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ナレッジ/知識経営

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K(Knowledge)-Direct Vol.8 裏方ほどおいしい仕事はない!
― 肩書きより10倍役立つ「事務局力」実践講座 ―

2009年11月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

好評をいただきました連載「サラサラの組織」にかわり、今月号より新しい連載がスタートします。キーワードは「事務局力」!
誰もが組織を“裏方”として動かすことで社会を変えられる、その主役になれる。
事務局力を発揮する方法をKDI野村が5回に渡り、お伝えしていきます。
ご期待ください!

index
1 第1トラック
  オピニオン(8):「上司と部下」を超えた相互支援のチームへ
2 第2トラック
  裏方ほどおいしい仕事はない!(1):「雪かき仕事」で差をつけろ!
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(8)「ストーリーテリング」
富士ゼロックスKDIに関する著書

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第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(8):「上司と部下」を超えた相互支援のチームへ

学生や若手社員から、次のような質問を受けることがよくあります。「どうしたら、会社で自分のやりたいことをやらせてもらえるのですか」。
この言葉が出ると、いつも私はがっかりしてしまいます。学業、趣味、おしゃれなどに独自のスタイルを持ち、上手に自己表現している20代の若者が、なぜ、会社組織では、突然受け身になってしまうのだろうかと。

2008年3月1日の日経プラスワン「何でもランキング」では、困った新人について1,030人から回答を得ています。1位から挙げてみますと、「1位:挨拶がきちんとできない」「2位:メモをとらず、同じことを何度も聞く」「3位:敬語が使えない」「4位:雑用を率先してやろうとしない」「5位:報連相ができない」「6位:同じ間違いを繰り返す」「7位:返事ができない」「8位:自分のミスを謝らない」…。どうやら先輩たちは、若手の仕事の中身よりも、仕事を進めるときの態度や振る舞いに、まずは注目しているようです。
高度経済成長期に確立されたピラミッド型役職階層は、組織を効率よく管理・運営するには最善の形でした。しかし、右肩上がり経済時代の固定観念や慣習が、いまだに強固な社会通念として若者に迫っているといえるのではないでしょうか。ピラミッド型組織では、職務権限も、処遇も、人間関係も、会議での発言順番でさえも、あらゆる面において上下関係が存在します。そして、ピラミッド最下層の若手には、軍隊のような従順な態度を期待し、一方の若手も、会社に入ればそのような態度や価値観に従うものだと思い込んでいるのです。「素行良く、指示どおりにこなし、報告しなければ」。

固定的なフォロワーは不要

戦後、欧米を目標にして拡大を続けてきた日本企業では、「指示を出す上司と確実にやり遂げる部下」といった関係が成立していました。しかし、昨今の急激な環境変化では、既存の仕事の仕方を繰り返していると、すぐに陳腐化します。つねに新たな価値を生み出し続ける組織であるためには、組織の誰もがどんな変化にも対応できるように、一人ひとりが意識・働き方を変えなければなりません。上層が決めたことに従うといった、組織図に縛られた固定観念を払拭しなければなりません。
日本におけるリーダーシップ研究の第一人者である、神戸大学大学院・金井壽宏教授が著書『リーダーシップ入門(日経文庫、2005年)』のなかで、次のように述べています。
「リーダーは能動的だがフォロワーは受動的だという暗黙の仮定が潜んでいる…リーダーの行動や資質だけに依存する考えを超越し、フォロワーが能動的・主体的に行動することが重要だ…フォロワーシップにも能動的な自覚が必要で、曲がっているものは曲がっているといえるだけの力が大切と強調したい」。
つまり、従来の「能動的で強い上司(リーダー)と受動的で素直な部下(フォロワー)」は高度経済成長の遺産であり、思考の転換が必要なのです。

部下が心がけるべきこと

早稲田大学ラグビー部監督の中竹竜二氏は、著書「リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織論」(阪急コミュニケーションズ・2009)で、部下がフォロワーシップを発揮する組織を理想としています。そして、フォロワーシップを「全員がリーダーと同じ気持ちでいること。与えられたり指示されたりするのを待つのではない。最終的に決断を下すのはリーダーだが、常にフォロワーもリーダーと同じように主体性を持って考えること」と定義しています。
冒頭のような若手の皆さんには、年齢や経験にかかわらず、このように積極的な姿勢で仕事ができる時代になっていることに気づいてほしいと思います。意思をしっかりと持ち続け、まわりの人に伝えて賛同者を増やしていくことによって、自分のアイデアを会社組織で大きく実現できるのです。ワクワクしてきませんか!

具体的にどのような行動をとればいいか

では、上司も部下も、一人ひとりがどのような行動をとればいいのでしょうか。ぜひ、みなさんの組織で理想とする具体的な行動を考えてみてください。
私たちKDIは、クライアントに最高のパフォーマンスを提供できるチームであるために、各自が追求すべき行動規範10項目を自分たちで設定し、半期ごとに相互チェックをしています。「ピア・レビュー」というしくみです。各項目を5段階評価し、かならずコメントを加えます。

図:KDI ピア・レビュー項目
図:KDI ピア・レビュー項目

相互評価を行なうのは、周囲が自分の仕事ぶりをどう見てくれているかを知ることで自信を持ち、あるいは謙虚な気持ちになりながら、皆の期待に応えるためにさらに頑張ろうと気づくことができるからです。つまり、チームのなかでの自己アイデンティティの確認ができるのです。
各自は、チームメンバー一人ひとりのその期の活動ぶりに対し、自分自身がどう感じたかを素直な心で評価をします。半期を通じた活躍や挑戦を認め合い、「ここは素晴らしかったよ。その頑張りを私も見習いたいです」と素直に伝えます。お互いの成長のために、気づいた点を伝えてあげることが大切だと思っています。ときには、厳しい指摘をすることもあります。しかし、会社は仲良しクラブではありません。切磋琢磨することで相互に能力を高め合う集団を目指し、相手に敬意を払いながら、「こうなるともっと素晴らしい仕事ができると思うよ」と、相互に伝えあえるチームでありたいと思います。
このピア・レビューの最大のポイントは、レビューを受け取った当人が、仲間の励ましや称賛、アドバイスをどのように理解し、受け止めるかにあります。たしかに、人それぞれに様々な見方があるのだなと感じます。時にはショックなこともあります。しかし、よく読んでみると当たっている部分もあるなと気づくはずです。それをしっかりと内省し、明日からの活動に反映できれば、個人は主体性を持って行動し、結束した組織になると思うのです。

齊藤
担当:齊藤
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第2トラック

<「事務局力」で会社を動かす! 事務局力を発揮する方法をお伝えします>

裏方ほどおいしい仕事はない!(1):「雪かき仕事」で差をつけろ!

『裏方ほどおいしい仕事はない!』の副題は、『肩書きより10倍役立つ「事務局力」実践講座』です。これは、私自身が国際大学GLOCOMで提唱している『イノベーション行動科学』に基づいた、権限を用いずに組織を動かす体系的手法です。

K-Directでこれまで連載を続けていた『サラサラの組織』は、「組織はどう変われるか?」に着目し、変革リーダーの生き方を取り上げてきました。今月からスタートする『裏方ほどおいしい仕事はない!』では、「組織を使って自己実現する個人」に着目します。勝間和代さんが「会社に頼るな!」と、個人の自立を求めているのに対し、『裏方ほど!』は、個人の想いを実現するために、もっとうまく会社を活用しよう、と呼びかけます。誰もが組織を裏方として動かすことで社会を変えられる、その主役になれるんだ、ということを伝えたいと思います。

いつまでも若手扱いされ、自分の力を出し切れない、と考えていたあなた。管理職めざして、今はガマン、と考えていたあなた。本当に会社を動かす人は権限を使わないこと、権限がなくても会社を動かせるということが、理解できると思います。もちろん、管理職になって、権限を持つようになっても同じです。ビジネスプロデューサーのような、本当に会社を動かす人は、権限を使いません。その秘訣が、事務局力です。

事務局力という「みんなのために献身的に尽くすイノベーター」になるための、「7つの仕掛け」が本書では詳しく紹介されています。どの仕掛けも、身近なツールの使い方の工夫ですから、誰でもすぐに取り入れることができます。

  • 仕掛け(1)「ケア」するメール
  • 仕掛け(2)アガペー(神の愛)モード
  • 仕掛け(3)鍋奉行ホワイトボード
  • 仕掛け(4)付箋ワークセッション
  • 仕掛け(5)内職プレゼンテーション
  • 仕掛け(6)あこがれベンチマーキング
  • 仕掛け(7)あとづけバイオグラフィー

本K-Directでは、『裏方ほどおいしい仕事はない!』のエッセンスを再編集し、次の5つのシーンで、いかに最高の事務局力を発揮すればよいか、お話ししたいと思います。


本記事は、次のような方におススメです!

  • 会社の仕事で、横断タスクなどの事務局をやっている人
  • プロマネで他部門・他社の人たちを動かさなければならない人
  • 自分の仕事は評価されていない、と不安を感じている人
  • 会社を変えたいけれど自分の立場・力では変えられない、と思っている人
  • いちいち褒めないと動いてくれない部下に疲れている人
  • いまの会社をやめて、もっと社会に役立つ仕事がしたいと思っている人

では、『裏方ほど!』のおいしさについて、話していきたいと思います。第一回のテーマは、「雪かき仕事」です。

この「雪かき仕事」は村上春樹の言葉で、フランス現代思想学者の内田樹さんが『村上春樹にご用心』で取り上げた概念です。「雪かき仕事」とは、誰かがやらなくてはならない絶対必要な仕事なのだけれど、それをやっても達成感が得られるわけでもなく、賃金が払われることもなく、社会的敬意が向けられるわけでもない仕事です。そんな「雪かき仕事」をする人が、村上春樹の本には必ず出てくると言うのです。思い出せますか?

「ほめられたい症候群」の人たちと、「雪かき仕事」をする人は、対極をなしています。前者は役立つかどうかではなく、ほめられる仕事をやりたがります。後者はほめられたりしなくても、必要な仕事ならやります。会社の中で、こんな「雪かき仕事」を率先してやる人が、どんどん減ってしまっています。いわゆる「成果主義」という名の下、仕事と評価の透明性を重視した人事評価制度が広がり、その結果、「ほめられたい症候群」の人をすごい勢いで増やしてしまっているからです。

雪かき仕事は、本来、誰にもほめられないけど大切な仕事、という意味でした。でも、そんな仕事を今の組織風土の中で自分からやる人は、絶滅危惧種なみの少なさです。だから逆に目立つのです。逆説的なことですが、ほめられたいなら、雪かき仕事をしたらいいのです。ほめられなくても、いい。絶対誰かが見ています。そして何より、ほめられなくても、自分自身が気持ちいい。それは、美しい生き方だからです。自分の中に絶対的な基準を持つこと。それが、「雪かき仕事」の本質なのです。

さあ、やってみましょう!今日から。「雪かき仕事」を。

ここに、今すぐできる「雪かき仕事」リストを挙げておきます。

<「雪かき仕事」リスト>

  • 会議室やホワイトボードをきれいにする
  • 隣の人に、「何か手伝おうか?」と声をかける
  • 部内で誰か困った人がいたら、「一緒にやろう」と声をかける
  • 会議でホワイトボードにメモをとり、議事録にして全員にメールする
  • 人の話を聴いて、整理してあげる

簡単なので、すぐにやってみましょう。もちろん、もっとたくさんすぐに思いつくでしょう。
一日30分でもいいので、「雪かき仕事」を続けましょう。続けていると、自分が困ったときにマワリが助けてくれます。

次の第二回は、事務局力の仕掛けの一つ、『「ケア」するメール』をご紹介します。

<次回以降の予告>
第二回 仕掛け:「ケア」するメールとは
第三回 仕掛け:アガペー(神の愛)モードで会議をうまく進める
第四回 実践:営業部門を事務局力で革新するには
第五回 実践:プロジェクトを「祭り!」にして成功させる

野村
担当:野村
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第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(8)「ストーリーテリング」

みなさん、こんにちは。
11月に入り、風が一段と冷たくなってきましたが、いかがお過ごしですか?「KDI流創造的ワークスタイル」の連載も、もう8回目。今月はKDIの小野(Brave Biographer)がお届けします。

さて、今回のテーマは「ストーリーテリング」です。
ストーリーテリングとは、「物語を語る」ことを言います。私たちは小さいころから、いろいろな物語を読んだり、聞いたりしていますよね。桃太郎、かぐや姫、星の王子さま…みなさんにもきっとお気に入りの物語があったはずです。

あのころ、私たちはなぜあれほど物語を好み、夢中になったのでしょうか?きっといろんな理由があると思いますが、その一つは、ストーリーテリングによって、物語の状景をありありと思い浮かべることができ、予期せぬうちに、物語の世界に引き込まれていたからではないかと思います。

ここで、物語の代表格である『桃太郎』の冒頭を見てみましょう。

“昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。すると、大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてくるではありませんか。おばさんは急いで手元に引き寄せ、大きな桃を「よっこらしょ」とすくいあげました…”

どうですか?情景を思い浮かべることができますよね。実は今の話の中には、山の大きさもおばあさんの服装も、川の幅も桃の大きさも描かれていないのです。しかし、私たちの心の中にはそれらがイメージとして生成されて、はっきりと心に残っているように思える。これが、図や記号中心の資料や、箇条書きの報告書にはない、文脈ごと伝達することのできるストーリーテリングの魅力です。

現在、こういったストーリーテリングが、ビジネスシーンでも注目され、さまざまな場面で活用されています。たとえば、経営者が組織の理念を社員に伝える時。セールスが大切な顧客へのプレゼンテーションをする時。また、数年前に放送は終了しましたが、NHKの「プロジェクトX」をはじめとした、多くのテレビ番組も、このストーリーテリングのアプローチを使い人気を集めています。

それでは、具体的に仕事のどのような場面でストーリーテリングを行なうといいのでしょうか。今回は、私たちが挑戦しやすい3つのシーンを取り上げ、それぞれの場面でのストーリーテリングのポイントをご紹介したいと思います。

■シーン1:部門内のコミュニケーションを活発化させたい時
  ストーリーテリング例:担当プロジェクト(担当業務)を語る

「おはようございます」「行ってきます」「お帰りなさい」「お先に失礼します」。日々の仕事の中で、挨拶をする機会はいくらでもあります。けれど、それ以上の会話は意外にも少なく、互いに関心を持たずに、黙々と仕事をこなしている。悪気はなくとも、そんな組織が増えているように思います。同じ部門で働いていても、その人が今どのような仕事をし、どのような壁を感じているのか。また、それをどう乗り越えているのかは、傍目からはなかなか分かりにくいものです。そんな時には、ぜひご自身のプロジェクトを語る、「ストーリーテリング会」を開催してみてはいかがでしょうか。

ストーリーテリング会と聞いて、「なんだか、むずかしそうだなぁ」と思った方もいるかもしれません。でも、心配はいりません。ストーリーテリング会は、格式ばった報告会でもなければ、プレゼン大会でもありません。日常の中では、なかなか共有するチャンスのなかった、自分の仕事(プロジェクト)を、それこそ桃太郎の話をするような気楽な気もちで、周りの人に語り聞かせる会です。

どんなきっかけで、そのプロジェクトはスタートしたのか。どんな目的があったのか。進めていく上で、どんな壁や修羅場が待ち受けていたのか。修羅場を乗り越えるための努力や挑戦は何か。そして、どんな結果をもたらしたのか。これらのことを、「正直な気持ち」を込めて語ることが大切です。綺麗なだけの話では、聞いている人を惹きつけることはできません。ぜひ、「この時辛かった!」とか「もう逃げたかった!」とか「失敗した!」など、リアルな感情をストーリーにこめて語ってみましょう。お互いの挑戦や成功を共有することで、共感が生まれ、組織内のコミュニケーションの助けとなるはずです。

ちなみにKDIでも、定期的にプロジェクト経験を共有する、ストーリーテリング会を開催しています。ここでのルールはただ一つ。“アドバイスはしても、批判は絶対にしない”こと。ストーリーテリング会は、参加者にとって「楽しい場」であることが、実は何よりも大切だからです。
自らの挑戦を思いっきり語り、聞く人はそれを無条件に讃える。こんな時間が、お互いの次のチャレンジの原動力になります。和やかで楽しい場とするために、開催の際には、ぜひ温かいコーヒーとお菓子の準備もお忘れなく!

■シーン2:営業スタイルを変革させたい時
  ストーリーテリング例:過去のベストストーリーを語る

市場が成熟し、顧客からの要求がますます多様化する現在。従来の行き当たりばったりの営業スタイルが通用しなくなる中で、多くの企業が「営業スタイルの変革」の必要性を叫んでいます。その一方で、「営業スタイルの変革の重要性は分かる。でも、どう変えてよいのか分からない」という社員の声も、多く聞くようになりました。

けれど思うのです。どのように営業スタイルを変革するかの答えは、すでに営業一人ひとりが持っているのではないか、と。「営業スタイルの変革」とは、おそらく、まったく新しい働き方をすることではなく、各自がこれまでの営業経験の中で知らず知らずのうちに行なってきた“良い行動”を可視化し、それを日常的に実践していくことではないでしょうか。
そんな変革の欠片を集めるために、ぜひチーム内で、「顧客とのベストストーリー」を語り合ってみてください。ベストストーリーを話しはじめると、その中に、一人ひとりの価値観を表す“良い行動”がいくつも含まれていることに気づきます。たとえば、こんな話があったとしましょう。

保守の対応に不満を持った顧客が、長年続いた契約の継続を拒否。私はそれが言えなくて、二日間悩みました。怒鳴られることを覚悟で上司に話してみると、笑顔で「くよくよすんな」と頭をこづかれました。そして、部門長をはじめとしたサポートチーム全員が、「トラブルやミスはお客様との新たな関係を築く絶好のチャンス」と捉え、動き出しました。もう後悔している暇もないくらいに忙しくなり、全員でそのミスがなぜ、どのように起こったか、原因を解明していきました。その結果、適切な解決方法を見つけ、速やかに顧客へ報告したことで、顧客の信用は回復。継続的なサポートを要請されたのです。

これは、修羅場を乗り越えたベストストーリーです。この中には、「誠実に対応する」「チーム一丸となって対処する」「顧客のニーズを先読みする」「顧客の心を掴む」といった、“良い行動”がたくさん詰まっています。このようなストーリーテリングを部内で行なえば、“良い行動”の欠片も無数に増えていくでしょう。どのように営業スタイルを変革するのか。その答えも、どうもこの中にもありそうです。
年度が変わり、新しいチームとして発足する時や、新入社員が加入した際はチャンスです。ぜひ自己紹介を兼ねた、過去のベストストーリーを共有する場を設けてみてください。新しい営業スタイルの転換のヒントはもちろん、今まで見たことのないメンバーの横顔を知ることができ、新しい信頼関係が作られていくはずです!

■シーン3:組織の一体感を醸成したいとき
  ストーリーテリング例:会社の「物語」を紡ぐ

最近よく、「組織力が低下している」「会社に一体感が感じられない」という声を耳にします。一人で完結するような仕事をしている場合、自分も忙しいし、あえて隣の人の仕事を知る必要がないと考える人も多く、それが組織のタコつぼ化現象を加速させているようです。

そんなときはぜひ、組織の上に立つ方が、「一人ひとりの仕事に意味がある」ということを、ストーリーテリングを通して伝えてみてください。創業者の逸話でも、伝説的なエンジニアの武勇伝でも、新しい事業を立ち上げたときの奮闘記でも構いません。会社のストーリーを使い、過去から現在へのさまざまな出来事がきっちりと線でつながっている様子を、社員に見せることが大切です。10年前のあの出来事があったおかげで、5年前の出来事が起きた。そのおかげで半年前の出来事が起き、そして現在がある、というように。会社は意味があって今ここに存在し、その会社に勤めているあなたもまた、意味のある存在であることを伝えてみましょう。そうすることで、社員は自分の意味性に気がつくはずです。

そして、「失敗の話」もお忘れなく。アネット・シモンズは、『ザ・ストーリー・ファクター(The Story Factor)』という著書の中で、上司は自分の失敗談や、そのときの恐怖心を話すべきだと書いています。どうしても会社の物語というと、サクセスストーリーばかりが語られがちですよね。ですが、新事業を創造するまでに、どれだけの失敗を繰り返したか、冷や汗をかいたかといった、生々しいストーリーの方が、何倍も社員の心を掴みます。うまくいくためには、どうすることが大切なのかが伝わり、一人ひとりの創造性と活力を引き出すことにつながるはずです。

と、ここまで3つのシーンをご紹介してきました。みなさんが活用できそうな場面はありましたか?
最後に、私がストーリーテリングをおススメしたい一番の理由は、その「気楽さ」にあります。わざわざ忙しい合間にプレゼン資料を作る必要もありませんし、最後に、残業してレポートにまとめる手間もいりません。
ただ、みなさん一人ひとりがご自身の経験を、聞き手の立場に立ちながら正直に語ってみる。それがスタートで、すべてです。女子の恋愛トークも、主婦の井戸端会議も、サラリーマンの居酒屋談義も、よく聞いてみてください。内容は立派なストーリーテリング。むずかしいことはありません。ちょっとした自慢も、ありえない失敗も含めて、腹を割って話す。そして、それを自分自身が楽しむことです。

楽しい空気は、職場の中で急速に広がっていきます。ぜひ今日から、みなさんも気楽なストーリーテリングを仕掛けてみてください!ほんの少しの知識とちょっとした勇気で、職場スイッチを入れられるはずです。

担当:Brave Biographer小野

富士ゼロックスKDIに関する著書

富士ゼロックスKDIのメンバーが書籍を出版しました!
詳細は以下のリンク先をご覧ください。
全国の書店で大好評発売中です。リンク先からもご購入いただけます。
裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-

[著] 野村恭彦  [出版社]プレジデント社

今回から連載がスタートした「裏方ほどおいしい仕事はない!」 のベースとなっている書籍です。
より詳しく“7つの仕掛け”を紹介しています。

裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
(プレジデント社)
裏方ほどおいしい仕事はない!-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-

[著] 富士ゼロックスKDI  [出版社]ダイヤモンド社

“知のめぐり”をよくし、知識や人がサラサラと流れていく組織を実現させた「変革リーダー」9人の実話と「サラサラの組織」にするための方法論をお伝えします。

サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-
(ダイヤモンド社)
サラサラの組織-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-


 
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