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ナレッジ/知識経営

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K(Knowledge)-Direct Vol.11 裏方ほどおいしい仕事はない!
― 肩書きより10倍役立つ「事務局力」実践講座 ―

2010年2月

構成・文:富士ゼロックスKDI(Knowledge Dynamics Initiative)

4月から掲載してきましたK-Directも残るところ、あと2回。
第1トラックでは、KDIが日本で初めて創設した、“Future Center(フューチャー センター)”について紹介します。“Future Center”とはいったい何なのか?2回に分けてお伝えします。大好評連載中の「裏方ほどおいしい仕事はない!」では、営業部門を事務局力で革新するための方法を紹介。事務局力で社内の体質を変えていきましょう!

index
1 第1トラック
  オピニオン(11):「未来創造の場 “Future Center”(1)」
2 第2トラック
  裏方ほどおいしい仕事はない!(4)実践:営業部門を事務局力で革新するには
3 第3トラック
  今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(11)「ぶらぶら活動(イノベーション行動)の推進」
富士ゼロックスKDIに関する著書

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第1トラック

<20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をします>

オピニオン(11):「未来創造の場 “Future Center”(1)」

4月から連載してきましたK-Directも、あと2回となりました。第1トラックでは、20世紀型組織で当然のように使われていたキーワードに対して、問題提起をしてきました。最後の2か月は、「Future Center」についてご紹介したいと思います。Future Center(以下FC)とは、組織内外のステークホルダーの知を融合して開発・解決・革新を図る「イノベーションの場」です。


複雑な問題に直面する現代の組織

みなさんの組織には、以前から議論がなされているはずなのに、なかなか前進せず、解決していない問題があると思います。たとえば、生産性向上と人の育成を両立させる、新しい事業の柱を作る、各部門の利害を越えた全体最適な策を得る……このような「古くて新しい問題」は、原因が複雑に絡み合って、手がつけられなくなっています。
問題の「複雑さ」には、次のような三つの要因が潜んでいるといわれています。

  1. 物理的複雑さ:原因と結果が時間的/物理的に遠く、因果関係を特定しづらい
  2. 生成的複雑さ:未来が過去の延長線上になく、予測不可能性が高い。これまで経験してきたやり方では解くことができない
  3. 社会的複雑さ:ステークホルダー間の異なる視点が、合意形成を困難にしている

(『手ごわい問題は、対話で解決する』アダム・カヘン著.2008. より)


つまり「単純でない」問題は、いつもと同じ会議室で、いつもと同じメンバーで、いつもと同じ議事進行で粛々と議論を進めても、今までのやり方ではもはや解けない問題なのです。


フューチャーセンターとは

その解決の鍵となるのが、問題解決の「場」であるFCです。これは、単なる空間としての会議室ではありません。FCに集まる多様な人々が、確立された方法論に則って対話を進め、「集合知」を束ねていくことで、経営者やリーダーの意思決定に頼らず、解決策を自分たちで探っていくための「場づくり」です。
実は、欧州では1990年代前半からこのような場の取り組みがなされています。「フューチャーセンター」は、スウェーデンやオランダなどの欧州各国で発祥した場の総称です。その背景には、EU経済圏の統合、地球環境問題への対応、途上国の格差問題解決と市場開発、国や業界を超えたイノベーション実現の要請など、複雑で困難な課題を解く必要性に直面していることがありました。そこで、中長期的な課題解決を目指し、幅広い関係者が集まって対話する創造的な協業の場として、ここ十数年の間に、企業や政府機関による約40カ所のFCが開設されたのです。FCでの議題は、製品開発や事業戦略策定などの民間事業分野から、政策立案など行政分野まで多岐に渡ります。


日本でもFCが活発化してきている

日本ではどうでしょうか。私たちKDIは、欧州FCの数カ所を訪問し、2007年に自分たちのオフィス内にフューチャーセンターと称した空間を設け、対話を促進させる「高質な場」を研究・実証してきました。その結果、FCの実践には次の3要素がとても大切であることがわかってきたのです。

  1. その問題を前向きに解きたいという意欲を持った多様性の高いメンバーを集めること
  2. 空間デザイン、もてなし、方法論に基づくファシリテーションを駆使した、対話に集中できる雰囲気を演出すること
  3. 対話の過程や成果を、対話の参加者以外にも伝え、次のアクションに繋げるためのコンテキストを共有すること

そして、日本中の企業・組織が、このような要素を持つFCを自主的に運営するための場づくりを支援する「フューチャー・センター・サービス」が始動し、昨年には、グッドデザイン賞2009(サービスシステム部門)を受賞しました。
また、昨年7月には、FCを研究・実践することをめざした「フューチャー・センター・コミュニティ」を発足させました。自動車、保険、商社、シンクタンク、公的研究機関など、37団体108名の方々が参加し活動を行なっています。スウェーデンやオランダから欧州FCの中心的推進者を招いた講演会や、日本での実践企業の事例発表会、自社で実践するための運営ポイントをブレイン・ストーミングする大会など、業界、産官学のセクターを横断しての共有・対話がなされています。

未来というものが、従来の延長線上にない時代が到来しています。一人ひとりの意志で、未来を描き、多様な協力関係によって具体化していくFCの取り組みは、組織が未来志向に変わるために、いま、最も求められている場なのではないでしょうか。私たちKDIは、日本国内でFCのネットワークが拡がることで、よりよい社会を構築していくことができると考えています。

フューチャー・センター・コミュニティへのご質問はこちらから

来月は、欧州FCの最新情報をレポートします。

齊藤
担当:齊藤
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第2トラック

<「事務局力」で会社を動かす! 事務局力を発揮する方法をお伝えします>

裏方ほどおいしい仕事はない!(4)実践:営業部門を事務局力で革新するには

いよいよ、事務局力を発揮して会社を動かしてみましょう。その一つの例として、営業部門の革新を考えてみたいと思います。まず自分の所属している部内をどう動かすか、次に組織を横断して会社をどう動かすか、そして会社を超えて社会をどう動かすか、という順に想像を膨らませていってください。

営業の仕事は、単にモノを売ることではありません。顧客の問題を解決したり、顧客の仕事や生活を豊かにするなど、「顧客の価値」を提供するのが営業の仕事です。それでも、営業部門の「仕事のやり方」は、「顧客の価値」とは無関係になってしまっていることが多いのが実情です。コンサルティングをしていて、営業部門の最大の問題は、それぞれの「顧客の課題」を全体で共有していないことだと思います。自分の顧客のところにだけ足繁く通い、情報を集め、仮説を立てる。社内のソリューション事例をイントラネットでかき集め、提案をまとめる。一方で、他の営業が担当している顧客がどんな問題を抱えていて、それに対してどんな提案をしているか、何がうまくいっているのかには関心がありません。

営業部門内で共有すべきは、顧客の抱えている課題です。顧客の課題をカテゴリー分けすることではじめて、提案型のソリューションやマーケティングが可能になるからです。ではなぜ、営業部門では「顧客の課題の共有」が行なわれないのでしょうか。それは、営業部門の中心的施策が「営業成果による競争原理」にあるからだと言えるでしょう。営業成果で競争をさせようとした場合、組織的なマーケティング活動よりも、すばらしい成果をあげた営業に対する報奨などが重視されます。マーケティングが功を奏して、売れない営業が成果をあげてしまったら、競争にならないからです。

このような体質を変えていくためにやるべきことは、マネジャーであっても、一担当者であっても同じです。「顧客の課題を共有する場」をつくることです。「自分の顧客が何に困っているか」を徹底的に共有する、そのための物語を語り合う場をつくるのです。最初は面倒くさいと言う人もいるでしょう。自分の顧客への提案に役立たないと思うからです。あの手この手で、皆をその気にさせましょう。特に、優秀な営業担当者は念を入れて場に呼び込みましょう。

夕方みんなが営業先から帰ってきたら、会議室を占領して、皆で集まりましょう。そして参加者一人ひとりに、「今、どんな顧客を担当しているのか。どんなことに顧客は困っているのか」ということだけを物語として語ってもらいます。大事なことは、「営業担当者の仮説」というアイデアではなく、「顧客の課題」というファクトを語らせることです。そのためには、「話しやすい場」をつくることも大切です。コーヒーとお菓子、あるいはビールとつまみといった小道具が役立つかもしれません。そうやって、使えるものは何でも使って話を引き出します。語られた内容は、その場限りにせず、次々にホワイトボードに書いていきましょう。

「顧客の課題」を共有したら、優先順位付けをします。優先順位の高いものから共通のソリューションをみんなで描きましょう。それぞれの参加者が個性を出して、競争するのではなく、協力しあって、顧客の課題を分析し、提案型ソリューションやマーケティングの土台を築くのです。こういった活動をリードすることこそ、営業部門の変革に、なくてはならないものです。それが、営業部門に必要な事務局力なのです。レッツ・トライ!

次の第五回は、事務局力の実践として、『プロジェクトを祭りにする方法』をご紹介します。

<次回以降の予告>
第五回 実践:プロジェクトを「祭り!」にして成功させる

野村
担当:野村
3

第3トラック

<K-Crewの創造的ワークスタイルを、メンバー一人ひとりが紹介します>

今日からできるKDI流創造的ワークスタイル(11)「ぶらぶら活動(イノベーション行動)の推進」

KDIは「知識創造経営のコンサルティング」という、「目に見えない価値」を相手に仕事をしています。この仕事は、顕在化している課題に対して、順序よく問題を解決していくものではありません。

まず、顧客の直面する課題をしっかりと受け止め、なぜそうなってしまうのかという、利害関係者一人ひとりの心理に共感するだけの「感受性」が必要になります。

このためのトレーニングは、小説や映画を見て感動したり、異なる文化と触れ合う旅をしたり、色々な立場の人と知り合って対話をしたりすることです。

次に、顧客の課題を多様な視点から検証し、多角的にアイデアを集め、今までにない発想で問題に立ち向かう「創造性」が必要になります。

このためのトレーニングとしては、異業種あるいは異文化の企業、NPO/NGOなどの社会セクターなど、自組織とできるだけ異なる常識で動いている組織の人との対話が有効です。

つまり、「目に見えない価値」を相手にするために必要な「感受性」と「創造性」の獲得のためには、社内の人とばかり話をしていてはだめだ、ということになります。


そこでKDIという組織が公式に推進している行動指針が、「自分の時間の50%を『ぶらぶら活動』に使え」ということになります。

ぶらぶら活動とは、文字通り、目先の仕事に役立つものではない(つまり営業活動は含まない)、新しい視点を得るための社外との交流をさしています。明確な目的なしにあちこち行く活動なので、ぶらぶら、と呼んでいます。

社員がぶらぶらしてたら、会社は潰れちゃうんじゃないか?と心配される方もいらっしゃるかと思います。

もちろん、価値のないぶらぶらを皆がしていたら、単に生産性が落ちるだけになってしまいます。もし、ぶらぶらしていた中に、新しいアイデアが生まれたら?もし、ぶらぶらで会った人が、ビジネスの成功に直結する協業相手になったら……?そう考えてみてください。

写真:KDIで開催されたワールドカフェ・イベントの風景。(多様な参加者とのつながりが一日でたくさんできる対話の場として、ワールドカフェは最適のぶらぶら活動の源です。)
写真:KDIで開催されたワールドカフェ・イベントの風景。
(多様な参加者とのつながりが一日でたくさんできる対話の場として、
ワールドカフェは最適のぶらぶら活動の源です。)

私は、各人が50%の時間を「顧客にチャージする時間」にして、あとの50%を各人がぶらぶらしている状態が、コンサルティング会社の理想の状態だと考えています。

と言うのは、「50%の価値あるぶらぶらによって、顧客への時間単位のチャージ価格を向上できる」からです。

このことは、コンサルティング事業のビジネスモデルの革新を意味します。ふつうコンサルティング会社は、コンサルタントのグレード毎の時間単価を決めていて、短期的な売上向上のためにはチャージ時間をできるだけ増やそうとします。これは、システム構築のSEの価格体系と同じです。

これに対して、KDIでは顧客に対する「場の価値」で勝負をしようとしています。本来、できるだけ短時間で問題を解決した方が、「場の価値」は高いわけです。ですが、時間でチャージをすると、同じ問題の解決のために時間をかけた方が、価格が高くなってしまいます。このジレンマから、一般のコンサルティング会社は抜けられません。

短時間の「場」に高価なチャージをするためには、場に付加価値をつけること、場に多様な参加者を呼び込むこと、場に多角的な視点を持ち込むこと、などが考えられます。こういった付加価値はどれも、ぶらぶら活動によって高められるものです。


あなたの一日8時間の仕事時間を見直してみてください。なんとなく過ごしている時間はどのくらいありますか?資料作成のために、あーでもない、こーでもないと、PCに向かって試行錯誤している時間はありませんか?

チャージしている時間とは、必死に資料を作っているときの時間だけです。試行錯誤している時間は、顧客にチャージできません。ですから、50%を顧客にチャージし、50%をぶらぶら活動に使うということは、まったく無駄な時間は過ごせない、ということを意味します。

でも、ご安心ください。ぶらぶら活動の感じがつかめてくると、いわゆる試行錯誤で悶々とする時間は、自然に、ほとんどなくなります。明日までに資料作成しないといけない、というときも積極的にぶらぶらしに行くのです。そうすると、ぶらぶらしながらも、資料のことが頭にこびりついています。そうすると、あらゆるぶらぶら活動で得られる刺激が、資料のネタに感じられます。資料は、書きたくて書きたくて仕方がないくらいになってから、ドッと書けばいいのです。

さあ、あなたも、騙されたと思って、50%の時間をぶらぶら活動に使ってみてください。社内の他部門に行って、「最近どう?」「どんなことしているの?」と聞いて回ることも、立派なぶらぶら活動です。

明日はどこにぶらぶらしに行こうか。こう考えて夜眠るのは、なんとも健康的で、創造的ではないですか。

WOW! Research Explorer 野村
担当:WOW! Research Explorer 野村

富士ゼロックスKDIに関する著書

富士ゼロックスKDIのメンバーが書籍を出版しました!
詳細は以下のリンク先をご覧ください。
全国の書店で大好評発売中です。リンク先からもご購入いただけます。
裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-

[著] 野村恭彦  [出版社]プレジデント社

今回から連載がスタートした「裏方ほどおいしい仕事はない!」 のベースとなっている書籍です。
より詳しく“7つの仕掛け”を紹介しています。

裏方ほどおいしい仕事はない!
-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
(プレジデント社)
裏方ほどおいしい仕事はない!-肩書より10倍役立つ「事務局力」実践講座-
サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-

[著] 富士ゼロックスKDI  [出版社]ダイヤモンド社

“知のめぐり”をよくし、知識や人がサラサラと流れていく組織を実現させた「変革リーダー」9人の実話と「サラサラの組織」にするための方法論をお伝えします。

サラサラの組織
-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-
(ダイヤモンド社)
サラサラの組織-あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵-


 
 
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