ページ内移動用のリンクです
サイト内共通メニューへ移動します
本文へ移動します

ナレッジ/知識経営

ナレッジマネジメント 知識経営 知識創造

K(Knowledge)-Direct Vol.9 裏方ほどおいしい仕事はない!
― 肩書きより10倍役立つ「事務局力」実践講座 ―

2009年12月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

先月より連載を開始した「裏方ほどおいしい仕事はない!」。大変好評をいただきありがとうございます。第二回は“ケアをするメール”についてご紹介します。
打ち合わせの連絡や普段のやり取りのメール、一方的になっていませんか……?メールを「連絡」ではなく、「ケア」の為のツールとして捉えたとき、その後のチームワークがきっと良いものに変わる──。そんな方法をKDI野村がお伝えします。

index
1 第1トラック
  オピニオン(9):「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を超えて
2 第2トラック
  裏方ほどおいしい仕事はない!(2)仕掛け:「ケア」するメールとは
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(9)「ブレインストーミング」
富士ゼロックスKDIに関する著書

1

第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(9):「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を超えて

国際大学GLOCOMで、「イノベーション行動科学」という研究会を主宰しているのだが、そのテーマの一つに「ビジネスプロデューサーの行動科学」というものを挙げている。その研究パートナーが、秋山進さんだ。秋山さんはリクルート時代、まだ会社全体が紙媒体全盛の中で、リクルートブックオンザネット(現リクナビ)を構想し立ち上げた、生粋のビジネスプロデューサーである。

秋山さんによると、ビジネスプロデューサーの行動指針は、いわゆる「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」に対比して、「置き石・水やり・待ち伏せ」だという。その最大の違いは、報連相が活動を「つねに目に見える」ようにするのに対し、ビジネスプロデューサーは「目に見えない仕掛け」を大切にしているところだ。

ビジネスプロデューサーは、川の流れを変えようとしたときに、いきなりダムを造ったりしない。そんな提案が通るわけがないことを知っているからだ。3つくらいの石を置いてみて、少しずつ川の流れを変えていく。そして時々見に来て、「流れが変わってきたぞ」とほくそ笑む。

置き石が流れてしまっていたら、また違うところに置き直したりする。自然に流れが変わりはじめると、組織もその変化に気づくころだ。ビジネスプロデューサーは、組織のトップを会議室を出たところや洗面所で待ち伏せる。そして、雑談の中で自分の提案をさりげなく伝える。

正式な提案を行なう時点では、もうすべての条件が整っている。置き石の向こうに、大きな堤防を造るのは、もうビジネスプロデューサーの仕事ではない。あなたの提案を受けて、組織が当たり前の業務として行なうからだ。

秋山さんのビジネスプロデューサーの行動指針から学ぶべきものは、「仕掛けは目に見えないから価値がある」ということだ。「置き石しましたので、プロセスを評価してください」などと言ったりは決してしない。自然に流れが変わったと思わせなければ、意味がないからだ。

ビジネスプロデューサーの最大の武器は、シナリオを書くことだ。半年にわたるプロジェクトのシナリオを書く、あるいは一時間の会議のシナリオを書く。誰をどのようにやる気にさせるか、反対派をいかに取り込むか……。政治、スポーツ、経営など、人や組織が絡むものには必ず、シナリオがあり、ドラマがある。

ホウ・レン・ソウは、説明責任を果たすという意味では、ビジネスパーソンの基本であることは否定しない。しかし、すべての活動をホウ・レン・ソウする、つまり上司が理解する仕事しかしていないようでは、イノベーションは起こせない。

あえて、ホウ・レン・ソウしない仕事、自分なりの仕込みの時間を作る。そして、上司に「こんなことできないのかな?」と言わせて、「実は、ちょっと準備していましたよ」というふうに、さりげなく見せる。こういう仕事の深みが、これからのプロデューサ型人材には求められているのだ。

野村
担当:野村
2

第2トラック

<「事務局力」で会社を動かす! 事務局力を発揮する方法をお伝えします>

裏方ほどおいしい仕事はない!(2)仕掛け:「ケア」するメールとは

第二回の記事では、いよいよ、事務局力という「みんなのために献身的に尽くすイノベーター」が、具体的にどんな「仕掛け」によって周囲を動かすのか、ということを示していきます。

最初に強調しておきたいのは、事務局力は得意、不得意で測れる種類の能力ではなく、繰り返しの動作により身体が覚える「型」や「作法」のようなものだということです。事務局力は、効果的な「立ち位置をとる(ポジショニング)」ことがすべてです。みんなの中心であり、それでいて、もっとも表に出ない「低い場所」を選びます。そこから会社を動かしていきます。わかりますか?「低い場所」とは、リーダーのようにみんなを牽引する立場とは異なり、雪かき仕事を率先して行なうような立ち位置を指します。そしてそこから、人より先にパッと動けるかどうかです。言うなれば、一番たくさんボールを拾う「球拾い」のような立ち位置です。

事務局力を発揮する上で、最初のチャレンジが、「関係者を集める」ことです。会議でも、その他のプロジェクトでも、あるいは飲み会でもすべて基本は同じです。いいメンバーが、やる気をもって集まること。それが集まりの成功要因です。そこで威力を発揮するのが、メールです。年配の人は、「お願いをするときにメールは失礼」と言いますが、逆にお願いされる側からすると、電話で追いかけ回される方が迷惑です。依頼が明確なメールをもらった方が助かります。メール使いで成功するポイントは、メールを「連絡」のためではなく、「ケア」のためのツールと捉えるところです。ケアとは、もちろん「気遣っていますよ」という意味です。

なぜケアなのかと言うと、メールを心と心を通じさせるコミュニケーションの媒体として使うためです。メールの多くは、一方的な「通知」をするものになってしまっています。報告しましたよ、日程お送りしましたよ、お願いしましたよ――。この一方通行をコミュニケーションとは言いません。

打ち合わせの二日前に、出席予定者全員へ会議のアジェンダをメールするとき、これを「ケアメール」にすることが望ましいのです。同報通信では、ケアはできません。冒頭数行だけはその人向けにしましょう。メールのボディ部分(本題)は、あえて「他の人と共通のコンテンツ」であることがわかるように分けます。
ケアの部分には、あなたにはこの話し合いのなかでとても大事な役割があります、ですからこのアジェンダを前もってお送りしております。当日、有意義な議論をするためにお役立てください・・・・・・という気持ちを書きます。表面的な文言にはそれほどこだわらないでいいです。ただ、出席者や自分が「当事者である」ということを自覚し、「意見を言おう」と思うような内容であることが肝心です。まちがっても「明後日の会議のアジェンダです。ご査収ください」みたいなメールはやめましょう。

そしてメールの終わりは、「ハグ(抱きしめる)部分」として一行か二行、その人個人向けのメッセージを入れます。「あなたと仕事ができることを考えると、今からワクワクします」であるとか、「忙しい中、協力してくれて、いつも本当にありがとう。心から、感謝しています」など、ちょっと気恥ずかしいくらいに表現しましょう。

一人ひとりに「ケア」するメールをタイムリーに送ることで、会議の前後のチームワークにリズムを与えることができます。レッツ・トライ!

次の第三回は、事務局力の仕掛けの一つ、『アガペー(神の愛)モード』をご紹介します。

<次回以降の予告>
第三回 仕掛け:アガペー(神の愛)モードで会議をうまく進める
第四回 実践:営業部門を事務局力で革新するには
第五回 実践:プロジェクトを「祭り!」にして成功させる

野村
担当:野村
3

第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(9)「ブレインストーミング」

ブレインストーミング(Brainstorming)は、集団発想の方法として、1950年代にアレックス・F・オズボーン氏によって考案されました。参加するメンバー同士でアイデアを出し合うことで、お互いの発言や記述に触発されながら、数多くのアイデアを創出していく技法として、広く知られています。日本では、「ブレスト」と略されて呼ばれることも多いと思います。

ブレインストーミングのルールとして、オズボーンは、以下の四つを定義しています。

<ブレインストーミングのルール>

  • 質よりも数を多く出すことを重視する
  • 他のメンバーのアイデアを批判しない
  • バカバカしいと思えるアイデアを歓迎する
  • 他のメンバーのアイデアに相乗りする

企業の中で「ブレストしよう」というときには、おそらく、上記のルールを共有した上で、実施されていることと思います。

しかし、上記ルールを守ることは、頭でわかっていても、実行することは意外と難しいものです。今回は、ブレストを進めていく上で心がけておきたいことを、ご紹介してみたいと思います。


■ブレインストーミングで扱うテーマ

ブレインストーミングの手法を使う際に、ブレストの手法がふさわしいテーマ、ふさわしくないテーマという区分が厳密にあるわけではありませんが、「新しいアイデア」を得たい場合と、「現状の課題」を把握したい場合では、よりよいアウトプットを得るためのコツが、少し異なることを経験的に感じています。両者それぞれのコツを、以下にご紹介します。


□「新しいアイデア」を得たい場合

従来の価値観や考え方にとらわれずに、新しい発想を得たい場合は、前記のブレストのルールにあるように、「まずは質を求めず、数を多く出す」ということが大切です。その他のルール(アイデアを批判しない、バカバカしいアイデア歓迎、アイデアの相乗り)は、数を多く出すための具体的な方針である、と捉えることもできます。

数を多く出すためには、その場の雰囲気作りがきわめて大切で、参加メンバー全員が「突飛なアイデアでも、気持ちよく言いやすい」と感じられる雰囲気を作れるかどうかが、ブレストがよりよいものになるかどうかの、分かれ道になると思います。

「日ごろの肩書を外して」とか、「自由に考えてください」と口で言うだけで、雰囲気が変えられればいいのですが、そう簡単にはいかないものです。「アイスブレイク(かたい雰囲気を壊す)」と呼ばれる、雰囲気を変える演出を意図的に心がけたいものです。アイスブレイクのやり方はさまざまありますが、このK-DirectでもVol.3の第3トラックに、いくつか例を取り上げていますので、ご参照いただければと思います。


□「現状の課題」を把握したい場合

組織の課題など、なかなかおもてに現れにくい課題を把握しようとする場合にも、ブレストが使われることがあります。この場合は、新たな発想が欲しいというよりも、日ごろ口にしにくいこと、心の内にしまっていることなどを、参加メンバーに出してもらうことが重要です。

そのためには、ブレストのルールである「質より数を出そう」というところを、あまり強調する必要は、ないかもしれません。課題出しに際しては、「日ごろ感じていた○○という点について、なんとか解決したいのだが」という、思いの表出が大切です。数をたくさん出すために、無理やり考えて出す必要性は、あまり高くないのではないかと思います。

大切なことは、「言いにくかった事を、今日は言ってもいいのだな」という、安心感を作っていくことではないでしょうか。アイデア出しの場合と同様、アイスブレイクをやることも、効果的でしょう。楽しい、前向きな演出と同時に、課題出しの場合は、「あなたの課題意識を、しっかり受け止めます」という真摯な態度で、参加メンバー同士がふるまいたいものです。

アイデアというものは、そもそも思いつきにくいものなので、ブレインストーミングでは、「質を問わず、まずは数を出してみましょう」というルールによって、アイデア出しの促進をねらっています。一方で、課題意識というものは、「日ごろ感じているけど、言い出しにくい」という傾向があります。課題出しを促進させるためには、「言いやすい雰囲気、安心感」の提供を、忘れないようにしたいものです。


■ブレインストーミングに費やす時間

「いいアイデアを得たい」と思ったときに、どの程度の時間を費やして、ブレストを行なうべきでしょうか。

米国のデザインコンサルファームであるIDEO社のトム・ケリー氏は、彼の著書*1で、以下のように述べています。

「ブレインストーミングは、午前中いっぱいとか午後いっぱいを費やすべきではない。経験から言って、60分が最適な長さだろう。とても充実して1時間半に伸びることはときおりあるが、ブレインストーミングに必要な身体的、精神的エネルギーをそれより長く持続させるのは難しいのだ。」

いいアイデアがでないときは、フラストレーションを感じるものです。そんなとき、「もっと時間をかけなければ!」と思うのは自然なことだと思います。しかし、フラストレーションを抱えた状態で、時間だけを長引かせても、いい結果にはならないという示唆を、ケリー氏は与えています。

フレッシュな頭で、メンバーがブレストに取り組めるような配慮が必要と言えそうです。


■数多くのアイデアが出た後に何をするか?

ブレストを実施し、幸い数多くのアイデアが得られたとき、その数多くのアイデアをどのように取り扱っていくべきでしょうか。

「ブレストはやったけれど、アイデアを出したところで止まってしまい、その後に活かされない」ということもあるかもしれませんね。数が勝負のブレストですから、ブレスト後に残されたアイデアは、玉石混交です。ここから、きらりと光るアイデアを見出していくことが、まずは大切です。


□アイデアへの投票

「質より数」というルールのもとで出されたアイデアに対しては、参加したメンバー同士で「投票」をすることで、最初の絞り込みを行なう方法があります。ブレストに参加した全員で投票することがポイントで、投票結果に対しては、「チームの意思である」という意識をもつことが大切です。

「出されたすべてのアイデアを詳細に検討後、良いアイデアを選ぶ」ということをしたくなるかもしれませんが、おそらく多大な時間がかかるでしょう。まずは、投票で「スパッ」と絞り込み、絞ったアイデアについてのプロトタイピングを行ない、アイデアをブラッシュアップさせていく、というスピード感が大事になってくると思います。



新しい価値の創出を求められている組織では、「従来の延長ではない発想を!」という掛け声が、経営トップから発せられていることと思います。しかし、欧米の手本に対して「追いつけ追い越せ」の精神で、かつては成功を収めてきた日本の組織は、従来とは違う発想をすることの難しさに、現在直面しているのではないでしょうか。

ブレインストーミングは、従来とは違う発想をなんとか引き出そうと試みる、一つのテクニックです。
ブレストをやれば必ずよいアイデアが出る、という保証があるわけではありませんが、オズボーンによるブレストのルールや、この記事でご紹介したコツを意識することで、「少しでも前に進めるアイデア」を得られる可能性が高まると感じています。

最後にもう一つ。新しい発想を得るには、メンバー一人ひとりの個性が発揮されることも大切です。「会社では、真面目で間違いを起こさない」メンバーに、そのままのモードでブレストに参加してもらっても、従来の枠を越えてもらえないかもしれません。会社では真面目な人でも、週末にはまったく違う顔で趣味に没頭しているということもあります。ブレストの場では、むしろ、そのような顔を表に出してもらえるような配慮が、必要になってくるでしょう。また、「ちょっとブレストに参加してくれないか?」と誘われるような、アイデアジェネレーターとして周囲が認めてくれる人材になれるよう、広い視野で世の中を見る習慣を、一人ひとりがもてるようになると理想的かもしれませんね。

(参考文献)

*1トム・ケリー、ジョナサン・リットマン著、「発想する会社!」、早川書房、2002年

Vivid Experience Designer 石間
担当:Vivid Experience Designer 石間

富士ゼロックスKDIに関する著書

富士ゼロックスKDIのメンバーが書籍を出版しました!
詳細は以下のリンク先をご覧ください。
全国の書店で大好評発売中です。リンク先からもご購入いただけます。
裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-

[著] 野村恭彦  [出版社]プレジデント社

今回から連載がスタートした「裏方ほどおいしい仕事はない!」 のベースとなっている書籍です。
より詳しく“7つの仕掛け”を紹介しています。

裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
(プレジデント社)
裏方ほどおいしい仕事はない!-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-

[著] 富士ゼロックスKDI  [出版社]ダイヤモンド社

“知のめぐり”をよくし、知識や人がサラサラと流れていく組織を実現させた「変革リーダー」9人の実話と「サラサラの組織」にするための方法論をお伝えします。

サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-
(ダイヤモンド社)
サラサラの組織-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-


 
 
ここまで本文

このページのトップへ