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ドキュメント/文書管理

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ドキュメント 文書管理 バイタルレコード

<連載> 文書管理は意識改革から ― 富士ゼロックスの10年間 ―
(3-1) 自ら実践!――ある営業部門の文書管理の取り組み

2008年9月

富士ゼロックス株式会社
営業本部 オフィスソリューション営業部
レコードマネジメント支援グループ
グループ長 内田 俊哉

内田 俊哉 プロフィール
内田 俊哉主な業務は社内文書管理の維持管理と、社内外の文書管理教育を通じ営業部門への支援活動を行なう。04年1月の六本木ティーキューブ移転実行委員会の情報コンテンツ推進チームリーダー、04年9月〜05年12月バイタル・レコード・マネジメントタスクの事務局、07年1月新本社移転実行委員会事務局、07年8月〜開発・生産・研究本部への文書管理タスク事務局など文書管理タスク、委員会活動に従事。行政文書管理士、ファイリング指導者、ITコーディネータ、ISO27001審査員補。

コンセプト/考え方 事例

2004年に実施した営業部隊約2,000名の移転では、75%の紙削減を実現しました。その背景には、お客様の視線に端を発した、ある営業部門の独自の取り組みがありました。具体的な経過も含めて、この事例を追っていきます。

index
1 きっかけはお客様の視線
2 成功の秘訣は5つのポイント
3 ファイリングの実践トライアル
4 空いたキャビネットはクロークに入れ替え
5 紙のファイリングの後に電子ファイリングを検討
6 メンバーのモチベーションを上げるために部門コンテストを実施


連載の全体概要図はこちら


前回は、バイタル・レコード・マネジメントの取り組みについて、総務部 酒井がご紹介しました。今回から2回、営業部門で実際に取り組んできた文書管理について、振り返ります。

1

きっかけはお客様の視線

それは2003年3月に、ある営業部門の部門長から相談が入ったところから始まりました。振り返ると、これが全ての原点であったと思います。「新年度(2003年4月)から環境分科会、ファイリング分科会、美化分科会の3つの分科会を結成しようと考えているのだが、協力してもらえないか」という支援要請でした。理由を聞いてみると、この営業部門の居室はショウルームの隣にあり、富士ゼロックスの営業がプレゼンテーションを行なう際、お客様が通る導線上にあったのです。

図1:きっかけはお客様の視線
図1:きっかけはお客様の視線


ショウルームを見学し、ドキュメントマネジメントのプレゼンを受けた後に、お客様の視界に入ってくるのがこの部門だったのです。机の上には書類が積まれていて、机の下、周りにも書類の山。決して見せられる環境ではなかったのです。営業自身も、これでいいのだろうか、とうすうす気づいていました。今回は部門長より、「ISOの審査のために実施するというのではなく、ファイリングの基本である5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を自ら実践することで、そこで苦労したことを、営業自身がお客様に語ることができるだろう」というものでした。その考え方に私もすぐに賛同し、協力することにしました。

2

成功の秘訣は5つのポイント

活動していく上で強く重要であると感じた点を、次の5つのポイントにまとめてみました。

図2:活動の重要なポイント
図2:活動の重要なポイント


  1. 何といっても部門長が強い意思を示すことです。分科会メンバーに任せがちになるのですが、自ら率先することが重要です。そして部門の全体会議などでは常に進捗状況の時間を割くなど、活動の重要性をメンバーに意識付けしてもらうことが大切です。
  2. 推進メンバーをきちんと決め、メンバーの役割と業務上の評価についても明確にする必要があります。ボランティア活動ではできません。
  3. 活動の目的と目標(ゴール)を決めて全員が認識する必要があります。そのため、目標は「紙削減50%」といったように具体的な方が良いでしょう。キックオフなどで全員に徹底することが重要になってきます。
  4. 全員で作業を行なう上でも、あらかじめ「何日、何時から何を実施する」など具体的にメンバーに予定してもらう必要があります。
  5. 廃棄を実施する際、特に共有キャビネット内の整理は全員が参加可能な日を決めることです。
3

ファイリングの実践トライアル

今回の活動は、単に紙文書の廃棄だけで終わらせたくないとの部門長の強い意思もありました。それは「日本経営協会で実施しているファイリングデザイナーの資格を、弊社もかなりの人数で取得しているけれども、その資格を実践で活かしていない。ぜひ、この機会にメンバーに経験させたい」というものでした。私自身もこの活動で試してみたいという気持ちに駆り立てられました。

図3:共有キャビネットの現状調査
図3:共有キャビネットの現状調査


まず、ファイリングの現状調査です。2人ペアでメジャーをもって、キャビネットの中に入っているものを文書、物品、図書・雑誌に分けてどのくらい幅をとっているのか測っていきました。それは一人当たりの保有量を把握する上で必要な作業でした。併せて個人の机の上、下、周りを同様の作業を進めていきました。

図4:個人の机周りの現状調査と一人当たりの保有量
図4:個人の机周りの現状調査と一人当たりの保有量

5:2:3の法則についてはX-Directレポート「ここがポイント!文書の電子化ファイリングの進め方」(2003年2月掲載)の図6をご参照ください。


この調査データは、目標値を決める上で必要であるとともに、メンバーが現状の実体を知る上でも効果的です。特にひどい状態をデジカメで取っておくとよいでしょう。また、メンバーに対して共有化する文書、現状の問題点・要望などをアンケートで取っておくことも重要です。ビフォア・アフターを見える形で取っておくと、活動を終えたときに費用対効果をレビューする上でも大変役立ちます。
メンバー全員に対して、現状の悪さ加減を知ってもらうとともに、ファイリングの用具の使い方を含めたファイリング研修を実施しました。

図5:個人の机周りの整理
図5:個人の机周りの整理


図6:共有キャビネットの整理
図6:共有キャビネットの整理


現状が把握できたら、いよいよ不要な文書の廃棄です。廃棄活動は全員で日取りを決めて一斉にやった方が作業がはかどるのは言うまでもありません。この際、廃棄するかどうか判断が迷った際に困りますので、文書管理責任者である部門長、マネジャーは必ず立ち会う必要があります。
廃棄が終わったら、次に文書が探しやすいようにファイル名を表示し分類と並べ替え(配列)を行ないます。その際、倉庫に預けるものと、更に不要な文書がまたでてきますので、文書保存箱と廃棄する箱を用意すると良いでしょう。また出来るだけ作業スペースがあると仕事ははかどります。

図7:整頓(分類と配列作業)
図7:整頓(分類と配列作業)

4

空いたキャビネットはクロークに入れ替え

せっかく廃棄作業をして、キャビネットがすっきりしたとしても、暫くすると空いたスペースに書類が入ってしまう――そんな経験はありませんか? 入れるところがあれば、また、そのスペースにものが入るでしょう。ですから入れ物を増やさないことが重要です。今回は空いたキャビネットをコートなどをかけるクロークに入れ替えました。打ち合わせスペースがない、あるいは席が少ないなどの要望があれば、打ち合わせコーナーや席を作っても良いと思います。書類削減によるスペースの有効活用も大事な効果になります。

図8:清掃(空いたスペースの有効活用)
図8:清掃(空いたスペースの有効活用)

5

紙のファイリングの後に電子ファイリングを検討

紙ファイリングの整理・整頓が完成したら、次に電子ファイリングの検討です。

図9: 清潔(紙文書、物品、図書に分けて保管)
図9: 清潔(紙文書、物品、図書に分けて保管)


事前に実施した部内アンケートの「電子で共有すべきものは何が良いか」という結果を整理して検討していきました。部門で共有するもの、グループで共有するものに分け、更には、よく活用するもの、皆が同時に閲覧する可能性があるもの、離れたところからも閲覧するもの、いざという時にすぐに必要となるものなどの考え方のガイドを示して検討すると良いと思います(図10)。というのは、紙文書をスキャンして電子化するのには作業工数がかかるため、何でもかんでも電子化するのは現実的でないからです。

図10: 電子ファイリングを検討手順
図10: 電子ファイリングを検討手順


電子で共有する文書が決まったら、部門内のルールを決めます。フォルダー体系をどうするのか。これは現在どのように仕事を進めているのかに影響します。文書名のつけ方・フォーマット・アクセス権・登録者・管理責任者などを決めて運用することが重要です(図11)。

図11: ファイル体系を含めた電子化ルール
図11: ファイル体系を含めた電子化ルール

6

メンバーのモチベーションを上げるために部門コンテストを実施

共有キャビネット、電子ファイリングについて、分類・配列の検討は全員で行なう必要があることは既に述べました。それは、皆が検索できる環境を構築することができるからです。しかし、個人が使用している机に関しては個人の裁量にゆだねられます。

そこで遊び心も加えて、個人の机の上、机の中、机の下、机の周りについての5S活動(整理・整頓、清潔、清掃、躾(しつけ))の展開をコンテストで実施しようと試みました。1次審査はデジカメで写真を添付した書類選考で、2次審査は1次審査を通過した10名に対して、今度は工夫や苦労した点などをヒアリングし、上位3名には図書券を贈呈するというものでした。ここでも部門長の強いリーダーシップによりコンテストは盛り上がりを見せ、素晴らしいファイリングの事例(アイデアや工夫)が多数でてきました。全体を底上げする意味で大変効果があり、良い事例に関しては水平展開もされました。

図12:個人の机周りを含めたコンテスト実施
図12:個人の机周りを含めたコンテスト実施


さて、今回の取り組みは、ある営業部門単独で行なったわけですが、この活動を実施している最中に、富士ゼロックスの2,000名の営業が、一箇所に集結することが決定しました。75%もの紙の削減が実施できた背景には、今回の一営業部での事例がとても役にたっています。 次回は、営業部隊2000名の移転における取り組みをご紹介します。



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