違えられかねませんよ!

以上、ワイルド・ナレッジ・アーキテクト 荒井恭一でした。

<K-crew‘s name>
個性的なK-crewのネーミングについて紹介します


ワイルド・ナレッジとは、言うなれば野性的な知、自然知のこと。社会や組織も、そういう奥深くに潜んでいる知の新しい組み方(アーキテクチャ)に着目してこそ、本質的な解が得られるのではないか?と考え、この名前をつけました。荒井の「荒」もワイルドと重ねています。
Wild-Knowledge-Architect 荒井
担当:Wild-Knowledge-Architect 荒井

いかがでしたでしょうか?
今月よりお届けするKDIの「K-Direct」。
これからの仕事のヒントや、思考の“Change”にお役立ていただけると嬉しいです。
来月もお楽しみに!

富士ゼロックスKDIに関する著書

富士ゼロックスKDIのメンバーが書籍を出版しました!
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リンク先からもご購入いただけます。

サラサラの組織(ダイヤモンド社)
あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵

 
 
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