ページ内移動用のリンクです
サイト内共通メニューへ移動します
本文へ移動します

ドキュメント/文書管理

この記事へのご意見・ご感想をお聞かせください
ドキュメント 文書管理 バイタルレコード

<連載> 文書管理は意識改革から ― 富士ゼロックスの10年を振り返る ―
(7-1)研究・開発・生産拠点への「文書管理」展開の組織化と推進ステップ

2009年4月

富士ゼロックス株式会社
総務部 文書管理グループ マネジャー
酒井 英美

酒井 英美 プロフィール
酒井 英美1983年入社、7年間の営業部門を経て、1990年人事部へ異動。1995年 総務部文書管理グループへ移り現在に至る。1997~1999年 文書管理規程改正ならびに会社情報取扱規程制定に従事。2004~2005年 全社バイタル・レコード・マネジメント・タスクの事務局、本社部会長。2006年~2007年本社移転情報コンテンツ部会長。本社移転に関わる中で、統合文書管理システム「Febly」の第1フェーズ開発を推進、2007年5月首都圏に先行導入し、2008年4月1日全社導入。また、2006~2007年には文書管理規程の改正、文書管理細則の制定に従事。現在、統合文書管理システム「Febly」の第2フェーズの開発を進めるとともに、研究開発生産拠点へ文書管理の展開を推進している。ISO15489国内委員。行政文書管理士。

コンセプト/考え方 事例

「文書管理」は企業の一部分だけがやっていても万全とはいえません。企業の機能は各所(プロセス)に分散されており、各所に保有される「文書」が有機的に連携した上で、企業の事業が成り立っているからです。したがって、「説明責任」を担保するためには、それらの連携を維持した上での「文書管理」が必要になります。
つまり、全社で「文書管理」を統合的に行う必要性があるのです。

index
1 本社から研究・開発・生産事業所へ
2 推進体制の構築とパイロット部門への展開
3 「実施スケジュール」と「8つのステップの主な作業」
4 現状確認会の概要と結果
5 「文書管理」推進のKey


連載の全体概要図はこちら

1

本社から研究・開発・生産拠点へ

2004年から始まった文書管理展開活動からいくつかの課題が抽出されました。
本社移転活動の詳細につきましては「2008年11月(4-1)本社移転を機会に紙文書のファイリングシステム導入」ならびに「2008年12月(4-2)文書管理の維持と、管理をする難しさ」の中で、本社移転を契機とする「文書管理」展開をご紹介させていただきました。この本社移転の中で始めた本社部門の文書管理を維持し、定着しなければなりません。そのためには、年度替りに行なう「置き換え」「移し換え」が着実に行なわれ、その結果として他者検索のスピードアップがなされているかどうかの検証、つまりファイリング点検(モニタリング調査)を行なう必要があります。これを繰り返し行なうことで、組織の中に良い習慣を作り上げていくことが重要になってきます。これは、一説によると10年の歳月が必要とも言われています。毎年、着実にステップアップして行くことが重要なのだと考えます。
また、本社移転に際しては、「ファイリング教育」を実施したものの、部門推進者、グループ・チーム推進者を対象としたものであり、部門長やグループ長、チーム長などのマネジャーにファイリングの必要性の理解を求めたものでは無かったこと、さらには「文書管理規程」自体を教育に含まなかったことなど反省すべき点があります。したがって、本社以外へ文書管理を展開する際には、教育に「文書管理規程」の教育を含めることと、教育の対象者に部門長やマネジャーを加えることが必要になってきます。
次に、バイタル・レコード・マネジメント活動によるバイタル・レコードの保護は、全社活動として広がりを見せたものの、この活動の限界は、バイタル・レコードは全社全文書の2~7%程度である、と言うことです。この点につきましては、「2008年8月(2-2)『バイタル・レコード・マネジメント』の維持と課題」の中で触れさせていただきました。つまり、全社活動を行なって、現在は維持活動に移っているとは言うものの、文書管理全体から見るとほんの一部分に過ぎないということです。

  バイタル・レコード バイタル・レコード以外
本社
本社以外 ×

したがって、本社以外にも全文書を対象とした「文書管理」の展開が必要になってきます。
そこで本社に続いて、大きなウエイトを占める研究・開発・生産5事業所に対して、「文書管理」を展開することに決めたのです。研究・開発・生産5事業所には約8,000人が勤務しています。本社とそれらの事業所を合計すると、全社の60%程度をカバーできると考えたわけです。

2

推進体制の構築とパイロット部門への展開

図1「文書管理」の展開体制
図1「文書管理」の展開体制
(クリックすると拡大して表示します)

図1は、研究・開発・生産5事業所に作った組織の略図です。「各事業所総務G」以下の組織は、事業所ごとに組織化しました。
「文書管理」を現場部門で推進してもらうためには、事業所単位で自己完結的に推進するための「組織化」が必要となります。そうでなければ、後述する8つのステップの全てのステップにおいて、本社総務部からコントロールしなければならなくなります。これは現実的ではありません。
そこで、5事業所を統括する事業所総務グループに全体の取りまとめをお願いするとともに、事業所ごとに推進する組織を構築しました。図の「事務局(1)」には、本社総務部も事務局として参画しています。「事務局(2)」は、基本的には各事業所総務グループにより構成されますが、必要があれば本社総務部も協力するという形にしました。
また、部門という大括りでは「文書管理」を進めることはできません。推進しやすい最適なサイズの「組織」としなければなりません。事実、研究・開発・生産部門の部門は規模が大きく、本社部門のグループが研究・開発・生産部門のチームに相当する規模でした。
そのため、各部門の最小組織単位である「グループ」または「チーム」から「文書管理推進者」を指名してもらいました。加えて、同じ部門の「文書管理推進者」の中から、部門を代表する「部門文書管理推進者」を指名してもらいました。これにより、実際の「文書管理」推進は最小組織単位で推進し、事務局からの依頼事項や連絡事項の伝達が円滑になると考えたのです。
そして、当時の組織では、15事業・機能本部単位にパイロット部門を1部門(実際にはグループ、チーム単位)を選定してもらい、それらの部門を対象に本社で導入した「文書管理」を試験的に導入し、研究・開発・生産部門にも適用できるかどうかを確認することにしました。
選定した部門(グループ、チーム単位)は、事務系20グループ/チーム(173名)、開発系16グループ/チーム(170名)です。

3

「実施スケジュール」と「8つのステップの主な作業」

図2「実施スケジュール」と「8つのステップの主な作業」
図2「実施スケジュール」と「8つのステップの主な作業」
(クリックすると拡大して表示します)

2008年下期から「組織化」に着手し、組織化が進んだ事業所から随時教育を開始しました。受講対象者は、全部門長、全部門文書管理推進者および全文書管理推進者、パイロット部門においては全社員、従業員です。教育の内容は、「ファイリング」および「文書管理規程」の教育で、それぞれ2時間のコースです。「ファイリング」教育では、上記図2に示す8つのステップの全体概要を説明し、これから実施に移してもらう事項の概要を把握してもらうためのものです。「文書管理規程」教育は、2008年4月1日付けで改正した「文書管理規程」の概要を説明し、社員、従業員は「文書管理」を実施する義務があること、部門長は「文書管理責任者」として「文書管理」を行う責任があることを認識してもらうためのものです。
また、「文書管理」の展開には、一回きりの教育を行ない、後は部門に任せるというやり方では展開できないあろうと考え、8ステップの各ステップで「これからの実施事項」の説明と「前回実施事項のレビュー」を繰り返して進めていくという形を採用しました。その上で、各ステップの途中で進捗状況をフォローするものとしました。
このような形で、2008年7月から8月にかけての完成度点検(現状確認会)までの間、全パイロット部門を対象に「文書管理」を推進しました。

4

現状確認会の概要と結果

パイロット部門への「文書管理」完成度点検(現状確認会)を、2008年7月から8月にかけて、アンケート調査ならびに巡回による点検を行ないました。
図3は現状確認会の概要を示したものです。「1.組織の取り組み」はアンケート調査により、パイロット部門の平均得点と提出率によって、パイロット部門の「組織の取り組み」の得点としました。

図3 現状確認会の確認項目と確認方法および配点
図3 現状確認会の確認項目と確認方法および配点
(クリックすると拡大して表示します)

部門巡回による点検項目は本社2年目点検項目と同様のものです。違いは、本社は2年目でもあり、他社検索が30秒以内であるのに対し、研究・開発・生産パイロット部門では初年度のため1分以内としました。また、研究・開発・生産事業所においては、年度が替わっていないため、置換え、移換えに関する点検項目を削除しました。(上記、点検項目の詳細については2008年12月「(4-2)文書管理の維持と、管理をする難しさ」をご参照ください。)
これらの点検項目にもとづき、パイロット部門 事務系20グループ/チーム、開発系16グループ/チームを点検したのです。その結果を示すのが図4です。

図4 現状確認会の結果
図4 現状確認会の結果
(クリックすると拡大して表示します)

35部門/36部門(97%)が合格点70点をクリアしており、極めて完成度が高いものとなっています。未達部門は、「組織の取り組み」のアンケート未提出が大きく影響しました。これは、全事業所事務局(本社総務部)のフォロー不足により、パイロット部門内での「文書管理」の重要性の理解が徹底できなかったものと反省しています。今後の展開時には、再度取り組む必要があり、その際には、重要性の理解の促進を図りたいと思います。

4

「文書管理」推進のKey

「文書管理」の展開を円滑に進めるためには、

  1. 事務局の確立
  2. 事務局を支援する強力な部隊の存在
  3. 「文書管理」推進のための「組織化」
  4. 経営トップの理解と支援
  5. 「文書管理」展開により影響を受ける組織の組織長、社員の理解と協力

以上の5点がKeyになるのではないかと思います。これらは重要性の順番ではなく、いずれも同列に重要な要素です。そしてこれらは、社内で「文書管理」を展開するなかで、経験から学んだものです。

最初に、『1.事務局の確立』ですが、事務局としての機能すべき本社総務部などの部門に文書管理展開の知見やノウハウが蓄積されており、これからの推進ステップを理解していることが重要です。
これが欠如していると、実施部門への説得力がないことになり、実施部門の不信感を助長することになります。今後進める内容の詳細や、どんな疑問にも応えられるレベルでの理論的な知識と実践経験にもとづいた対応ができれば実施部門の信頼も増し、協力を得ることができます。

次に『2.事務局を支援する強力な部隊』の存在ですが、これについては、事務局に質的、量的に事務局のみで推進できる体制にあれば必要ありません。
しかし、これは現実的には無理ではないかと思います。この場合には、事務局を協力に支援してくれる頼もしい部隊が必要になります。当社の本社総務部では、この文書管理展開にフルで従事しているのは一名であり、単独では何もできないのが現状です。しかし、バイタル・レコード・マネジメント・タスクの中でバイタル・レコード・マネジメントを維持するためにはそのための組織が必要ということになり、新たに設置した「レコード・マネジメント・センター(略称RMC)が威力を発揮するのです。当初の領域はバイタル・レコードのみでしたが、本社移転に際しては全ての文書に対象領域を拡大し、事務局を支援してくれました。彼らはファイリング指導者の資格を持ち、またバイタル・レコード・マネジメントを推進する過程で、本社各部門のメンバーレベルにまで人的つながりを構築していました。もちろん豊富な経験を蓄積していたのです。

続いて、『3.「文書管理」推進のための「組織」化』です。
組織化については、当社での進め方は前述していますが、それぞれのプレーヤーの役割と実施事項を明確に割り付け、各プレーヤーが自律的に動くようにします。加えて、進捗管理、課題解決などのための組織として事業所ごとに分科会を設け、事業所単位で自己完結的に推進できる組織を構築しなければなりません。すべてのプレーヤーが極力自律的に動くようにしなければ、事務局の負担が増すばかりとなってしまいます。

さらに、『4.経営トップの理解と支援』には2つの側面があります。
一つは、推進する事務局を管掌する経営トッブの理解と支援、もう一つは影響を受ける部門を管掌する経営トップの理解と支援です。事務局を管掌する経営トッブの理解と支援がなければ、予算を確保できません。
影響を受ける部門を管掌する経営トップの理解と支援の獲得も重要です。部門には部門のミッションがあり、このミッションの達成に時間を費やしています。その大事な時間を「文書管理」に割いてもらうことになります。したがって、部門のミッションと同様に重要なのだと理解してもらわなければなりません。

最後に、『5.「文書管理」展開により影響を受ける組織の組織長、社員の理解と協力』です。
部門長の理解と協力を獲得できれば、部門の社員の協力はより強いものとなります。社員が個人的に協力しようと思っても、組織長が非協力的であれば、その社員が協力することはできないからです。

以上、当社の研究・開発・生産5事業所への「文書管理」展開のための組織化、推進ステップ、「文書管理」完成度点検(現状確認会)および「文書管理」展開のKeyをご説明させていただきました。
次回は、研究・開発・生産5事業所パイロット部門への「文書管理」展開後の「効果」についてご説明させていただきます。


この記事へのご評価・ご意見をお寄せください

回答が必要な場合は下記の「お問い合わせはこちら」ボタンをクリックしてください。

ご返信、ご回答が必要なお問い合わせはこちら

お問い合わせはこちら
 
 
ここまで本文

このページのトップへ