経営重点テーマ

災害リスクに強い社会づくり

当社は、震災発生直後の緊急支援から、復旧、復興へと現地のニーズが変化する中、地域の方々との対話を大切にしながら活動をしてきました。そこでは単に被災地だけでなく、日本が抱える医療や過疎化といった問題・課題も浮き上がってきました。「震災は終わっていない。ドキュメントサービス&コミュニケーションを提供する当社だからこそできる貢献、ソリューション&サービスがあるはず」という信念のもとで、メディアでは伝わらない課題に対しても、当社の提供価値を活かして貢献できることを考え、被災地が真に必要とする支援を今後も継続すると同時に、迅速に支援するための社内の体制や仕組みの整備に取り組んでいきたいと考えています。

活動の実績

2016年度は、2013年度から継続してきた復興マルシェに4月の地震で被災した熊本県からも出展していただき、「東北・熊本復興マルシェ」を実施しました。また、被災地の医療機関向けに在宅医療を支援する「北三陸ネット」が岩手県において稼働。さらに、当社のコミュニケーション技術を生かした対話手法を使い、宮城県女川町の新たなコミュニティづくりや、神奈川県南足柄市のみらい創り等へも支援活動が広がっています。被災地やNPO、ボランティア、大学関係者の方々などと当社に何ができるかを一緒に考え、今後も地域・社会が真に必要とする支援を継続し、従業員のボランティア活動を中心とした社会貢献による震災復興支援と、社会的課題の解決と事業の両立を目指す復興推進活動の両面から今後も支援を継続します。

お客様の事業継続のためのソリューション

ドキュメントサービス&コミュニケーションを提供する当社だからこそできるソリューション&サービスの推進を継続しています。お客様が、自然災害や火災、事故など予期せぬ事態に直面した場合に、事業への影響を最小限に抑え、事業の継続や中断した事業の早期復旧を図るためのBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)策定に取り組まれる際に、ICT基盤の構築や重要文書の保管・管理、オフィス機器の節電を含めた突然の停電に対する備え、といったソリューションやサービスを提供しています。

  • リスクの軽減・分散対策

    BCP(事業継続計画)実現のため事前に対策立案する際に、リスクマネジメントの仕組みやルールの構築・運用を支援することでお客様のリスク軽減・リスク分散を支援するソリューション&サービス。

  • ドキュメントの保護

    収益の損失、企業評価の低下、生産性の低下など、事業継続も困難となる可能性がある重要文書の破損・消失を引き起こさないための紙や電子のドキュメントのライフサイクルにおける安全と安心を支援するソリューション&サービス。

  • 節電対応・停電対策

    突然の災害等による大規模停電への対策や企業に求められる「節電」への対応にあたり、お客様の節電対応・停電対策を支援するソリューション&サービス。

関連情報

震災からの復旧支援と復興推進活動

バケツリレーで気仙沼市気仙沼大島・田中浜沿いのがれきを撤去

当社は、被災地のニーズに基づき、即効性のある支援と、その後の復旧・復興を支える息の長い支援の双方をバランスよく実施していくために、連携するNGOを含めて、被災地の課題解決に有効な支援活動について考え、取り組んできました。

過去の災害支援の経験から、大規模な災害の発生時に行政や自衛隊の救援が届かない被災者に迅速で効果的な支援を行うNGOに対して資金・モノ・人・情報を提供する重要性を痛感しており、復興支援NGOに2億円の資金協力を行いました。

具体的な支援としては、緊急支援としての支援金、社員募金、現地のニーズを踏まえた支援物資の提供、地域の復旧や復興に向けてNGOや自治体等と連携したさまざまな社員ボランティア活動、また当社の基盤事業であるデジタル複合機の無償貸与、ODP(オンデマンドプリンティング)の仕組みを活用した現地のコミュニケーションに必要なプリントの支援など、本業を活かした支援活動などを行いました。

実施事項

本業を活かした復興支援

1.複合機貸与

  • 被災地のニーズを踏まえた無償貸与先を特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームが募集
  • 宮城、岩手、東京のNGOに合計25台を無償貸与。原則1年としたが、その後さらに1年間延長
  • トナーや保守を無償提供
  • A4用紙600,000枚以上を無償提供

2.プリント業務
支援

NGOの復旧・復興支援活動で大量部数必要とされる各種印刷物を、当社のプロダクションプリンター等を活用して180,000枚以上を無償で出力しました。

  • 移動式オフィスコンビニによる被災証明発行支援
  • 被災顧客(印刷業)のビジネス支援
  • 災害対応マニュアルや救援物資リスト、炊き出しの案内チラシなどの大量出力支援

本業以外の復興支援

3.支援金、社員募金、物資支援

  • 支援金:ジャパンプラットフォームに2億円
  • 社員募金:3,900万円を被災販売会社を通じて、被災した社員ならびに地域に寄付
  • 富士フイルムグループ一員として500万円を東北3県の震災孤児などを支援する育英基金に拠出(富士フイルムグループ全体で約6,900万円)
  • 富士ゼロックスおよび関連会社各拠点で収集した支援物資をNGOを通じて被災地に発送(125,700点、2,000万円相当)

4.社員ボランティア派遣

被災地で、復旧・復興支援活動にあたっているNGOのサポートのもと、社員ボランティアが活動しました。

  • 新入社員221名(2011年度)、260名(2012年度)、263名(2013年度)が被災地で復興支援を実施
  • 社員の「ボランティア休暇注1」を活用し、継続的に被災地支援を実施
  • 注1 月間5日まで積立休暇(使用期限が過ぎて失効した有給休暇最高60日分を積立てたもの)を使って短期のボランティア休暇を申請・取得することができる。1993年に導入。

復旧支援活動

被災地医療機関への複合機無償貸与プログラム

東日本大震災後、当社は被災地支援として何ができるのかを検討するため、東北沿岸部の津波被害にあった地域を訪れ、現地の方々から話を聞くところから活動を始めました。津波のがれき撤去も未だ手が付いていない状況の中で、仮設診療所を立ち上げ診療を再開している医療機関が少なからずあることを知り、まずは複合機を診療に役立ててもらうための、複合機の無償貸与プログラムを企画しました。岩手県と宮城県の医師会を通じて24の医療機関からの申込みを受け、2011年8月には設置に着手し、10月までに設置を完了しました。また、同年10月に社内に復興推進室を立ち上げ、甚大な津波被害を受けた釜石市と大槌町で、仮施設で診療を再開したすべての診療所に足を運びました。復興推進室のメンバーは、複合機からパソコンの使い方まで、医療スタッフや住民から求められたことに応じ続けていきました。

2016年熊本地震への支援活動

社会課題の解決と事業の両立を目指す復興推進活動

2011年10月、東日本大震災の被災地の復興、および地域住民の安心・安全なくらしの確保を目指して「復興推進室」を発足しました。そして被災地域の販売会社と連携しながら、医師会、自治体、医療関係者の皆様とともに地域医療のあるべき姿を考えるとともに、まちづくり・まちおこしに取り組んでいます。

被災地の医療機関向けに在宅医療を支援する「患者情報統合システム」を構築

複合機の無償貸与プログラムを通じて、現地の医師会、自治体、医療関係者の皆様との対話を進める中で、地域医療の課題が、限られた医療資源をいかに効果的に活用するか、そのためには在宅医療の充実・業務負担の軽減が課題であることに気付きました。

とくに岩手県釜石市では、高齢化に伴い今後重要な役割を担う在宅訪問診療の課題解決に貢献するため、その中心的役割を果たしている、医療法人社団KFC釜石ファミリークリニックの先生や医療スタッフとの1年におよぶ対話や検証を行いました。その結果、紙や電子のカルテなど患者の診療記録を一元管理し、時間や場所を選ばずタブレット端末で患者に関わる情報を閲覧できる「患者情報統合システム」を開発し、2013年10月から本格運用を開始いたしました。

このクリニックでは、5名の医師が交代で外来診療と訪問診療を行っており、その範囲は釜石市と大槌町の二次医療圏全体をほぼ網羅、1日あたりの訪問件数は医師一人あたり20~30件にのぼります。従来は訪問計画に合わせて看護師が紙カルテを準備し、それらをすべて訪問時に持参していたため、紛失など情報管理上のリスクがありました。また夜間や休日の緊急の問い合わせの際、十分な患者情報が手元にない状況下で初期判断をせざるを得ないことも多く、24時間365日体制で対応が求められる在宅医療においては、いつでもどこでも安全にすべての診療記録を確認できるシステムが必要とされていました。

本システムは、在宅医療分野で医療現場の方々とともに作り上げたモデルケースとして、被災地域の医療機関に展開するとともに、今後も当社の事業を通じて国内の地域医療の課題解決に貢献していきます。

訪問予定の患者情報をタブレットにダウンロードし、医師が持参。
予定外の患者情報も院内システムにアクセスして閲覧可能。

患者情報統合システムの利用シーン

復興支援活動から見えた高齢化社会の地域医療課題の解決に貢献~岩手県久慈医療圏4市町村で切れ目のない医療サービス提供を目指す「北三陸ネット」~

当社は、特定非営利活動法人 北三陸塾(所在地:岩手県久慈市、理事長:竹下敏光氏)とともに、医療/介護/福祉領域におけるさまざまな情報を連携、およびバックアップを行い、サービスの向上を目指す情報基盤「北三陸ネット」を構築、2016年3月から稼働しました。これにより、岩手県久慈医療圏4市町村の病院・診療所・薬局・介護施設67施設において、住民の診療記録や保険薬局の調剤履歴、介護・福祉現場のケア記録など異なる職種間の情報連携が促進され、切れ目のないサービスを提供できるようになりました。また、紙媒体で記録や保管することが多かった情報を電子化しバックアップすることで、災害にも強い地域づくりに貢献します。

関連情報

コミュニケーション技術を活用して、地域と共にみらいを創る~宮城県女川町の「自立型コミュニティ形成支援」事業への参画~

宮城県女川町は、町の主要部が津波の被害にあい、港湾設備や商店街、住宅が軒並み被害を受けました。住民は、女川町から離れたところに避難するか、わずかに被害から免れた高台の空き地や、球場や運動場、学校の敷地に仮設の住宅を建て、生活をせざるをえない状況になりました。

震災から6年が経ち、町の造成が進み、まず主要産業である水産業を支える港が整備されました。また、新設された駅舎から海に向かう商店街がプロムナードとしてデザインされるなど、町内外から事業者が集まり協力して、新しい街並みが作られていきました。その取り組みは、広く日本中から注目を集め、町長が掲げる「交流人口を増やすことで町の活性化を図る」復興の取り組みを、大きく前へ進めることとなりました。

一方、新たに高台を造成して住宅用の土地が確保され、仮設住宅や避難先からの移転が徐々に進みつつあります。全ての住居の整備、移転の完了は平成31年度を予定しており、現在はその途中段階にあります。少しずつ住民が戻ってきているなかで問題として認識されるようになったのが、新たな住民同士のつながりをどのように作るかということです。

女川町では、行政区(自治会)ごとに構成された住民組織により、日常的な困りごとの解決や、防災訓練、祭りの実施など、地域での協力活動が、震災前から行われてきていました。しかし、震災による被災、さらにその後の整備により、新たに33の行政区に再編され、これまでとは異なる新たな近所づきあいが始まることになったのです。

当社は町からの委託を受け、行政区単位で住民同士の交流を促進する企画を実施しました。今回対象とした11行政区の事情は、様々でした。住民すべてが新たに移転してくる地区、震災前からの住民の中に別の地区から移転する人たちが合流する地区、また集合型(マンションタイプ)の災害公営住宅と自立再建(一軒家タイプ)の住宅が道路を挟んで並立している地区もあります。また、住民の年齢構成も様々で、とくに高齢者の比率が高くなっています。なかには、これまでは大家族で生活していたものの、息子夫婦は避難先で仕事を見つけたために高齢の親世代だけが町に残るといったケースも見受けられます。当社は、これから行政区を立ち上がる地区で、すでに住んでいる方々とこれから移転してくる方々との交流を図るため、対話を通じてお互いを知る会を実施しました。

また、町役場では、様々な部署の方々が集まる「コミュニティ形成支援に関する分科会」で、「地域をつなぐコミュニケーションプロセス」に基づいた対話のセッションを企画・実施しました。参加者が自ら所属する部署の立場を超えて問題や意識を共有し、ともに活動を進めるための支援を行なっています。

このようなコミュニケーションの支援による被災地支援活動は、現在も継続して実施しています。新たなつながりの形成やこれまでのつながりを維持するための取り組みが求められています。つながりを作り、深め、つながり続けて行くために、私たちは対話の手法とドキュメントによるコミュニケーションの支援を行いながら、よりよい社会の形成に貢献していきたいと考えています。

地域社会の課題解決への貢献

自らも被災しながら、震災直後から復興支援の拠点となった岩手県遠野市。2014年4月、閉校になった中学校を拠点として、遠野市とその近隣における地域・産業の発展と人材育成に寄与することを目的として、「遠野みらい創りカレッジ」を遠野市と共同で開校しました。2016年には、より地域に根ざした運営を行うため、一般社団法人遠野みらい創りカレッジとして新たなスタートを切りました。「ふれあうように学ぶ場」のコンセプトのもとに、交流・暮らし文化・産業創造の3つの領域で11のプログラムを企画し、コミュニケーション技術・技法を活用した活動を行っています。

岩手県遠野市における地域再生の取り組み~まちおこしプロジェクト「みらい創りキャンプ 注2」のスタート~

震災直後から被災地の復興支援の拠点となり、多くのボランティアやNPO、企業が集まった遠野市も、実は過疎化を食い止め、町を活性化する必要に迫られています。震災復興にあたりお世話になった当社は、復興推進室とコミュニケーション技術研究所が中心となり、こうした課題を解決して遠野市としての新たな価値を生み出そうと、2012年秋に同市で「みらい創りキャンプ」をスタートしました。

遠野ふるさと村での活発な意見交換
閉校した土淵中学校にて今後の活動について議論
「みらい創りキャンプ」から「遠野みらい創りカレッジ」へ

「みらい創りキャンプ」は2012年秋のスタート時から季節ごとに計6回開催され、教育文化伝承の領域を中心とした地域再生について話し合いが行われました。その具体策の中心となったのが、当社と遠野市との共同による地域再生推進拠点「遠野みらい創りカレッジ」です。当カレッジは、2013年春に閉校になった旧土淵中学校を使用し、企業、自治体、大学等による研修や研究施設として利用する計画が立てられました。

産学官が連携し、地域の永続的な生存と成長支援のための共通価値を提供することを狙いとして「遠野みらい創りカレッジ」を設立し、2014年4月8日、当社と遠野市との協定締結の記念式典および開校式を行いました。

開校式での遠野市長との協定書の調印

2016年、開校から3年目を迎えたカレッジは、より地域に根差した運営を行うため、一般社団法人遠野みらい創りカレッジとして新たなスタートを切りました。「ふれあうように学ぶ場」のコンセプトのもとに、交流・暮らし文化・産業創造の3つの領域で11のプログラムを企画し、コミュニケーション技術・技法を活用した活動を行っています。
「災害時後方支援自治体研究会」も第3回を数え、11自治体の防災担当者が遠野に集まり、地震だけでなく近年増加傾向にある台風や水害などの自然災害に対する備えなどについても活発な意見交換がなされました。
また、国内外の大学生と地域の高校生がともに学びあう「イノベーション人材育成プログラム」や、中学校の総合学習支援など、次世代を担う地域人材の育成にも力を注いでいます。

  • 注2 「みらい創り」は、地域に関わるみなさまと富士ゼロックスの協働による地方創生活動の総称であり、富士ゼロックスの登録商標です。
「災害時後方支援自治体研究会」
「イノベーション人材育成プログラム」

遠野市から南足柄市へ:みらい創り活動の広がり

南足柄市は、東日本大震災後に神奈川県が災害ボランティア用宿泊施設(かながわ金太郎ハウス)を遠野市に開設したことをきっかけに、2015年に遠野市と「災害時相互応援に関する協定」を締結、大規模災害時の後方支援や広域防災についての研究などにおいて交流を続けています。また、市民主体のまちづくりを目指して市民協働を積極的に進めており、地域産業や地域福祉の活性化、交流人口の増加を目的とした活動など、さまざまな施策に取り組んでいます。

当社は、遠野みらい創りカレッジで培った当社のコミュニケーション手法やプロジェクト企画・運営ノウハウを生かし、住民が主体となって地域課題解決を目指す南足柄市を支援しています。2015年から「南足柄みらい創りプロジェクト」をスタートし、継続的に開催した対話会からは、市民主体の活動テーマが複数生まれました。これらの活動で南足柄の郷土の魅力として「心と体が潤う場」という軸を見出し、「協働」「人材育成」「産業創造」「防災」という4領域のテーマを選定、市民協働によるまち創り活動、地域創生を牽引する人材育成、心と体に優しい商品メニュー開発、災害時後方支援に関する研究などを企画推進・運営します。初年度は人材育成や防災研究を中心に、各テーマに関する活動で協力してプロジェクトを進めてまいります。

市民対話会の様子(南足柄市役所にて)
ワークショップの様子(大雄山最乗寺にて)
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