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ドキュメント/文書管理

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<連載> 文書管理は意識改革から ― 富士ゼロックスの10年を振り返る ―
(4-1) 本社移転を機会に紙文書のファイリングシステム導入

2008年11月

富士ゼロックス株式会社
営業本部 オフィスソリューション営業部
レコードマネジメント支援グループ
グループ長 内田 俊哉

内田 俊哉 プロフィール
内田 俊哉主な業務は社内文書管理の維持管理と、社内外の文書管理教育を通じ営業部門への支援活動を行なう。04年1月の六本木ティーキューブ移転実行委員会の情報コンテンツ推進チームリーダー、04年9月〜05年12月バイタル・レコード・マネジメントタスクの事務局、07年1月新本社移転実行委員会事務局、07年8月〜開発・生産・研究本部への文書管理タスク事務局など文書管理タスク、委員会活動に従事。行政文書管理士、ファイリング指導者、ITコーディネータ、ISO27001審査員補。

コンセプト/考え方 事例

2007年1月の本社移転をきっかけに、紙文書の管理・運営方法を見直しました。ファイリング用具が数多くある中で、それぞれの良さ、特徴を知らずに、過去からの習慣で運用され続けてきたためです。
今回は、こうした紙文書のファイリングシステム導入も含め、本社移転の取り組みをご紹介します。

index
1 文書管理の目的を達成するための要件
2 推進体制と役割・スケジュールを立案
3 現状を認識
4 文書削減の活動
5 ファイリングシステム(紙文書の管理)の導入
6 電子文書管理システム構築
7 新オフィスで変ったこと


連載の全体概要図はこちら


前号では、営業部門2,000名の移転を機に、ワークスタイル変革に取り組んだ事例を振り返りました。今回は、2007年1月の本社移転に関してご紹介します。営業部門の移転では準備期間が4ヶ月しかありませんでしたが、本社移転までに2年間あります。そこで、総務部を主管として、ファイリングシステム導入にチャレンジしました。
3月号でご紹介した「文書管理は社員の意識改革から! 〜 富士ゼロックスの実践事例 〜」と併せてお読みいただきましたら幸いです。

1

文書管理の目的を達成するための要件

文書管理に取り組む目的は色々とありますが、弊社では2009年決算期からの日本版SOX法本格適用に伴う内部統制の構築が背景にありました。説明責任を果たすための記録管理、コンプライアンス上管理しなければならない記録の管理が益々重要となってきていることはご承知のとおりです。
また今回は本社移転に伴い、従来のオフィススペースより20%削減されること、安全性の面より6段キャビネットから3段キャビネットへと標準仕様を変更し、収納スペースが60%近く減ることが決まっていました。そこで本社移転を円滑に行なうためにファイリングシステムを導入せざるを得えない、というのが実情でした。

そして文書管理の目的を実現するために、以下の要件を満たすことが必要となりました。文書管理の要件が満たされれば、全ての文書管理の目的を実現することができる、と考えたからです(図1)。

◆文書管理の要件

  1. ファイリング基準・ファイリングの鮮度管理の実現を図る
  2. 文書の種別と文書保存年限を明確にする
  3. 文書は廃棄基準を作成して廃棄活動を実施する
  4. 原本の管理を実施する
  5. 活性化文書に関しては業務の効率化の視点で電子化を推進する
  6. 情報漏洩防止のため、電子情報についてはアクセス管理、ログ管理、紙文書に関してはキャビネットの施錠管理の徹底を図る
  7. 何といっても個人に情報が依存している属人管理の排除を図る

図1:「文書管理の目的」の実現
図1:「文書管理の目的」の実現


これまでの経験からも文書管理の目的を明確にし、推進者および現場のメンバーに「何故、このような取り組みを行なう必要があるのか、を理解して納得してもらうこと」が、これから推進していく上でもっとも重要なフェーズだと感じています。

2

推進体制と役割・スケジュールを立案

次に大切なことは推進体制(弊社では、移転実行委員会の中の情報コンテンツ部会)です。各部門に代表者1名、部門配下のグループに1名の推進委員を配置し、推進リーダー(総務部)からの指示を部門内で展開する役割を担ってもらいました。また推進リーダーを支える事務局(レコードマネジメントセンター)も設置しました。どんな人が任命されるのか――現場は、会社の取り組みの本気度を見てきますので、この部分はじっくり時間をかけた方が良いと考えます。スケジュールについてもWBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)に細かく落として、進捗状況を常に確認していく必要があります。

図2:情報コンテンツ部会の組織
図2:情報コンテンツ部会の組織


図3:実施項目とスケジュール
図3:実施項目とスケジュール

3

現状を認識

今回、現状を認識する方法として3つの施策を実行しました。
1つ目は他社のベンチマーキング。日経ニューオフィス賞を受賞されたペーパーレス先進企業と、セキュリティの最先端技術を駆使した企業を、推進者のメンバー約20名で見学させていただきました。今回の取り組みの重要性を改めて共有したことと、自分たちに取り入れられるところがあるかどうかを参考にできたことが収穫でした。

2つ目は文書管理の意識調査。Webアンケートで実施したのですが、色々なメッセージが読み取れました。例えば、文書管理規程を見たことがあるのは、わずか60%の人しかいない事実を発見したこと。また、共有文書がある場合、「分類や保存年限は明確になっているか」という質問に2/3の人はできていないと答え、その状態もほとんど担当者任せになっている事実がわかりました。つまり、属人化されている現状が事実として浮き彫りになったわけです。

3つ目の施策は現場、現物、現実の確認。人手が掛かりましたが、約4660段という全キャビネットに入っている文書、物品、図書雑誌の量(cm)を確認し、問題点、課題を把握しました(ちなみに2人一組でキャビネット1本調べるのに5分程度かかりました)。21部門、約1,100名の平均保有量は5.1Fm*/人ありました。移転計画では2.42Fmにしなければなりませんから、53%以上は持ち込めないことがわかりました。

* Fm(ファイルメーター)
オフィスの文書を積み重ねた量で表す単位。1Fmは100cm。文書量で10,000枚程度。

図4:第1回目調査のまとめ
図4:第1回目調査のまとめ

4

文書削減の活動

現状を認識したら、文書削減活動からスタートです。何故なら不要な文書、物品、図書が一般的に50%以上は存在するからです。今までの経験から、原本があるにもかかわらずコピーが保管されているような重複管理された文書、賞味期限が過ぎているような陳腐化された状態の文書、用件が済んでしまったような文書がどこのオフィスにもあるからです(図5)。

図5:文書削減の基本的な考え方
図5:文書削減の基本的な考え方


個人情報、機密情報もあり、簡単にゴミ箱に捨てるわけにはいきません。そこで機密文書、個人情報用に廃棄用の箱を用意し、一括した溶解処理を4回実施しました。身の回りの入らないもの、表面に出ているものはすぐに廃棄の有無を判断できるので、1回目は目標の1,000箱を達成しましたが、2回目以降は苦戦しました。バインダーなどにファイルされている中身を確認しなければ、捨てられないからです。

しかし、ファイリングの切り替え作業(バインダーからフォルダーに入れ替え作業)を実施することで3回目あたりから効果が出てきて、最終的には目標であった3,000箱に達成することができました。その過程は簡単なものではありませんでした。部門によって取り組み方にバラツキがあり、削減状況の部門別進捗状況をイントラネット内でアップしたり、部門長に個別にお願いしたり、と推進事務局の涙ぐましい努力があったことも事実です。

その結果、もしオフィスに保管し続けていたら1箱あたり約2,200円/月の賃料に相当するため、年間約8,250万円のコスト削減に繋がりました。

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ファイリングシステム(紙文書の管理)の導入

今回の取り組みの目玉はファイリングシステムの導入です。今までほとんどがバインダー方式で慣れ親しんでいたものをフォルダー方式に切り替えました。ファイリング用具が数多くある中で、それぞれの良さ、特徴を知らずに、過去からの習慣でバインダーを使用してきたのです。
切り替えには現場の負担も多いため、今までのやり方を変えることに対する反対の声が沢山でてきました。バインダー、フォルダーそれぞれの良さ、悪さを粘り強く現場に説明するほかありません。

まず、バインダーの良さは、丈夫で一度綴じたら中々崩れない点にあります。しかし、活用する文書を差し換えたり、不要になった文書の廃棄には手間が掛かります。また廃棄しても、バインダーそのものの厚さは変りませんので、スペースセービングには効果はありません。

一方、フォルダーは中身がばらばらになりやすく、耐久性に劣るという欠点はあるものの、ファイル単位で管理でき、差し替えや廃棄が簡単です。またフォルダー単位でファイル名を付けることにより、探しやすくなります。
それぞれの特徴を考慮し、日々の業務ではフォルダーを基本とし、必要なもののみバインダーを使うこととしました。

図6:フォルダー、バインダーの特性に応じた利用法
図6:フォルダー、バインダーの特性に応じた利用法


今回の移転では、検索性をさらに上げるために大分類(第一ガイド)、中分類(第二ガイド)、ファイルというように3階層でガイドを立てました。勿論ここには、分類と配列の考え方、文書に流れを持たせる仕組みを併せて考えることが重要です。実際に文書を保管する3段キャビネットの上段、中段には現年度文書を置き、下段に前年度文書を入れます。そして、年度が替わる時点で移し替え、置き換えを行なうのです。

こうした運用を徹底させるために、ファイリングの教育を推進者に1日かけて学んでもらいました。グループへの指導の必要のあるところは個別で指導会も設けて現場支援を行ないました。各グループでの話し合いをもとに、完璧とはいかないまでも最終的には大分類、中分類、ファイル名、管理担当者、ロケーション(格納キャビネット番号)を記載した文書リストを作成してもらいました。また保存年限、倉庫へ持っていく場合の箱番号、廃棄予定年月日の入ったファイリング基準表も記載してもらいました。

図7:ファイリング・ルール展開のマニュアル整備
図7:ファイリング・ルール展開のマニュアル整備

6

電子文書管理システムの構築

次に電子の部分についてみてみましょう。
各部門で複合機(ApeosPort)を用意するのではなく、総務部が管轄して、フロアごとに共通の備品として用意する、という仕組みにしました。40名あたり1台、という割合で配備されました。ID認証に社員カードを使ってログインする方式とし、コピーする場合もスキャニングする場合も、誰がどの程度使用したかがわかるようにしました。また、プリンターとして出力した場合も、空いている複合機に社員カードをかざすことで、本社ビル内のどの複合機(ApeosPort)でも、その場で出力できる「どこでもプリント」体制を作りました。出力したままとり忘れてしまう「放置プリント」がなくなった、という効果がでています。

電子化については、日々発生する記録管理の対象となる定型文書の場合は予め文書の属性を決め、登録先も設定しておけば現場でのスキャニングの品質にバラツクこともなく確実に電子化ができる仕組みを作りました。この連載の「『バイタル・レコード・マネジメント』の維持と課題」の図3でもご紹介した仕組みが、ここでも活きました。これにより、タイムリーに電子化されることで、閲覧の必要な人がパソコンからすぐに検索できるわけです。もちろん、閲覧権限がある人に限りますが。
一例を挙げますと、情報システム部門では稟議書、契約書を随時電子化して、原本はすぐに倉庫に預け入れています。

図8:電子化の仕組み
図8:電子化の仕組み

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新オフィスで変ったこと

こうした取り組みを経て、本社移転後の文書量は、移転前に1人あたり平均5.1Fmあったものが、2.15Fmへと減らすことができました。移転前の目標値2.42Fmを下回る結果となっています。オフィスの環境面では、個人ごとに用意していた机から、4人掛けにのユニバーサルレイアウト(可動式サイドキャビネットで個人のスペースを仕切る)に変わり、3段のローキャビネットが配備されたことにより、オフィスの見通しも良くなりました。
また、文房具については、各部門で持つのではなくフロアの3ヶ所で共有したり、重複して保有することの多かった図書雑誌については、あるフロアで集中管理し、閲覧できる環境を整えたりして、スペースの活用に工夫を凝らしました。

図9:新オフィスの紹介
図9:新オフィスの紹介


今後は整備した環境をどのように維持していくか、が重要になってきます。次回はこの点についての取り組みをご紹介したいと思います。


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