トップコミットメント

世の中の「働く」を変え、より良い社会を未来に繋ぐ 富士ゼロックス株式会社 代表取締役会長 古森重隆 代表取締役社長 玉井光一

社会に求められる存在であるために

近年、世界では異常気象や災害の増加、貧困や格差の拡大がより深刻化しています。社会の不透明感が増し、貿易摩擦や不安定な外交、社会の分断が、私たちの生活やビジネスに影響を及ぼしています。台風や豪雨による被害の増加など、気候の激変を実感する機会も増えました。日本では、少子高齢化や地域格差、人材不足などの問題が依然として解決途上です。このように多種多様な社会課題に対して、SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)注1をきっかけに、多くの国や企業、組織が、それぞれの強みを活かし、協働して解決に取り組む動きが加速しています。そうした中で、ドキュメント管理のノウハウを活かし、AI、IoTをはじめとする新たな技術をいち早く取り入れ、社会の働き方変革に貢献する、つまり世の中の「働く」を変え、すべての人が働きがいを感じられる社会の実現に貢献する、そしてSDGsに貢献する、それが当社の存在価値です。
変化の激しい時代に、社会に価値を提供し続けられる会社として認められ、生き残っていくには、企業は社会の変化に対応し、社会の変化を先取りし、更には社会の変化を創り出すことが求められます。そのためには、安定的に価値を提供する土台となる健全な経営基盤と、中長期の社会の環境やニーズを見据えたバックキャスティングの戦略、その戦略を確実にやり切る実行力が重要と考えます。

強靭な経営基盤で、成長軌道に回帰する

当社は2018年度、強靭で健全な経営基盤を構築するための体制強化や、将来の成長に向けた「種まき」をスピードを上げて行ってまいりました。お客様や社会からの信頼の基盤となるコンプライアンス強化策を継続するとともに、構造改革により組織や事業の効率化を進め、商品・サービス戦略を再構築して開発のスピードを上げ、他社と連携しお客様のニーズに合った商品・サービスをよりタイムリーにお届けできる体制を強化いたしました。
その結果昨年度は、低収益事業の見直しなど意思を持った決断により売上は微減となりましたが、営業利益は大幅増益となりました。今後は売上・利益ともに成長軌道へと回帰する計画です。
2019年度は、より抜本的な改革をスピードアップするため、「全社改革プロジェクト」として、経営基盤を強くするビジネスプロセス改革、新規事業や国内外の成長戦略の具体化など、4分野13のプロジェクトを並行して進めています。我々経営トップ自らが各プロジェクトの先頭に立ち、共に検討し、その場で決断して実行し、必要なリプランもタイムリーに行うことで、スピードと成果を担保します。新たに設置した従業員の生の声を収集する仕組みも利用して、より広く現場の意見を取り入れながら、大小さまざまな改革を進めてまいります。

働く「人」の課題解決に取り組み、SDGsに貢献する

富士フイルムホールディングスがCSR計画「Sustainable Value Plan 2030 (SVP2030)注2」を発表して2年が経過しました。SVP2030は、事業を通じた社会課題の解決に向けてグループ全体で長期的に目指すべき姿を示したもので、2030年度をターゲットに「環境」「健康」「生活」「働き方」「サプライチェーン」「ガバナンス」の計6分野で15の重点課題を設定し、取り組みを進めています。
中でも当社は「働き方」の領域において、自社の働き方変革を推進するとともに、お客様にさまざまな働き方変革のご提案をすることで、SDGsの目標8「働きがいと経済成長の実現」への貢献を目指しています。
具体的には、2018年3月に発表した価値提供戦略「Smart Work Innovation注3」のコンセプトのもと、お客様の生産性向上や専門知識の共有化、多様なネットワークインフラで“つながる”際のセキュリティ確保など、働く「人」の利便性を向上しお客様の競争力強化を支援する商品・サービスの提供を推し進めています。
例えば仏エスカー社との提携でサービスを開始した、AIを活用したクラウド型「買掛金管理自動化支援ソリューション」では、大幅な工数削減と、入力ミスや支払い遅延の防止などガバナンス強化への貢献に加え、ワークフロー全体にわたりユーザーの利便性を向上させた点も大きく評価いただいています。このソリューションは富士ゼロックスニュージーランドでスタートし、日本、オーストラリア、香港、シンガポールへとサービス提供を拡大中です。「人」の働き方に変化をもたらすユニークで高い信頼性のソリューション・サービスのご提供を、質・量ともにどんどん拡大してまいります。
2018年は、当社の提供価値の原点であるゼログラフィー技術の発明80周年の年でした。この80年でさまざまな技術の変遷がありましたが、「働く人のコミュニケーション」を起点に、「より良く働く」ための提案をしてきたDNAは脈々と受け継がれています。お客様に真摯に向き合い、対話を通じて課題を調べつくし、多様なご提案をする当社の強みをさらに強化し、お客様や社会の「働き方」に変化をもたらす貢献をしていきます。

事業活動のプロセスも、新たなステージに引き上げる

事業活動のプロセスにおいても、社会課題への取り組みを継続・強化します。労務問題や人権侵害への取り組みがグローバルで注目されるサプライチェーンに関しては、富士ゼロックスが10年以上かけて培ってきたCSR調達の知見を、昨年富士フイルムグループ全体で共有・再整理し、富士フイルムの中国の生産子会社において同様のスキームを導入しました。これは富士フイルムグループのサプライチェーンを強くするとともに、サプライヤー従業員の方々の「働き方」にも変化をもたらす活動であり、グループとして取り組むことで、社会への効果を拡大してまいります。
気候変動や循環型経済など、環境課題への関心も高まるばかりです。気候変動の課題解決に貢献するため、富士フイルムグループは2019年1月、再生可能エネルギー導入目標を設定しました。これは、2030年度に購入電力の50%を再生可能エネルギーに転換し、2050年度には使用する全てのエネルギーでCO2排出量ゼロを目指すものです。当社もこの目標達成に向け、具体的な施策を進めます。循環型経済については、1990年代から継続している「資源循環システム」を、各国が強化するe-waste(電気電子廃棄物)の法規制に対応しながら、最適な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の形を目指して再編しています。
お客様や社会の働き方変革に貢献し、そのプロセスでも社会への価値を向上していくためには、活動をリードする従業員の熱意と力量が非常に重要です。社内の「人」の視点では、会社や従業員の目指す姿、とるべき行動をより明確にした企業理念の再定義や、優秀な人材を早期に登用するための人事制度の見直しを行いました。失敗を恐れずに挑戦を続ける、アグレッシブで変革指向の高い組織風土への転換を、更に加速していきます。

社会に変化を生み出す会社になる ~ステークホルダーの皆様へのお約束~

昨年は経営体制を新たにし、利益を出せる会社への体質改善が着実に進みました。2019年度は、富士フイルムグループ中期経営計画「VISION2019」の最終年度となります。今年は、SVP2030の長期目標に対し、次期中期経営計画も見据えながら、「働き方」の領域でより具体的なマイルストンと目標を立て、実現のための道筋を更に明らかにしてまいります。働く「人」に変化をもたらすご提案を拡大することで、お客様や社会にとって、そして当社にとっても、また従業員一人ひとりにとっても、持続可能な発展の土台となる年にしたいと考えています。当社は、社内外のさまざまなパートナーの皆様とともに、より良い社会づくりに向けた変化を起こしていくことをお約束します。

  • 注1 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs):2015年に国連総会で採択された、2030年までに国際社会が社会課題として取り組むべき開発目標。貧困、不平等・不正義の是正、健康、教育、働きがい、気候変動・環境などに関する17の目標と169のターゲットが定められています。
  • 注2 富士フイルムホールディングスSustainable Value Plan 2030の詳細については、下記リンクを参照ください。
    Sustainable Value Plan 2030
  • 注3 Smart Work Innovationのコンセプト詳細については、下記リンクを参照ください。
    Smart Work Innovation