富士ゼロックス製並列コンピューターが
科学技術振興事業団に採用

2002年4月4日

  • MD法用超高速計算システム
  • 分子動力学法を用いた計算機シミュレーション


富士ゼロックス株式会社(本社:東京都港区赤坂2-17-22、社長:坂本正元、資本金:200億円)は、分子動力学法*1を用いて、超高速・高精度にコンピューターシミュレーションを実行する「MD法専用クラスタシステム」を商品化しておりますが、この度、科学技術振興事業団バイオインフォマティクス推進センターの研究開発課題「高速計算機システムによる蛋白質フォールディングの研究」(代表研究者 肥後順一 東京薬科大学生命科学部教授)に採用が決定し、納品を完了いたしました。

*1 分子動力学法(Molecular Dynamicsの略、MD法とも呼ぶ)は、分子集団系の運動方程式を逐一解いて、各分子の運動の軌跡を求めるシミュレーション手法です。これはタンパク質、生体膜、合成高分子、金属、半導体といった分子集団の性質を調べるのに適した方法です。

ヒトゲノムの全容解明が進みつつある中で、1次元の遺伝子情報の3次元表現形態であるタンパク質の立体構造解析が、現在、重要な課題になってきています。また、立体構造が解明されたタンパク質と、その他のタンパク質や薬物候補、毒物といった他の物質との相互作用の研究が、遺伝子研究や薬物探索などで非常に重要な要素となってきています。こうしたタンパク質の立体構造解析や、タンパク質と他の物質との相互作用を研究する上で、計算機を用いた分子シミュレーション法が有効な手段とされ大いに期待が高まっています。

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しかし、このMD法を主として用いるには、扱う原子数の2乗に比例してシミュレーションに要する計算時間が増大するため、計算機の大幅な高性能化はもとより、低コスト化も同時に求められています。

富士ゼロックスではこうした分野に注目し、独自にMD法用の専用プロセッサーLSIやアクセラレータボード、それらを実装した並列計算機システムの研究・開発を1992年から行なって来ました。そして2001年8月、「富士ゼロックス MDエンジンII PC」として商品化し発売いたしました。

これはPCI規格のボードであり、IBM社のPC/AT互換パソコンに装着して使用します。プロセッサーボード1枚当たりの計算性能は4Gflops*2と高性能であり、flops値として直接的には表れないものの、MD法に適用する上で必須な機能をボード上に集積しているため、扱う原子数の多寡やシミュレーションする系の違い、計算ボード枚数の差などのさまざまな計算条件下で、非常に高い実効計算性能を発揮します。

*2 Gflops(ギガ・フロップスfloating point operations per second)は、コンピューターの計算性能を表わす単位の一つ。浮動小数点演算命令を、1秒間に何回実行できるかを示している。4Gflopsは、1秒間に40億回の命令を実行できることを表わす。
Tflops(テラ・プロップス)は、Gflopsの1,000倍の単位。

今般納入した当社の「MDエンジンII PC」を使ったPCクラスタシステムは、一般の理論性能ではなく、実際にユーザーが享受できる実効性能について高い評価を受け、かつ優れたコストパフォーマンスを両立したシステムとして採用され、今後の研究開発でその性能を発揮すると期待しています。

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科学技術振興事業団様に納入したシステムの特長は、以下の通りです。

◆高性能

本クラスタシステムは、32個の計算ノードと、1個のコンソールノードから構成されます。個々の計算ノードには、Intel社のPentium®4 Xeon 2.0GHzプロセッサーが2個、当社のMDエンジンIIPCボードが4枚実装されています。

各計算ノードの性能は、2Gflops(Xeon)×2 +4Gflops(MDエンジンII PC)×4= 20Gflops(メモリー1GB)となります。32個の計算ノードは、米国Myricom社の高速データ転送システム「Myrinet(2.0Gbps)」を使って接続されており、並列動作させても性能劣化が極力少なくなるように設計されています。

この結果、総合計算性能は、20Gflops×32 = 0.64Tflopsになります。コンソールノードには、Intel社のPentium®III 1.26GHzプロセッサーを1個搭載しており、100baseTのネットワークを介して各計算プロセッサーの制御を行ないます。また、このノードには1TBのRAIDサブシステムが接続されており、シミュレーション結果のデータを安全に保存できます。

◆小型

本体寸法:2,280(W)×2,110(H)×850mm(D)、本体質量:約1,360kg
と、高性能な計算機システムとしては非常に小型化されています。

◆低消費電力

システムが高速になればなるほど大掛かりになる傾向があり、システム自身の消費電力以上に空調にかかる設備/維持費用や、設置スペース、騒音が大きな問題となっています。

MDエンジンII PC」の最大消費電力は13.5KVAと、高性能でありながら非常に低くなっています。したがって、システムの冷却に必要な空調設備も小型で済み、こうした付帯設備の運転に必要な電力も含めて、非常に省エネルギーの計算システムです。

◆低コスト

 本システムの初期コストは約1億円(税込み)で、非常にコストパフォーマンスに優れています。また、消費電力が少ないので、運用に要するコストも低くなっています。

今回の納品を期に、当社ではこうしたバイオ支援事業に力を入れて参ります。

※本件に関するお問い合わせ先は、以下のとおりです。
富士ゼロックス ニュービジネスセンター ITデバイス事業開発部 勝島
電話:03-3342-8261  土・日・祝日を除く、9:00~12:00、13:00~17:00
紹介ホームページURL=http://www.fujixerox.co.jp/product/MDEngineII/
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主な仕様】

(1)機械的/電気的仕様
項目 仕様 備考
電源
100V AC 1.5KVA
+ 200V AC 12KVA
100V AC 13.5KVAも可
周囲温度
0℃~35℃
 
発熱量
43,740KJ/時
空冷
外形寸法
2,280(W)×850(D)×2,110(H)mm
19インチ42U×4本
質量
約1,360Kg
 

(2)機能仕様
大項目 小項目 仕様 備考
演算能力 1計算ノードの演算能力
20GFlops
 
システムの総合演算能力
0.64TFlops
32計算ノード
計算
ノード
プロセッサ
Xeon 2.0GHz × 2
Intel製
キャッシュメモリ
256KB × 2
オンチップ
メインメモリ
1GB
ECC付きPC800 RIMM
MD法専用アクセラレータボード
MDエンジンII PC × 4
富士ゼロックス製
内蔵ハードディスク
80GB × 2
UltraATA/100  7,200rpm
計算データ通信用ネットワーク
2Gbps双方向
Myricom製
制御データ通信用ネットワーク
100Mbps
 
OS
RedHat 7.2J
Linux
コンソール
ノード
プロセッサ
Pentium®III 1.26GHz
Intel製
キャッシュメモリ
512KB
オンチップ
メインメモリ
512MB
ECC付きPC133 SDRAM
RAIDサブシステム
1.0TB
RAID 0/1/0+1/5/50 対応
内蔵ハードディスク
18.4GB
Ultra160 SCSI  10,000rpm
制御データ通信用ネットワーク
100Mbps
 
OS
RedHat 7.2J
Linux
MDエンジン
II PC諸元
計算精度(1つの2体相互作用)
40bit浮動小数点
計算誤差10-8以下
計算精度(1粒子に働く相互作用)
64bit浮動小数点
計算誤差10-6以下
一度に計算できる粒子数
100万個
100万個以上の系も計算可能
一度に扱える粒子の種類
128種類
 
扱える相互作用の種類
任意の2体中心力
ユーザーが自由に定義可能
一度に扱える相互作用関数の数
31
ユーザーが自由に定義可能
周期的境界条件
斜交座標系
ボード上で直交座標系に変換
力と同時に計算されるビリアル
6成分
実質的に9(全)成分

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