経営重点テーマ

サプライチェーンマネジメントの強化(自社生産拠点でのCSR実践、CSR調達の拡大)

当社は、サプライチェーンの競争力向上のためには、取引先にCSR経営の重要性を理解して改善し続けていただくことが大切と考えています。当社の取引先の経営トップから実務者に至る皆様とのコミュニケーションを密に行い、CSRの重要さや改善の必要性について理解をいただきながら、サプライチェーン全体でのCSRの取り組みレベルの向上を目指しています。

CSR調達をすすめるにあたっては、説明会やトップセミナーの開催、マネジメント・ガイドラインやCSRセルフチェックリストの展開、訪問確認の実施などにより、取引先の納得性や実効性の高い改善活動を支援しています。

CSRアセスメントの仕組み

協業によるQCD向上への取り組み

当社は取引先との協業により、取引先のQCDの向上とCSR・グリーン調達の強化を継続的に実施できるよう取り組んでいます。

相互合意評価

年に一度行う取引先QCD(品質・価格・納期)評価について、2006年度から相互合意評価を導入しています。2007年度にはCSR・グリーン調達を、2011年度には当社の調達活動に対する取引先経営陣の取り組み姿勢を評価項目に加え、評価方法の充実を図ってきました。
相互合意評価とは、取引先による自己評価と当社による取引先評価をそれぞれ行い、相違のある項目について話し合い、評価点を合意する(相互合意評価で決定する)評価制度です。評価に対する取引先の納得度を高め、取引先による自主的な改善につなげてもらうことが、相互合意評価の目的です。

プレミアパートナーの選定

当社は、相互合意による評価の高い取引先の中からプレミアパートナーを選定し、パートナーシップの強化を図っています。プレミアパートナー認定は年に一度見直しを行い、毎年4月に当社の経営方針を説明するとともに認定式を実施しています。
プレミアパートナーに対して当社は、新商品に使う部品を優先的に発注するとともに、部品品質改善、原価改善、部品安定供給、およびCSR・グリーン調達について、当社と一体となった活動をお願いすることで、真のパートナー集団としてともに成長することを目指しています。また、プレミアパートナーに認定されなかった取引先とも、当社と協業で改善活動を行い、次年度でのプレミアパートナーの認定を目指します。

CSR調達の具体的な取り組み

当社は、海外生産比率が90%前後と高く、主に中国やベトナムなどで操業しています。一般的に、アジアの生産拠点が集積する地域では、生産工場における労務問題や環境対応の不備や不徹底により、火災や労働争議といった工場におけるトラブルが発生しやすい、と指摘されています。富士ゼロックスシンセンにおいても、取引先のCSRリスク(労務・人権・環境・企業倫理)に起因する部品納入遅延が発生し、ラインストップが発生するなど、安定操業・安定供給の面で、課題となっていました。

このようなリスクの最小化を目指して、当社は2007年からCSR調達の取り組みを実施してきました。毎年、CSR調達活動を通じて、取引先様に、CSR経営(労務・人権・環境・企業倫理)の改善を継続的に進めていただいた結果、2015年度には、取引先のCSRリスクを原因とする富士ゼロックスシンセンのラインストップ時間がゼロとなり、2016年度も同様にゼロ時間を維持しました。

また、富士ゼロックスシンセンに加え、富士ゼロックス上海、富士ゼロックスハイフォンでも、取引先のCSRリスクを原因とするラインストップ時間はゼロとなりました。

今後は、シンセン以外の生産拠点においても、取引先のCSR経営リスクを最小化するための仕組みを強化し、生産拠点のラインストップゼロへの貢献と、取引先との共存共栄を進めてまいります。

取引先のCSRリスクに起因する富士ゼロックスシンセンのラインストップ時間の推移

取引先向け環境・安全衛生・労務管理実務セミナー

2007年に開始したCSR調達の取り組みの中でも特に、富士ゼロックスシンセンの取引先に対し、環境、人事等の専門的なスタッフが取引先を実際に訪問し改善点のアドバイスをすることによって、多くの取引先が改善しました。取引先からは、さらなる改善のアドバイスをより多くタイムリーに実施してほしい、と求められています。しかし、当社のスタッフが取引先を1社ずつ訪問する方法のみでは、訪問する件数を増やせずアドバイスの提供を広げられません。

そこで富士ゼロックスシンセンでは、取引先の訪問に加え、2014年度より3か年計画で「取引先向け環境・安全衛生・労務管理実務セミナー」で15テーマを開催し、2016年度に完遂しました。これは、取引先生産拠点のトップや管理責任者に集まっていただき、当社のスタッフが環境、人権・労働、企業倫理に関する取り組みや新しい法規制などへの対応方法といったノウハウをお伝えするものです。初年度はまず安全衛生のカリキュラムを3講座用意し、取引先の管理責任者を招きました。取引先からは、「すぐに改善の取り組みに役立つ」など、本セミナーに対して高い評価を得ました。

2015年度は、労務管理や環境保全などのメニューや、当社が従業員に提供してきた支援プログラムの説明を追加するなど本格化し、11講座(13回)を用意。取引先の管理責任者(のべ1,000人以上)にノウハウを提供しました。自主参加の勉強会にもかかわらず、取引先からは多数の申し込みをいただき、全メニューにおいて98%以上の高い満足度を得ました。2016年度は、企業倫理管理を含む4テーマについて、法律要請事項の説明や改善事例を展開し、約1,800名に参加いただきました。

CSR調達を支えるツール

富士ゼロックスが取引先にお願いする環境、人権・労働、企業倫理の取り組みに関して、取引先の自主的なCSR活動をお願いしています。そのため、各々の取り組みが要請される法規制や国際基準などの社会背景、取り組みのレベル、具体的な取り組み事例を記載した「マネジメント・ガイドライン」、およびその取り組み状況を取引先自身で確認していただくための自己チェックツール「CSRセルフチェックリスト」を用意しています。

主要なCSR指標一覧」も併せてご覧ください。

1.生産資材におけるCSR調達

2007年以降、前述のCSRセルフチェックリストを使って、取引先自身のCSR調達に関する自己評価を依頼しています。当社は、すべての取引先にCSRセルフチェックリストの最重要項目について90%以上適合していただくことを目標としています。近年、企業(生産工場)に対するCSRの要求レベルがますます高まっています。一例として、環境保全ではエネルギー消費と温室効果ガス排出の把握と記録があります。そのため、生産資材における富士ゼロックスCSRセルフチェックリストも毎年見直しをしています。

当社と取引先が同じ目線でCSR調達の改善活動が出来る様に、富士ゼロックスシンセンに続き、2016年度に富士ゼロックス上海でも取引先の現場確認および改善支援を開始しました。2017年度は富士ゼロックスハイフォンでもその活動をスタートする計画です。

今後も適合率90%以上の達成に向け、当社と取引先が協力して継続的なレベルアップを目指していきます。

最重要項目90%達成比率の推移

2.商品物流におけるCSR調達

国内では、業務委託先である富士フイルムロジスティックスと協働で、商品物流取引先のCSR調達活動を継続しています。2016年度も個別訪問による不適合項目に対する改善のアドバイスとベストプラクティスの共有を進めた結果、2016年度も前年度に続きセルフチェック適合率の目標(適合率90%以上の取引先社数比=100%)を達成しました。また2015年度より、国内の産業廃棄物収集運搬の取引先で、セルフチェック適合率90%未満の取引先に対し、訪問による改善支援の活動を継続しています。

海外では、商品物流の取引先に関して、2015年度に1社を除きセルフチェック適合率90%以上を達成したため、活動計画を見直し、CSR調達活動を生産拠点領域(生産拠点から荷積み港までの物流取引先)の強化にシフトすることにしました。2016年度は新たに生産拠点領域の2社に対してCSR調達活動を行いました。

今後も、取引先への改善支援を通じて、さらなるレベルアップを目指します。

3.間接材におけるCSR調達

当社では、多くの間接材取引先から、当社の生産や事業継続にとって特に重要な取引先に対して、優先してCSR調達活動を進めています。

2016年度は、さらなるガバナンス強化として、セルフチェックリスト実施対象取引先に対するバイヤー基礎訪問を実施し、CSRの観点だけではなく、BCPにおいても強化を図る活動を推進しました。セルフチェック適合率90%以上の取引先社数比は、前年度より8.4ポイント上昇し、90.0%となりました。

今後も、取引先の業種別課題を踏まえながら、改善支援を通じてさらなるレベルアップを目指します。

紛争鉱物問題への対応

鉱物採掘が紛争や人権侵害の要因となる「紛争鉱物注1」の問題に対しては、当社は紛争や人権侵害に直接・間接に加担しないという方針を打ち出しています。米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)1502条に基づいて米国証券取引委員会が2012年に採択した最終規則で、報告が義務づけられるお客様からの要請にも応えられるよう、当社は2013年から調査を通じてサプライチェーン上で紛争鉱物問題に抵触していないことを確認し、毎年OEM製品供給先へ報告しています。
2016度の実績は、取引先からの調査票回収率96.5%、当社のサプライチェーンにおける紛争フリー認証取得製錬所比率注2は40%で、前年度から20.5ポイントアップしました。2017年度はさらなるお客様の要請に応えるべく、帳票回収率95%以上を目標にデータ精度の向上に努めます。

  • 注1 採掘によって得られる資金が非人道的な用途に使われたり、採掘現場で人権侵害が起こっているとして問題視されている鉱物のこと。
  • 注2 当社のサプライチェーンにおいて特定した製錬所のうち、第三者機関によって紛争フリーの認証を取得している製錬所の比率。

地域社会の発展を目指した調達

富士ゼロックスは、取引先との公正・公平な調達活動を進めるだけでなく、生産拠点のある国内外の地域の経済への貢献と最適品質・価格を追求するため、原材料・部品の現地調達比率の適正化に配慮しています。一方で、一部の技術や部品については拙速な現地化はせず、取引先企業の国内生産拠点で生産し、それを当社が調達する形をとっています。

今後も、生産拠点のある地域の経済発展に寄与できるよう、原材料・部品の現地調達比率に配慮した適正な調達活動を展開していきます。

購買倫理

調達に関する指針

富士ゼロックスは1990年の「購買取引指針」制定以降、それに基づく調達活動を行ってきましたが、近年の社会的要請を踏まえて、調達活動をより公平かつ透明性の高いものとするため、2011年度に「購買取引指針」および「購買取引の基本方針」の改定、社会の関心が高まっている環境、人権・労働、企業倫理などCSR調達の観点を盛り込んだ「購買取引基本規程」の制定を行い、あらためて当社の考え方を社内外に対して開示しました。

加えて2012年度には、「環境」「地域住民の権利」「企業倫理」等の観点を盛り込んだ「用紙の調達先企業に対する取引基準」を制定して供給先の遵守状況について書面で調査するとともに、特に海外の主要取引先を対象として実地監査を行い、用紙原材料のトレーサビリティーをはじめとする、環境への取り組み状況を確認しました。

2013年度からは、鉱物採掘が紛争や人権侵害の要因となる「紛争鉱物注1」の問題について、その重大性を認識し、取引先には取引するパーツが含有する鉱物の来歴調査と是正対応を依頼するという方針を「購買取引の基本方針」に反映しました。

  • 注1 採掘によって得られる資金が非人道的な用途に使われたり、採掘現場で人権侵害が起こっているとして問題視されている鉱物のこと。

公平な調達を担保する仕組み

職場や業務においてコンプライアンス上問題のある行為を早期に把握して解決することを目的とする相談窓口として、2008年度に「オール富士ゼロックスコンプライアンス・ヘルプライン」を設けています。このヘルプラインは、富士ゼロックスおよび関連会社において業務に従事するすべての従業員が利用できるものであり、購買時の法令違反や社員行動規範に反する行為に関する通報や相談も受け付けています。

詳しくは、「エシックスマネジメント」をご覧ください。