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ナレッジ/知識経営

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K(Knowledge)-Direct Vol.4 「サラサラの組織」へのノウハウ
― あなたの会社や組織はドロドロになっていないだろうか? ―

2009年7月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

今回も盛りだくさんのコンテンツでお送りする「K(Knowledge)-Direct」。
連載も4回目に入り、より深く「サラサラの組織」になるためのノウハウを提案していきます。
前回ご紹介した「サラサラ度」チェックシートは試されましたか?
結果が“ドロドロ”でも、これから“サラサラ”にしていくための「知恵」をお伝えしていきますので、ぜひお見逃しの無いように……
ドロドロ組織の変革を始めるのはあなたです!

index
1 第1トラック
  オピニオン(4):「モチベーション」
2 第2トラック
  サラサラの組織:21世紀の組織論(4)サラサラ度改善の処方箋
2-1. 変革をスタートさせよう
2-2. 「信頼不足」な組織への対処法
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(4)「手書きツール」
富士ゼロックスKDIに関する著書

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第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(4):「モチベーション」

もし、社員がいきいきと前向きに仕事に取り組む組織を理想としているのなら、「モチベーション」という言葉は使うべきではないだろう。
モチベーションは、他動詞Motivateの名詞形である。そもそも、他動詞は他人からのコントロールを意味しており、「モチベーションを上げる」とは、リーダーがフォロワーに期待する通りに、やる気にさせる関係を象徴している。
やらされ仕事に、前向きな意欲はこみ上げるだろうか。まずは、管理者視点からの「モチベーション」という言葉を、直ちに止めてみようではないか。

我々KDIは、個人(ナレッジワーカー)の自発性がエンジンとなる「知識創造企業」を追究し、研究や実践を重ねてきた。なかでも、国内外のイノベーティブな企業に学ぶベンチマーキング・プログラムを2001年より毎年実施し、闊達な組織の特長を抽出してきた。
下記の図1は組織的なイノベーション・メカニズムを明らかにする目的で2006年に実施した、“人と人との交流を活性化し、優れた商品/サービスの開発・提供をしている企業”の調査結果である。「知識経営のベストプラクティス企業」として選定した10社(米国の3M、世界銀行、ベスト・バイ、日本のシャープ、サントリー、など)と、これらの企業から学びを受けた日本の参加企業8社を比較した。

図1:知識経営のベストプラクティス企業と一般企業のGAP(KDI ナレッジベンチマーキングプログラム2006 より)
図1:知識経営のベストプラクティス企業と一般企業のGAP
(KDI ナレッジベンチマーキングプログラム2006 より)

じつに興味深いのは、ベストプラクティス企業に共通して、個人が暗黙知を表出できる場やしかけが多様に散りばめられていることであった。提案する、説得する、働きかける、共に検討する…。自分の思いを実現するために、他人への働きかけがしやすい、人と人を繋ぐ仕掛けがなされていることが、組織の競争力になっているのだ。

昨今、ERP(Enterprise Resource Planning)の導入や欧米のマネジメント手法により、早く、完璧に、効率よく仕事をこなせるツールや環境が整備されてきた。このため、個々人は、割り振られた目標を達成することに集中するようになり、いつしか自分で考え、仮説を立て、失敗を恐れずにチャレンジすることができなくなっていることに、ぜひ危機感を抱いてほしい。
組織に属して仕事をする醍醐味は、一人ではなし得ぬことが組織力で実現していくことを実感するところにある。自分が気付いたアイデアやひらめきを、人に伝えたいという思いが自分を突き動かし、語り合って生まれる共感は周りを動かし、モノやサービスに結晶する。これが、この組織に属する誇りとなり、さらなる新しいチャレンジをする力が生まれてくる。つまり、本来意味しようとした「モチベーションが上がる」ことになる。

社員に元気がないと悩んでいる経営陣の方々、昇給・ボーナスなど金銭的報酬や、表彰、激励といった外発的な力でだけでは、人の心は動かない。無限の可能性を秘めた個々人の暗黙知に注目しよう。社員の思いやアイデアがあふれ出て共振しあう場やしかけがあれば、社員のやる気は自然と上がる。

KDI齊藤
担当:KDI齊藤
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第2トラック

<「サラサラの組織」のポイントをお伝えします>

サラサラの組織:21世紀の組織論(4)サラサラ度改善の処方箋

2-1.変革をスタートさせよう

先月ご紹介した「サラサラ度アセスメント」を活用してみましたか?どのような結果が出たでしょうか。おそらく、ご自身が感じていたドロドロ領域が浮き出てきて、「やっぱり…」と確信したのではないかと思います。
「やっぱりこの組織はちょっと問題があるな」と確信してしまった皆さんに、私たちKDIが伝えたいのは、「誰もが会社を変えられる」ということです。企業変革は、特別な人が担う、特殊な仕事ではありません。多くの企業で変革をスタートさせたのは、気付きを得た現場の変革リーダーたちでした。ですから、ドロドロ組織の変革を始めるのは、これを読んでいるあなたなのです。

2-2.「信頼不足」な組織への対処法

今月は、ドロドロの原因のひとつめ、「信頼不足」な組織をサラサラにするポイントをお伝えします。書籍「サラサラな組織」では、「サラサラをつくる七つの知恵」を定義しています。もし、あなたの部門やチームが「信頼」不足であれば、第一の知恵「正当な意思を持つ」と、第二の知恵「現場の観察から始める」から取りかかってください。

  • 第一の知恵:『正当な意思』をもつこと
    もし、組織変革に携わった経験がなく、権限や情報も限られている現場にいたとしても、自社のドロドロ状態に気付いたあなたが、最初の一歩を踏み出してまわりの人に働きかけてみてください。自分自身が心の底から信じられる強烈な意思を持ち続け、その想いを、いろいろな人にしつこいくらいに伝えるのです。信念をもって想いを伝えることで、同じ価値観や問題意識を持っている人が、必ず見つかるはずです。
    そして、自分には欠けている知識や経験を補ってくれる人は、周囲にたくさんいるものです。しかし、まわりの人は「私はこんな知識があるけど、いる?」とは聞いてきてはくれません。あなた自身が意志をもって、あなたから質問に行かなければ、その知識は一生あなたのもとには訪れないでしょう。変革は、つねに問題意識からスタートし、現場の意識の高い人同士のネットワークが、それを支えるのです。
  • 第二の知恵:『現場の観察』から始める
    つぎに、ドロドロを感じた現場に、実際に行って観察してみましょう。そこで働いている人の身になり切り、その人の立場で発想してみます。その人たちや活動に深い興味を持って、理解しよう、共感しようとすれば、あらたな視点を獲得できます。今までと同じものを、新しい「レンズ」で見られるようになるのです。
    たとえば、いつも研究所では「せっかく先進的な技術を生み出しているのに、開発部が商品化できない」という愚痴ばかりが出ていたとします。アセスメントで、「どうやら、画期的な商品がでてこないのは、研究所と商品開発の信頼の欠如が原因ではないか」と仮説が出てきたとしたら、ぜひ開発部の仕事のやり方をじっくりと観察させてもらうことをお勧めします。自分の研究員という視点を捨て、商品開発の人になりきって見てみると、いかに研究所が商品開発に渡している情報がわかりにくいずさんなものであるかがわかるかもしれません。また、いかに自分たちの視点がお客様ニーズを無視しているかにも気付かされるかもしれません。(観察の方法については、X-Direct4月号:今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(1)「観察:オブザベーション」をご覧ください)

対話が信頼を醸成する

第一の知恵で賛同者を見つけ、第二の知恵で現場同士のすれ違いを発見したら、ぜひ「対話」の場をセットしてみましょう。研究所と商品開発の、現場の人たち同士が、ざっくばらんに話し合える雰囲気で、腹を割って話すのです。
KDIが進める組織変革では、アセスメントで現状を可視化した後に、「放談会」で現場の意見を集めるようにしています。これは、オフサイトミーティング、ワークアウト、ワイガヤなど、呼び方は異なるものの、コミュニケーションが活発で風通しの良い職場風土を作るために、多くの組織で取り組まれている手法です。職場での立場や肩書きをはずし、その仕事を熟知している人たちが集まり、ざっくばらんな雰囲気で気楽にまじめな話をすることで、現場で会社を支える社員の積極的な発言と、事業への主体的な参画を促すことにつながります。とくに、KDIが行なう放談会では、参加者でアセスメント結果を共有し、その背景にある課題の因果関係を探ることで、双方の立場を知り、内省を促していきます。相手に「変われ」と要求するだけでなく、自分自身も変わらなければならないことに気づき、職場の信頼を回復させる重要な一歩が始まるのです。

KDI齊藤
担当:KDI齊藤
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第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(4)「手書きツール」

皆さん、こんにちは。
ネクスト・!・グラフィティスト(Next ! Graffitist:次の「!」を描く落書き家)、筧 大日朗です。ビジネスタイトルには、次世代に残る「!」する未来を構想し「描く」という想い、また、そのために早く安く失敗し、学習し続けることができる「落書き=プロトタイピング」というプロセスを大切にするという想いを込めています。
今回のテーマは、「落書き=プロトタイピング」に関連の深い、「手書きツール」についてです。

突然ですが、皆さんは友人に自宅の行き方を、携帯電話のメールでどのように伝えますか?
いつも通っている道をイメージしながら、文章に変換して伝える人も多いと思いますが、メモ帳や紙ナプキンに地図を描き、携帯電話で写真を撮ってそのままメールすることもできます。ちょっとしたことですが、このように手書きツールを使うことで、短時間で表現力の高いドキュメントを作成することができます。
仕事柄、お客様の職場や働き方を観察する機会があるのですが、パソコンの画面のみが仕事スペースとなってしまっている状況を数多く見受けます。企画書などのドキュメントを作成するにあたり、最初から最後までパソコンで作成する必要が本当にありますか?また、そのように作成したドキュメントを共有し、評価してもらい、修正する、というプロセスが一般的になっていますが、これは本当に創造的で効率的なやり方なのでしょうか?

パソコンはアイデアの入れ物ではありますが、アイデア自体を生み出すためのツールとしてはまだまだ貧弱である、と私は考えています。パソコンの画面という枠にとらわれず、壁やホワイトボードなど、より空間的に広がりを持ったスペースを利用した方が、創造性がより高まると実感しています。KDIでは手書きツールを活用し、共創型でドキュメントを作成していくことを基本としています。主に使っている手書きツールは、ペン、ポスト・イット(大小さまざまなサイズ)、ホワイトボードと一般的なモノです。

一人でも複数人でも、まずはポスト・イットやホワイトボードに、ペンでアイデアを書き出していきます。この段階では、アイデアは文章でも良いし、絵を使っても良いでしょう。絵というと難しく感じる人もいるかもしれませんが、丸、三角、四角、矢印などの簡単な図や記号の組み合わせで十分です。この段階では質よりも量を重視します。表出したアイデアをさまざまに組み合わせることで、ドキュメントのプロトタイプを一つではなく、三つ作り出すことを目指すためです。

ではなぜプロトタイプを三つも作る必要があるのでしょうか。イノベーションを生み出す仕組みを提供する企業として有名な、米IDEO社のゼネラルマネジャーのトム・ケリー氏は、プロトタイプの数について、次のように語っています。
「一つのプロトタイプを示すだけでは、本当のフィードバックを得ることができない。少なくとも三つのプロトタイプを用意しておくこと。そうすれば、さらなるアイデアの融合ができる」。

では三つのプロトタイプを、どのように融合していくのでしょうか。
評価者からのフィードバックを作成者が反映し、それを再評価する。といった“作成→共有→評価→修正”のサイクルで回すのではなく、手書きツールで作成したプロトタイプを前にしながら作成者と評価者とを明確に分けず、共創型でプロトタイプを融合していく。
これこそが創造的で効率的なやり方であると言えないでしょうか。
これまで述べてきた一連のプロセスは、一日で完了するものばかりではありません。作業状態を保存できるプロジェクトルームを、長期間占有できることが理想かもしれませんが、あまり現実的ではないでしょう。このようなときに役立つツールとして、スチレンボードがあり、KDIでも多用しています。これは建材などに用いられる、ふすま一枚の大きさの樹脂製発泡板です。スチレンボードを使いながら作業をし、状態を保存しておくことで、ふすまで部屋を仕切る日本家屋のように、必要なときにすぐにプロジェクトルームを作ることができます。

<写真>スチレンボードを使用した作業スペース
<写真>スチレンボードを使用した作業スペース

手書きツールの利点は、難しいことを考えずに、誰にでもすぐに使うことができることだと思います。手書きツールとスチレンボードを活用し、創造的かつ効率的なワークスタイルを実現していきましょう!

Next ! Graffitist 筧 大日朗
担当:Next ! Graffitist 筧 大日朗

富士ゼロックスKDIに関する著書

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詳細は以下のリンク先をご覧ください。
リンク先からもご購入いただけます。

サラサラの組織(ダイヤモンド社)
あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵
サラサラの組織−あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵−


 
 
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