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全社のバイタル・レコードの保護、維持活動へ
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1-1. 「全社バイタル・レコード・マネジメント・タスク」活動からの課題
前号でご紹介したように、バイタル・レコード・マネジメントの全社展開において「全社バイタル・レコード・マネジメント・タスク」(2004年9月〜2005年末)が大きな役割を果たしました。タスク活動を進める中で、図1のような課題があらためて認識されました。

図1:全社タスクを進める中で提起された課題
そこで、バイタル・レコードの保護・維持活動を継続的に行なうための機能として、「レコード・マネジメント・センター」を2005年7月に設置しました。さらには、ちょっとした電子化は、現場部門でも簡単に行なえるような仕組みを構築しました。
1-2. レコード・マネジメント・センターの機能
既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、レコード・マネジメント・センターは、この連載の共著者である内田が所属している組織です。
レコード・マネジメント・センターの機能を示したのが図2で、(1)電子化作業機能、(2)維持活動機能、(3)原本管理機能、(4)組織変更対応機能、(5)コールセンター機能、という5つの機能を担っています。

図2:レコード・マネジメント・センターの機能
当社のバイタル・レコード・マネジメントは、まさにレコード・マネジメント・センターによって維持されているのです。
1-3. 現場部門でも簡単に電子化できる仕組みづくり
ところで、レコード・マネジメント・センターにバイタル・レコードを送れば電子化してくれるわけですが、「少枚数なら、もう少したまるまで待とう」という状況になっては、電子化は思うように進みません。そこで現場部門でも簡単に電子化できる仕組みをつくりました(図3)。

図3:現場部門でも簡単に電子化できる仕組み
(クリックすると拡大して表示します)
複合機(ApeosPort)でスキャンした文書内の固有名詞やキーワードを自動抽出し、属性として自動付与、その場でキーワードが確認できる、という仕組みです。つまり定型文書の場合は、あらかじめ読み取るべき領域を設定しておけば、OCR機能を使って属性情報として読み取ることができるため、担当者は複合機の「スタート」ボタンを押し、属性情報の内容に間違いがないことをモニター画面で確認するだけでよいわけです。
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経験からわかった電子化の前提条件
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さて、これまで、バイタル・レコードを電子化したあと業務は「電子化文書」を活用、原本は免震倉庫へ疎開させるという「バイタル・レコード・マネジメント」について説明しました。この「電子化」を進める中で、明らかになったことが一つあります。それは、「電子化」する際の「素材」、つまり「紙文書」の整理がキチンとされていないと電子化はおぼつかないということです。
社内の「紙文書」をご覧いただければおわかりのことと思いますが、主たる「文書」のほかにメモや関係のない文書の写しなどの不必要な文書が差し込まれていたり、誰かが付箋をつけていることはないでしょうか。
また、文書の区切りがついておらず、どこまでが一つの文書なのか判別がつかないケースもあるのではないでしょうか。
このような状態で電子化を進めると、要らないものまで電子化するために余計な費用がかかってしまうことになります。また、文書の区切りをつけていないと、電子化後には大量の文書が1文書とみなされ、目的の文書に行き着くまでに多くの時間を要することになります。文書の「電子化」を進める際には、まず「ファイリング」そのものの考え方が重要になるのです。
なお、主たる「文書」以外の文書の写しやメモ、付箋の中には、残しておくべき重要なものもあるでしょう。これらを一概に破棄すべき、というつもりはありません。電子化の準備段階で、きちんと整理を行なっておくのがよいと思います。
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バイタル・レコード・マネジメントから「文書管理」へ
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3-1. 当社の「文書管理」の問題点
こうしてバイタル・レコード・マネジメントを進めていく中で明らかになった、当社の「文書管理」上の問題点が図4です。

図4:当社のおける「文書管理」の問題点
その一点目は、業務文書が個人管理、つまり属人的な管理になっているということです。担当者がいないから担当者が出社した時にまた来てくれ、などということが多々あったのでした。多くの職場では、キャビネットには個人の名刺が貼られ、ここは自分の領域であるという管理方法を取られていました。これでは、個人所有物と業務文書が混在してしまいます。これは、「情報セキュリティ」が厳格になっている昨今、由々しき問題です。キャビネットに個人所有物と業務文書が混在しているということは、ある社員がキャビネットから何かを取り出し、カバンにいれたとしても、それが個人所有物なのか業務文書なのか判断できないことになります。つまり、職場の同僚による目視によって、業務文書の持ち出しを牽制できないということなのです。情報漏えいの多くは「紙文書」によってなされているといわれています。「情報セキュリティ」への対応のためにも、公私を区別する必要が「文書管理」の側面でも必要になるのです。
二点目は、不用・不要文書の氾濫です。同じ業務文書がオフィス内にたくさん存在するということです。業務文書の個人所有化、属人化がはびこっている状態では、自分の業務を行なうためにやむを得ずコピーを持っているということが多々あります。これは本来、不要文書なのです。
三点目は、文書の流れができていない(オフィスに紙が溢れている)ということ。かなり以前に作られた文書が、大事に大事にオフィスで維持されているのです。しかも、その文書を利用するものはいません。それでも、何の疑問を持つことなく放置されたままになっていたのです。
そして四点目は、紙文書と電子文書のルールがないこと。バイタル・レコード以外は各部門まかせになっており、手つかずの状態であるといえます。次項でもう少し考えてみます。
3-2. バイタル・レコード・マネジメントの「文書管理」上の限界
前号でも触れましたが、バイタル・レコード・マネジメントで取り組んだ「文書管理」の領域は、全文書の2〜7%といわれています。つまり、93%以上の文書は手つかずの状態にあり、氷山の一角しか管理できていないといえます。因みに、ISO9000関連文書は全文書の30%程度、ISO14000関連文書は全文書の10%程度と言われています。2008年度の会計年度から導入された、いわゆるJ-SOX法関連文書は、当社ではバイタル・レコードと重複している文書が多いと考えられるため、その比率も同程度と考えられます。いずれも、文書管理の領域全体から見ればパーツに過ぎません。したがって、今後は、文書全体を睨んだ「文書管理」活動とする必要があるといえます。

図5:バイタル・レコード・マネジメントの「文書管理」の限界
3-3. 今後の「文書管理」の方向性
従前に取り組んできた「文書管理」を、文書全体を睨んだ「文書管理」とするためには、まずどのような「文書管理」を目指すのか、「目指す姿」を明確にする必要があると考えます。
次に、その「目指す姿」を実現するためには、何をやれば良いのかを明確にしなければなりません。当社では、最初に「紙」文書を主体として、目指す姿を実現する「文書管理」に取り組むことが最善の方法だと考えています。なぜなら、「もの」として目の前にある、見ることができ触ることができる「紙」文書の管理ができていないのに、「もの」として目の前になく、触ることもできない「電子」文書や「電子化」文書の管理ができるわけがないと考えたからです。
次に、「紙」文書において実施した「文書管理」を、そのまま電子の世界に適用すれば良いと考えています。これは、メディアを統合するのではありません。原本性や利便性など、いくつかの観点から最善の形態を選択すれば良いからです。
そして、最後にもっとも重要なことが「維持活動」だと考えます。注力するすべてのエネルギーの和を10とすると、着手に2、維持に8で、維持の方により多くのエネルギーが必要となります。
これが、今後当社が全社「文書管理」へ向けて、その活動を進めて行かなくてはならない方向だと考えています。そして、本社移転を契機に、この方向へと「文書管理」を進めていくことになるのです。
これまでの2回を通じて、当社の「バイタル・レコード・マネジメント」の実践事例をご紹介させていただきました。実際に活動を始めるといろいろと実態が見えてくるもので、それが今後の活動へと生きてくるものです。さらに一歩一歩「文書管理」を着実に進めていきたいと、決意を新たにしております。
当社は、まだまだ「文書管理 夜明け前」の状態ですが、少しでもお客様の参考になれば幸いと考えております。
(次号に続く)
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