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ナレッジ/知識経営

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K(Knowledge)-Direct Vol.6 「サラサラの組織」へのノウハウ
― あなたの会社や組織はドロドロになっていないだろうか? ―

2009年9月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

今回もサラサラな組織にするための情報をお伝えします。
第一トラック“オピニオン”では、ドロドロ組織が生み出す負のスパイラルと工業社会的生産性に問題を投げかけます。それを改善する180度転換した新しい仕事のプラットフォームとは?
また、「KDI流創造的ワークスタイル」ではKDIが開催している“交流会”の様子をお届けします。今月も為になる3トラックのスタートです。

index
1 第1トラック
  オピニオン(6):仕事のプラットフォームを「計画と分業」から「対話と協業」へ
2 第2トラック
  サラサラの組織:21世紀の組織論(6)サラサラ度改善の処方箋
2-1. 「時間不足」な組織への対処法
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(6)「コミュニティ交流会」
富士ゼロックスKDIに関する著書

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第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(6):仕事のプラットフォームを「計画と分業」から「対話と協業」へ

組織の対話を阻み、「知の流れ」をドロドロ化させる原因は、「効率化の追求」にある。
悲しいことに、組織には構造的に、個のモチベーションを「与えられた目標の達成」にのみ向かわせる負のスパイラルが存在する。それは、真面目に業務に取り組めば取り組むほどひどくなる。
企業には何らかのビジョンがある。それを実現するために人が集まり組織が作られる。組織はそのビジョンをできるだけ効率的なやり方で実現できるフォーメーションであることが理想だが、それは必然的に分業を生む。そして、生産性のボトルネックを生み出さぬよう、各人の評価がなされる。
しかし、評価をされるとなると、人は自分を守ろうとする。自然と助け合いの文化が薄まり、組織の壁が生まれる。効率化を必死に進めるほど、組織のタコツボ化が加速されることになる。評価やルールを強化するほどドロドロ化が加速し、その結果、ビジョン(理想)と個の活動(現実)が乖離してしまう。

図:ドロドロ組織の心理学 イメージ
図:ドロドロ組織の心理学 イメージ

このようなドロドロ化した組織のもとで、「自分の仕事をスピーディにこなしている人」=「生産性の高い人」という認識がまかり通っていることは、恐ろしいことである。組織全体でみると、何も変化が起こせないような危機的状況に陥っているときに、その最大の加担者である「自分の仕事しかしない人々」が、最も生産性の高い人だと認識され、評価され、昇進しているのである。
私たちは、生産性の考え方を180度転換しなければならない。ホワイトカラー部門に必要な生産性は、自分の仕事をスピーディにこなすことではなく、「変化に気づいてから、提案し、決定・実行するまでの」革新のスピード(革新生産性)である。決まりきったことをスピーディに行なうという旧来の工業社会的な生産性の考え方とは大きく異なる。
「何か新しいことをやろう!」と誰かが気付きを得たとき、全体がスピーディに動く。そのような組織能力が重要なのである。もっと顧客に喜びを、もっといい会社に、もっとよい社会に、という意志が組織をドライブする。それが「革新生産性」の高い組織像、つまりサラサラの組織である。

図:革新生産性モデル
図:革新生産性モデル

創造性を必要とする組織で会議・ミーティングに求めるものは、報告型会議と180度異なる。キーワードは、「会議」というネーミングで呼ばれる場を「ワークセッション」という創造的なコラボレーションの場に変えることである。会議とワークセッションは、次のように異なる。

  • 会議は、決まった人だけが発言する。ワークセッションは、誰もが均等に発言する。
  • 会議は、偉い順に並んで座る。ワークセッションは、誰もが立って動き回る。
  • 会議は、誰もが腕組みをしている。ワークセッションは、誰もが手を動かしている。
  • 会議は、一人ずつコーヒーが出る。ワークセッションには、飲み物と甘いものが山盛り置いてある。

そして何より重要なことは、「議論」ではなく、「対話」を行なうことである。議論は何らかの正しい答えを巡って戦わすものである。10人いれば、もっとも正しい1人の意見が通り、あとの9人は負けることになる。しかし、対話は違う。相手をやっつけるのではなく、相手の話を良く聞き、そこから刺激を受け、「セッションの前に思いつかなかったアイデアを得ること」が最大の目的になる。

図:対話(ダイアローグ)と議論(ディスカッション)
図:対話(ダイアローグ)と議論(ディスカッション)

対話のための方法論として、「ワールド・カフェ」というやり方がある。ワールド・カフェは、組織や社会のイノベーションに向けて、真に大切な質問や課題について全員参加で話し合う方法として、世界中の企業、学校、政府、NPO、コミュニティで実践されている。
テーブルごとにカフェのような雰囲気で話をする。テーブルの上の紙に、出てきたキーワードを皆がメモしていくのである。一定時間が経つと、各テーブルに一人を残して、他の人は全員他のテーブルに移る。そして、残った一人はテーブルで起きた対話を共有し、また対話を続ける。
このような対話の場をつくることが、創造的にアイデアを高め合う組織を作る上で、きわめて重要になる。

分業に基づき、会議で進捗管理をするワークスタイルは、環境変化の激しい時代にそぐわない。変化に気づいた人が自律的にリーダシップを発揮し、皆が集まって場を作り、スピーディに問題解決をしていく。このようなワークスタイルが変わっていくことは、「計画と分業」から「対話と協業」へと仕事のOS(オペレーティングシステム)を変えていくことに等しい。
会議・ミーティングをワークセッション型に革新していくことの最大の意味は、働き方そのもの、あるいは企業文化を革新していくことにある。

図:新しい仕事のプラットフォーム
図:新しい仕事のプラットフォーム

野村
担当:野村
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第2トラック

<「サラサラの組織」のポイントをお伝えします>

サラサラの組織:21世紀の組織論(6)サラサラ度改善の処方箋

「信頼不足」「空間不足」「時間不足」に分類したドロドロ問題、今月は3番目の「時間不足」への処方箋をご紹介します。
昨年末あたりから、世界的な景気の急変によって、多くの企業で徹底的な経費削減策が繰り広げられています。出張が禁止されたり、机の中の文房具が没収されて共有になったり、様々な節約が推進されているそうです。
そのような動きの中で、ドロドロの組織を加速することになるのではないかと懸念されるのが、「残業代カット」です。定時終了と同時にオフィスの電気が消え、一斉に帰宅を促されるため、仕事を次の日に持ち越さざるをえない、やるべきことを片付けるだけで精いっぱいという声を多く聞きます。最近、みなさんの職場でも、より効率が重視されるようになり、上から与えられた目標をいかにスピーディにこなすかに、意識が向かっていませんか。
もちろん、生産性を上げることは経営の基本原則です。しかし、脇目も振らずに確実に目標をクリアする人をよしとする風潮になっているのだとしたら、それは「時間不足」な組織の典型です。困った同僚を助けようともしない、悩んでいる後輩に声をかけようともしない、心にも時間にも余裕のないドロドロの組織になってしまっています。
ドロドロ問題の3番目は、このような挑戦のための「時間不足」対策を考えたいと思います。

2-1.「時間不足」な組織への対処法

<実行の生産性ではなく、革新の生産性を重視する>

今回は結論から先に申し上げたいと思います。昨今のような、限られた時間内で業務遂行を求められる環境下では、「生産性」の概念を変えるべきではないでしょうか。早く確実に決められたことをこなす「実行の生産性」ではなく、つねに新しい方法を皆で実行していく「革新の生産性」を重視するのです。日々の気付きや新たなアイデアを提案しあい、まずはみんなでやってみるというサイクルを、早くたくさん回すことを目指すべきだと思うのです。部門単位で解決できない問題は他部門へ働きかけ、若手だけでは力不足ならば、上司に助け船をお願いし、個人の想いを実現する革新のサイクルが、大小問わずあちらこちらで回っているのが、サラサラの組織です。
大切なのは、各自が一歩踏み出し、周りの人たちの共感を獲得しながら、諦めずに進めていく気概を持ち続けることです。
それでは、挑戦の時間を増やすための、第五から第七の知恵をお伝えしましょう。

●第五の知恵:『相互の共感』を演出する

あらたなアイデアの可否を検討する場では、互いの先入観を取り去り、共感を醸成する雰囲気を作り出すことを心がけてください。会議のルールを設定することは一案です。KDIでは、会議室の壁や天井に、議論のルールを貼っています。誰かがファシリテーター役となって、参加者全員が対話を楽しめるように気を配り、議論のリズムを作っていくことも大切なポイントです。

図:KDIのディスカッション・ルール
図:KDIのディスカッション・ルール

●第六の知恵:『矛盾の超越』に挑戦する

革新的なアイデアは、従来の固定観念からは大幅に外れたところから生まれるものです。アイデアの可否を決めるときは、幅広い視点で検討できるように、なるべく多様な立場の人を集め、全員が意見を出せるように気を配ります。一人ひとりが持っている、輝く暗黙知を精一杯引き出すように、全員に口を開く機会を与えるのです。思いもよらない人からすばらしい意見が出てくるものです。あえて違う意見をどんどん積み重ねていくことで、従来の企画部門だけでは作れないような、多視点性のあるアイデアが生み出されるのです。

●第七の知恵:『変化の継続』をしかける

あなたのアイデアが多くの人の共感を獲得し、実行段階に移ったらどうでしょうか。すぐに成果が出る時もあれば、なかなか思うようにいかない時もあるでしょう。経営トップや部門長、さらには隣に座っている社員からも、「いつになったら結果が出るの?何のためにやっているの?」と問われる時が必ずきます。
しかし、変化が起こりかけているのですから、けっしてここで諦めないでください。やっとサラサラと動き出してきたのに、その状態でとどまろうとすれば、だんだん固定化していき、あらたなドロドロ状態を作ってしまいます。ドロドロとサラサラは繰り返され、そのたびに同じ場所に戻るのではなく、一段階高いレベルへとスパイラルアップしていきます。ここで諦めずに、耐えて、粘り強く頑張ってください。
変化を滞らせないためには、繰り返しコト(イベント)を起こし続けることをお勧めします。実行の途中経過を報告するためのメールマガジンを定期的に発行したり、パンフレットや小冊子などで活動の状況を伝える。皆が持つ変革への想いをひとつにするようなイベント(お祭り)を開催する。「ただでさえ忙しいのに、会社に決められたこと以外の変革活動なんてやる時間はない。」と冷ややかに見ている人たちも、継続的に活動が積み重なっていることを知り、変化を実感できるようになれば、一人ひとり時間を使う優先度が変わってきます。部門の壁を超えて自分の想いを実現させていくみなさんの生き生きとした姿を目の当たりにすることで、組織が動き始めるのです。

齊藤
担当:齊藤
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第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(6)「コミュニティ交流会」

皆さん、こんにちは。
連載第6回は、フィールド・マツリスト(Field Matsuri-st)金子がお届けします。このビジネスタイトルは、“現場のお祭り屋”を表しています。お祭りには、なんとも言えないワクワク感や、参加者の一体感がありますよね。私はそんな雰囲気が大好きです。企業の変革活動も、そんなお祭りとして捉えてみたい。一体感があり、ワクワクする、そして熱い想いで周囲を動かすような活動の促進を、ご支援していきたいと考えています。

さて今回は、KDIで定期的に開催している「コミュニティ交流会」についてご紹介したいと思います。「コミュニティ」というと、みなさんどんなイメージを持たれますか?“地域コミュニティ”のように住民の相互交流の場や、SNSに代表されるようなインターネット上のコミュニティなどをイメージされる方が多いかもしれません。K-Direct Vol.2「(2)サラサラの組織」で触れているように、KDIでは「サラサラな組織」を目指す企業横断のコミュニティ“K-Community”を運営しています。そして60社を超える企業のまなび合いの場として、過去10年間で52回を数えるコミュニティ交流会を開催しています。

今回の「KDI流創造的ワークスタイル」では、このコミュニティ活動と、まなび合いの場として提供されている交流会についてお伝えしたいと思います。

K-Communityとは

60社を超える企業によって形成されるK-communityは、“実践コミュニティ(Community of Practice)”という種類のコミュニティです。実践コミュニティとは、「ある特定の知識に関して、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」*1のことを示します。K-communityにとっての“ある特定の知識”とは何か。それは、「知識経営による企業変革活動の実践知」です。各企業が、自社での実践経験をコミュニティに持ち寄り、相互交流を通じて知識を交換し合います。そして、新しい気付きや洞察を得たり、次の実践に向けた活動のヒントを獲得するなど、コミュニティのなかで知識をさらに深めているのです。

「知識の交換なんて、ドキュメントをIT上で共有化する仕組みを構築すればいいじゃないか」と、思われる方もいるかもしれませんね。でも私たちが共有したいと考えている実践知には、例えば「その時どんな判断をしたのか」「なぜそのような判断をしたのか」のように、暗黙的な知識が非常に多く含まれています。暗黙知は、人から生み出されるきわめて属人的なものになるため、同じような状況に直面する人々と直接交流する機会、すなわちFace-to-Faceの場で知識を交換することも重要になってくるのです。「実践コミュニティは、知識の生きたレポジトリー(貯蔵庫)の役割を果たすのである」*1と言われるように、知識はメンバーの人間関係のなかに蓄積されていると言えるでしょう。

交流会の開催

さて、コミュニティがその活動を発展させ、継続して高い価値を生み出していくためには、活動に適度なリズムが必要になってきます。そこでKDIでは、コミュニティ交流会のようなイベントを開催することで、メンバー間の親密なつながりを維持し、コミュニティに対して刺激を与え、活動のリズムを生み出す場をご提供しています。交流会では、あるテーマを設定してゲストスピーカーをお招きしたり、ワークショップやワールドカフェのように、参加企業同士が対話を通じて新たな気付きを得ていただくセッションの開催など、さまざまな場をご提供しています。毎回必ず開催される懇親会も、実は重要なイベントの一つです。少しお酒も加わったインフォーマルな場での交流は、参加者同士が想いを語りあいながら、相互の信頼関係をより強固なものにし、個としての参加意欲を高める大切な機会となっています。このような取り組みを通じて、コミュニティで共有される実践知だけでなく、コミュニティ内の人間関係も豊かになっていくのです。

交流会の様子:メンバー同士の対話の場
交流会の様子:メンバー同士の対話の場

交流会の様子:懇親会で親交を深める
交流会の様子:懇親会で親交を深める

コミュニティ活動がもたらすもの

K-communityの活動は、コミュニティとしての実践知を深めるだけでなく、もうひとつ大きな力を与えてくれています。それは「実践に向けてのさらなる高いコミットメント」です。
K-communityの参加メンバーは、自社の変革を志す「ナレッジリーダー」の方ばかりです。おのおの自社内の活動では、変革に対する社内の抵抗と闘いながら、たいへんなご苦労をされています。そんなメンバー同士が苦労を分かち合い、抱えている問題の打開策をともに検討しあい、ときには励ましあうことで、活動の新しい活力を得て帰っていただいています。なかには九州、名古屋などにて地方版交流会を開催されたり、お互いの変革イベントに出席しあい、ゲストとして自社の実践事例を講演されるなど、自発的に交流を深め、励ましあう仲間もいらっしゃいます。さまざまな困難をともなう組織の変革活動、この大きな壁に対して、高い志を持つ企業間同士の自発的な支え合いが、壁を乗り越える大きな原動力になっていることは言うまでもありません。

コミュニティはみなさんの身近に

このようなコミュニティの概念は、従来のヒエラルキー組織「第一の組織」と、プロジェクトなど組織を横断して構成される組織「第二の組織」に次ぐ、「第三の組織」と呼ばれています。社会の環境変化が激しくなっている昨今、このように多様な繋がりのなかで新たに知識を創造していくコミュニティの概念が、ますます重要になってきています。インフォーマルなネットワークを大事にしているある企業では、「組織図を見たい」という要望に対して、役員がこんなことを言うそうです。「これはうちの組織の半分しか表していません」、と。

コミュニティの芽は、みなさんの身近にも存在しています。あるいは意識もせずに、すでに豊かなコミュニティに入って仕事をしているかもしれません。こんなご経験はありませんでしょうか?

『お客様への納品トラブルが発生したが、原因が複雑で、既存の組織の枠組みでは解決できる問題ではなかった。そのとき、営業、配送、出荷、品証など、組織を超えた有志メンバーが問題解決にあたることで、適切な解決策を提供することができた。以降、このメンバー間では、なにかトラブルが発生するたびに相談しあう仲間になっている・・・。』

これって、立派なコミュニティだと思いませんか?

みなさんも、これまでの制約を取り払って、組織や企業を超えたつながりのなかで、いまのお仕事をとらえなおしてみませんか?多様な視点が入ることで、今のお仕事はますます創造的で、楽しいものに変わっていくはずです。まずは、いまのお仕事がどんな繋がりのなかで行なわれているのかなど、身近なコミュニティを探すところから始めてみましょう!

Field Matsuri-st 金子 篤
担当:Field Matsuri-st 金子 篤

(参考文献)

*1『コミュニティ・オブ・プラクティス ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 』翔泳社
エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・M・スナイダー(2002)


富士ゼロックスKDIに関する著書

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詳細は以下のリンク先をご覧ください。
リンク先からもご購入いただけます。

サラサラの組織(ダイヤモンド社)
あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵
サラサラの組織−あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵−


 
 
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