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ナレッジ/知識経営

ナレッジマネジメント 知識経営 知識創造

K(Knowledge)-Direct Vol.10 裏方ほどおいしい仕事はない!
― 肩書きより10倍役立つ「事務局力」実践講座 ―

2010年1月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

今回もみなさまにヒラメキを与えるコンテンツでお送りする「K-Direct」。
第1トラック“オピニオン”今回のテーマは「多様性の活用」。「多様性」に着目したこれからの仕事のやり方について提案します。第2トラック“裏方ほどおいしい仕事はない!”では事務局として会議をうまく進める為のコツを。そして、第3トラック“KDI流創造的ワークスタイル”は「ビジネスタイトル」。毎回第3トラックを担当するKDIクルーの名前に、気になる肩書きがついている事にお気づきですか?今回はその名前に込められた「思い」をご紹介します。

index
1 第1トラック
  オピニオン(10):「多様性の活用」
2 第2トラック
  裏方ほどおいしい仕事はない!(3)仕掛け:アガペー(神の愛)モードで会議をうまく進める
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(10)「ビジネスタイトル」
富士ゼロックスKDIに関する著書

1

第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(10):「多様性の活用」

米国で発生したサブプライム問題に端を発した金融不安に象徴されるように、不確実性が増している今日の社会。世の中の動きを見ていると、これまでの分析的な経営手法だけでは、企業を存続させていくことが難しくなっています。既存の市場の枠を超えて、思いもよらない企業がある日突然競争相手になることもあるなか、持続的にイノベーションを起こしていくためには、仕事のなかにどのような創造性を組み込んでいく必要があるのでしょうか?
私たちは、「多様性」の戦略的活用が大きなカギを握っていると考えています。今日は、この「多様性」に着目し、2つの側面から考えていきたいと思います。


その1:「多様な専門性」の活用

一つ目は、「多様な専門性」です。
日本は、右肩上がりの成長を遂げる中で、生産性向上・効率化に最適な人材像をつくり、それに合った人を採用し、育てることに注力してきたと言えるのではないでしょうか。
皆さんの企業の採用活動を、振り返ってみてください。「わが社の求める人材像」と掲げ、それに近い人を採用していませんか?今度は、入社後の育成について考えてみてください。いかに生産性を上げ、効率的に仕事を進めていくか、という教育がされていませんか?ここまで極端ではないにしろ、どこか思い当たる節がある方が多いのではないでしょうか。
「生産性向上・効率化に最適な人材」は、明確なゴールが設定され、迅速かつ正確にこなさなければならない条件下では、質の高い仕事をします。しかし、はっきりしたゴールが与えられず、ゴール自体をみずから定義しなければならなかったり、従来とは異なる創造的な思考を求められたりすると、とたんに途方に暮れてしまいます。過去、このような人材を企業自らが大量に育ててきた結果として、企業の中には同質な人ばかりになってしまいました。これが、日本の企業でイノベーションが起こりにくくなっている一つの原因ではないかと考えています。

そこで、着目したいのが、「多様な専門性」の活用です。

世の中で発生している様々な問題が複雑に絡まりあい、ある事象が思いもよらない事象へと次々に波及していく時代です。多くの企業は、今までとは異なり、より複雑で困難な課題を解かなければいけない事態に直面しています。こうした課題に対して、「多様な専門性」を持つ人を集め対話を行ない、多様な専門知を活用することが、未来志向で持続的なイノベーションを起こし、課題の解決につながると考えられます。欧州では、実際にこういった活動を行ない、課題解決に向けた行動を生み出す象徴的な場として、「フューチャーセンター」と呼ばれる「開かれた知識創造の場」の開設が進んでいます。また、10月号の中でも登場した、知識経営研究の大家であるローレンス・プルサック氏も、「世界のいくつかの国や企業が、世の中が変化していく中で生き続けているのは、彼らがその時々に素晴らしい『組織的判断』をしてきたからである。素晴らしい組織的判断をするためには、『様々な異なる知識を集め、それらを活用すること』が大切である。」「開放性を大切に、様々な声に耳を傾け、多様な視点で語れば語るほど、良い結果が生まれる。」と述べています*1

今、皆さんが抱えている問題・課題も、「多様な専門性」を活用することで、大きな前進が見込まれるのではないでしょうか。すぐに取り掛かれることとしては、同企業内の様々な部門を巻き込むことが挙げられます。それだけでなく、今後は業界・企業という組織形態・国をも超えて連携し、より多様な専門知をダイナミックに取り入れて、活動していくことが求められていると思います。


その2:「個の中の多様性」への着目

二つ目は、「個人の中の多様性」への着目です。
企業のマネジメントの文脈で、一つ目の「多様な専門性の活用」を考えると、皆さんの頭の中にはどんなことが浮かんできますか?先ほど述べたような、様々な部門との連携でしょうか?多くの企業で、各部門には、その部門で必要な専門性を持った人が働いていますよね。適した能力を持つ人を適切な部門に配属し、更に能力が伸びるように教育する。特に、2000年初頭に成果主義が多くの企業で導入されて以来、米国型の職務記述を明確にし、その職務に合った人材を配置する、という「適材適所」という言葉で言い表せるマネジメントが、広く行なわれてきたのではないでしょうか。

「適材適所」は、もともと伝統的な日本家屋や寺社など、建築現場での木材の使い分けから生まれた言葉です。「適材適所」の材とは木材の材を意味しており、大工さんが「適切な木材を適切な場所に使わなければ建物が長持ちしない」ことを教える言葉からきています。企業のマネジメントでは、「材」を人に置き換え、個の持つ能力に着目し、その人の適正や能力にふさわしい仕事に就かせ、能力を発揮してもらおうという考え方として活用されています。この考え方は重要です。ただし、「多様性」という観点から考えると、これからの時代は「適材適所」から一歩進んだ考え方が求められると考えています。というのも、これまでは「個の持つ能力」といっても、ある一つの側面にしか目を向けてこなかったように思うからです。個人が持つ能力は決して一つではなく、様々な面を持っています。これからは「各個人の中にある多様性」に着目した、「適能適所」という考え方が必要になってくるのではないでしょうか?

たとえば、ドイツの伝統的な企業シーメンス社と、創造的文化で有名なフィンランドのノキア社が共同出資で立ち上げたノキアシーメンスネットワーク社では、個が持つ多元的な能力に着目し、それぞれの能力と仕事をマッチさせる取り組みを行なっています。このベースとなっているのは、同社の「ベストピープルミックス(Best People Mix)」いう考え方です。今までの企業がやりがちだった、「Best People(優秀な人)を集めて、彼らに素晴らしい仕事をしてもらおう」というのではなく、「BestなMix of People(人の絶妙な組み合わせ)によって、イノベーションを生み出していこう」という考え方です。いい大学を卒業した優秀な人を雇ったからといって、イノベーションが成功する、あるいは、その人がクリエイティブな仕事をしてくれると約束されているわけではありません。そこで彼らは、一人ひとりを多元的に見て個人が持つ様々な能力・側面に着目し、異なる能力をBestな形で組み合わせることによってイノベーションを起こし、今までにはない価値を創出しようとしています。「Bestな組み合わせこそ大切だ」と発想を転換させると、個の持つ専門性以外の能力も、とても重要になってきます。「今回の組み合わせをBestにするためには、AさんのBという能力が必要だ!」といった具合に、「適能適所」の考え方で見直すと、今まで軽視されていた能力が活きる場面が一気に増えます。思いもよらない自分の一面に光を当てられた方の、モチベーションアップにもつながるのではないでしょうか?

ご自身について考えてみてください。会社の一員であり、夫・妻であり、父親・母親であり、息子・娘であり……趣味のグループの仲間からは、一目置かれる専門家かもしれませんね。どこかのコマーシャルのようになってしまいましたが、少し考えただけでも、ご自身の中にある多様性が見えてきたのではないでしょうか?

皆さんの企業には、何人の方が働いていますか?専門性以外の能力や、その人の持つ会社員とは別の側面に目を向けてみると、所属している人数の何十倍もの「素晴らしい能力の宝庫」と言えます。これらの知を活用したら、新しいことが生まれてこないはずはないと思いませんか?

新たな10年間がスタートした2010年である今年、「多様性」に着目し、多様な知を活用した創造的な仕事のやり方について、ぜひ考えてみてください。

(参考文献)

*1KDI講演(2009年開催)にて発言

Fun-Surf Attendant 石井香菜
担当:Fun-Surf Attendant 石井香菜
2

第2トラック

<「事務局力」で会社を動かす! 事務局力を発揮する方法をお伝えします>

裏方ほどおいしい仕事はない!(3)アガペー(神の愛)モードで会議をうまく進める

事務局が、その力を最大限に発揮する場は「会議」です。しかし、会議がうまくいくかどうかは、大部分がその会議を支配する「モード(様式)」にかかっています。そこで、裏方と仕切りを完璧にこなすことで、事務局の「シナリオどおり」に会議をすすめることを可能にしましょう。

なごんだ雰囲気の会議、コチコチの会議、ギスギスした会議、ダラダラした会議。せっかくいいプレゼンをする人がいても、会議がギスギスしたモードで始まってしまっていたら、出てくるコメントは辛口になります。このようなかたちで会議の結果が変わってしまうことを事務局は阻止しなくてはいけません。なぜ会議がピリピリしてしまうのでしょうか。それは必要のない緊張感が原因だと思います。話し手が緊張すれば、聞き手も緊張するし、話し手が警戒して攻撃的な態度に出れば、聞き手も攻撃的になります。このモードをコントロールすることが、事務局力として最も重要なことなのです。

協力的なモードを保つためには、参加者全員をお客様ととらえ、各人の満足度を高めながら、全体をナビゲートしていく「寛大さ」が必要になります。しかし、思いのほか忍耐力がいるものです。この寛大さを手に入れるために、事務局に必要なことは、「神の愛」、そう「アガペー」のモードで包み込む「構え」です。誰に何を言われても、「参考になるご意見をありがとうございます」「それは大事な点ですね」「良い質問をいただきました」と返すには、心の構えが何より重要です。

「神の愛」は、「神の視点」と言い換えることもできます。神様のように少し「上」のほうから俯瞰して全体をみつめるのです。「神の愛」や「神の視点」を身につけるには多少の訓練を必要とします。まずは、会議のとき、参加者全員を一人ずつ「神の愛」で見つめてみましょう。例えば、いつも厳しいことを言う部長が参加しているとしましょう。人には厳しいが自分には甘いんだから……といって内心腹が立つかもしれませんが、「神の愛」で見つめてみましょう。もしかしたら自分が一番先に発言させてもらえないことを不満に感じているのかもしれないし、会議の場で「前もって聞いていない話」が出てくるのを極端に嫌う性質なのかもしれない。単に「あの人いつもああだから」ではなく、いくつか仮説をたてて対策を講じてみましょう。大切なのは、その人を黙らせようというアプローチではなく、気持ちよくさせてあげようというアプローチをとるということです。そもそも事務局には「権限」はないわけだから、「黙らせる」などということはできないはずです。そして部長を気持ちよく、事務局の思い通りに踊らせてあげましょう。

人間は攻撃的な相手には攻撃で返し、友好的な相手には握手を返すようにできているのでしょう。事務局が神の視点で「アガペーモード」を保つことができれば、その愛に包まれた参加者たちは、いつの間にかエネルギーを与え合う関係性を構築し始めます。この至高の経験を共有したチームは、その後も助け合う関係を続けていけるようになるでしょう。レッツ・トライ!

次の第四回は、事務局力の実践として、『営業部門の事務局力』をご紹介します。

<次回以降の予告>
第四回 実践:営業部門を事務局力で革新するには
第五回 実践:プロジェクトを「祭り!」にして成功させる

野村
担当:野村
3

第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(10)「ビジネスタイトル」

皆さんの中で、ご自身の個性や専門性、自分ならではの感性、将来へのキャリア像などが現在の仕事を通して果たせていると実感している人は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。人生の大半の時間を投入する仕事が、自分の意に添わず「のらない」ものであるのは、じつはとてももったいないことと、私たちKDIは考えています。
多くの日本企業は、あらかじめ設定された仕事や役割に人をあてはめているのではないでしょうか?旧来の、指示命令的な階層構造を前提とした人材登用を続けている限り、個人のやりがいも、明日の価値となる創造性を発揮させることも、至難の業だと思うのです。

富士ゼロックスの社員だれもが、入社研修で教えられ、ことあるごとに問い直し、大切にしている詩があります。

ロバート・フロスト 「行かなかった道」(“Road Not Taken”)森の中でふたまたの道があり一方は、踏みならされ、もう一方は、だれも通った跡がなかった。私は、後者を選んだ。それが大きな違いをもたらした。

これは、ゼロックス・コーポレーションの創業者J.C.ウイルソンが好んで使ったフレーズで、ゼロックスのフロンティア精神を表し、新分野に切り込む企業風土を象徴する言葉として、語り継がれているものです。
私たちKDIは、「だれも行かなかった道」である「知識創造経営の実践を日本中の企業に拡げる」ことを目指して創設されました。そして、まず自らが知識創造経営を体現するために、自発的、自己選択的に自らの仕事をデザインするナレッジ・ワーカーとしての働きかたを実践してきました。つまり、KDIでの仕事は、個人のビジョン(夢、目標、得意技、趣味などを踏まえたもの)にあわせて創り出されているのです。
従来の日本企業ですと、強烈でユニークな個性を発揮する人と仕事をするとき「癖があって使いにくい人」「和を乱す人」と扱っていたのではないでしょうか。会社の言う通りに働く人が、いい社員であると皆が信じていたからでもありますし、また個人がやりたいことを主張してしまったら、集団としての組織が成り立たないと思いこんできたからです。
このことに真正面から立ち向かい、個人のビジョンと仕事をリンクさせるのに一役買っているのが、KDIメンバーの一人ひとりが自ら定義する「ビジネスタイトル(肩書)」です。

KDIクルーの「ビジネスタイトル」
KDIクルーの「ビジネスタイトル」

これらは、現在所属するメンバー全員のビジネスタイトルです。「冗談ではないの?」と思うようなユニークなタイトルが、一人ひとりにつけられていて、じつは名刺にも刷り込んでいます。
このビジネスタイトルを創り出すためには、不確実な未来に対する自分自身の「志」と「信念」である、言わば「大ぼら」を表出することが求められます。新しく仲間入りしたメンバーは、まずこのビジネスタイトルを決めなければなりません。異動初日から、「あなたの志はなんだ」という禅問答がつねに投げかけられます。心から好きなこと、得意なこと、世の中に成し遂げたいこと、未来にありたい自分の姿などを、夢と希望を持って自分の「タイトル」に表出できるまで、自分自身の内面(本質)とのやり取りが続きます。クライアントの皆さんも、新しいKDIメンバーの人となりを象徴するものとして、新人のビジネスタイトルを楽しみにしてくださっています。
そして、ビジネスタイトルは新人メンバーのみならず、ベテランメンバーにとっても、つねに「自分らしい価値創出ができたか」と振り返る基軸となっています。名刺交換をした相手から説明を求められることもしばしばありますし、なにか判断に迷うときにも、ビジョンや原点に引き戻し、自分の信念を確認する絶好の機会になるのです。

じつは、このビジネスタイトルによるチャレンジで可能になることとは、組織のメンバーがお互いに信頼しあい、助け合い、励まし合う仲間として、相互にキャリア実現を助け合っていく風土をつくることといえます。その人がものごとをどのような視点からとらえる傾向にあるのか、どのような部分にこだわりを持っているのかという個性が仲間からわかることで、深いレベルでの相互理解ができます。これによって、誰にどのような情報を提供すればいいのか、どのようなチャレンジ機会を作ればいいのか、どのプロジェクトに誰の知見を生かせばいいのかといった、個人のキャリア支援が自然に織り込まれるようになるのです。自分自身のビジョンとマッチングした仕事を担当できて、自分らしい仕事をしている人のプロジェクトに対する熱の入れようは半端ではありません。その情熱が、組織の知的生産性を最大限に引き出すことになるのです。

個性を象徴したビジネスタイトルは、自分が何をやりたいのか、想いを語って賛同者を増やし、仕事を作っていくことを可能にします。組織にとっては、一人ひとりの社員の人間性すべてをあますことなく活かし組み合わせることで、無限の可能性をもつ組織になれる、とても大切な言葉なのです。
みなさんも、あなたの生きざまをビジネスタイトルに表現してみませんか。

Twinkle- Tinker 齊藤
担当:Twinkle- Tinker 齊藤

富士ゼロックスKDIに関する著書

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全国の書店で大好評発売中です。リンク先からもご購入いただけます。
裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-

[著] 野村恭彦  [出版社]プレジデント社

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より詳しく“7つの仕掛け”を紹介しています。

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サラサラの組織
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[著] 富士ゼロックスKDI  [出版社]ダイヤモンド社

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