ハイライト1 働き方変革

[ハイライト1 働き方変革] 生産性向上と価値あるコミュニケーションの創出

ビジネスを取り巻く環境が急激に変化し続ける中、オフィスワーカーの生産性向上は多くの企業に共通する社会課題となっている。
富士ゼロックスは、独自の「働き方変革」を通して自らの生産性向上を図ると同時に、その経験に基づいた問題解決策をお客様に提供することを通じて、生産性の向上や価値あるコミュニケーションの創出を実現させ、働きがいを持って一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めている。
「言行一致活動」と呼ばれるこの取り組みをてこにして、ダイバーシティの推進や地球温暖化の抑制などの社会課題の解決にも挑んでいく。

OECD加盟国の年間平均総労働時間
(出典)OECD主要統計(2014年)
1,770時間
日本国内における時間あたり労働生産性伸び率
(出典)内閣府「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(数値目標)(平成19年12月策定、平成28年3月一部改正)
0.9%
(2005~2014年度の10年間平均)
日本国内における年次有給休暇取得率
(出典)厚生労働省 平成27年度就労条件総合調査結果
47.6%

働き方変革で富士ゼロックスが目指すもの

富士ゼロックスは1988年に提唱した経営刷新運動「ニューワークウエイ」のもと、従業員がいきいきと新しいことに挑戦できるよう「個の発想」を尊重し、多様なワーク・ライフを支援するための働き方変革を研究・実践してきた。育児休職制度(1988年度)や家族介護休職制度(1990年度)などの制度をいち早く取り入れてきたのもその一環だ。ダイバーシティ推進の加速を目的として、在宅勤務制度においても2014年度にコアタイムのないフレックス勤務を可能にし、育児や介護の利用対象者を支援している。

当社における働き方変革の目的は、仕事と家庭の両立を支援することだけではない。私たちが目指すのは、従業員の士気を高め、個と組織の力を最大限に発揮できる環境を整えることによって生産性を向上させること。そして従業員一人ひとりの多様な価値観を支える風土を醸成し、仕事を通じて働きがいや成長の喜びを実感できる企業への変貌を実現することだ。さらに、お客様をはじめとするステークホルダーに対して自ら試行錯誤してつくりあげた成功事例をソリューション・サービスとして提供することで、世の中の人々の働き方を変え、より暮らしやすい社会の実現に寄与したいと考えている。

働き方変革は、社会を変える第一歩

ビジネスの多様化、グローバル化がすすんだことで、社会が抱える課題は急速に高度化・複雑化している。一方で、ICTは劇的な進化を遂げ、次々に新たな変化が生まれる。こうした状況下において、お客様の価値創造を支援し社会を変えていくために、富士ゼロックスは機器や消耗品の販売を主軸とする従来の事業構造から、お客様の経営課題を解決するソリューション・サービスを中心とした事業構造へと転換を急いでいる。さらに、当社の従業員が適切かつタイムリーに意思決定をしてお客様や社会の期待に応え、成果を出し続けるためにはどうすべきかという課題もある。近年は多くの企業が、いかにして営業やエンジニアなどのオフィスワーカーの生産性を高めるかで頭を悩ませているのだ。

当社は、その答えのヒントがコミュニケーションにあると考え、働き方変革の取り組みをスタートさせた。困っていることはお客様も同じはず。ならば隗より始めよということで、まず自社の働き方にメスを入れた。

多部門横断で働き方変革を推進

2009年に始まった「営業、CE、SEの働き方変革」では、当該部門はもちろんのこと、総務、人事、情報システム、サプライチェーン、事務サービスなど、部門の枠を超えてそのあり方を検討してきた。

特に重点を置いたのは業務プロセス、ITモバイル環境、制度・ルール、オフィス環境の4領域の変革だ。

業務プロセスについては、一人ひとりの業務を可視化・定量化することから始めた。属人化が進んだ業務プロセスを可視化するのは、かなり根気が要る。しかし、そこは当社が最も強みを発揮する領域のひとつ。関連するドキュメントの流れから業務プロセスとコミュニケーションの全体像を可視化してムダを洗い出し、各種申請業務などの付帯業務を徹底的に削減した。営業の働き方において実際に削減した付帯業務時間は、改革前の約52%に上る。そして、定量化した情報をモニタリングすることによって、PDCAを回し運用を定着させていく仕組みだ。

DocuWorksが提供する“電子の机” DocuWorks Desk

ITモバイル環境の面では、新たな業務支援ツールとして情報共有の独自アプリも開発した。さらに軽量パソコンの支給、電子文書と紙文書を一つに統合・管理することができるドキュメントハンドリング・ソフトウェア「DocuWorks」やドキュメント共有を支援するクラウドサービス「Working Folder」、ネットプリント注1などの活用によって「いつでも、どこでも」仕事ができる環境を整えた。

制度・ルールの領域では、在宅勤務や直行直帰の活用を促すために、下地となる人事制度やルールを刷新。働く場所であるオフィス環境づくりにおいても、本社がある六本木(東京都港区)や2015年5月に移転した日本橋(東京都中央区)などの都内主要拠点、横浜みなとみらい21地区、さらに2015年に入ってからは千葉や神奈川県内の複数拠点にもサテライトオフィスを設置した。

  • 注1 全国のセブン-イレブン店頭に設置された当社の多機能デジタルフルカラー複合機(DocuCentre-V C4475 MP)を利用し、インターネット上に設置されたファイルの一時保管場所に予め登録/格納された電子文書やコンテンツを、安全に高画質プリントとして取り出すことができるサービス

サテライトオフィスの活用で働き方変革が加速

大手営業事業部
NB営業部 NB2グループ
安達 りさ

全社をあげて働き方変革を推進してきた結果、営業の現場力は確実に強くなった。例えば、中野坂上(東京都中野区)に本拠地を置く大手営業事業部NB営業部NB2グループは、2015年春から日本橋サテライトオフィスを活用し、お客様への訪問件数が65%増えた。広域営業の移動効率を飛躍的に向上できたことが大きい。

同グループの一員として、銀座や日本橋エリアの顧客を担当する安達りさは、「中野坂上から営業先へ向かうとなると電車で片道約40分かかりますが、日本橋オフィスからなら歩いていける距離。ここを拠点に営業活動を行うことで、今まで以上に多くのお客様を訪問できる。カストマーエンジニアにも相談しやすくなり、お客様からの宿題やご要望にスピード感を持って対応できるようになりました」と語る。

彼らがICTツールを活用したモバイルワークを実践する姿は、その場でライブショールーム化する。それを見て、当社のソリューションに興味を持ってくださるお客様も少なくない。

お客様への価値提供もさらに充実

富士ゼロックス株式会社
大手営業事業部
東京第一営業統括 部長
石田 智行

サテライト勤務者を受け入れる側である日本橋オフィスの従業員も、今回の取り組みから多くを学んだ。中でも糧となったのは、2015年のオフィス開設や2016年7月の増床に向けて、現場の従業員が中心となってオフィスレイアウトを検討してきたこと。「この経験のおかげで、今まで以上に実感をこめてお客様にワークプレイス変革の重要性を説明・提案できるようになった」と、携わったメンバーは口をそろえる。

東京第一営業統括 部長の石田智行は、その狙いをこう説明する。「お客様の課題解決にとって何が必要なのか、その答えは常にお客様の中にあります。私たちは、自分たちが実践した変革の道筋をお見せすることで、お客様自身が答えを見つけるお手伝いをしているのです」

2割省スペースでも快適なオフィスづくり

日本橋オフィスの床面積は移転前と比べて、502坪から395坪へ約21%縮小した。袖机をなくして机の横幅を一人あたり120cmから80cmに変更。その代わりに、個人用ロッカーを壁際に設置して私物を収納できるようにした。必要な書類は極力電子化して文書管理システムに格納(DocuShare注2)。段ボール120箱分の書類を移転前に廃棄した。席はフリーアドレス制を導入して、フロア空間のフレキシブルな活用を実現し、サテライト勤務者用の席を追加しても狭さを感じることはない。ごみの分別や紙の再利用を促進するためのリサイクルステーションを各フロアに設け、環境にも配慮している。

働き方の変革を通した業務生産性向上による省時間やモバイルワークによる省資源・省移動などに加えて、このような省スペースの実現はオフィスにおけるCO2削減にもつながっている。

  • 注2 部門レベルから全社レベルまで、多様なコンテンツ・マネジメントを効率的にサポートする文書管理システム。

変革により創造的な時間が増加

大手営業事業部
NB営業部 NB2グループ
グループ長
津司 仁

変革の成果は数値にも表れている。お客様面談など営業先に対する活動時間は1.8倍に増加した一方、総労働時間は11%減少した。また、業務のムダを減らし、時間に余裕が出てきたことで、思考やコミュニケーションに割ける時間が増えたことも、働き方変革の収穫の一つだ。

NB2グループのグループ長を務める津司仁は、「メンバーは新しく自己啓発に取り組み始めたり、家族で夕食を楽しむ機会を増やしたり、それぞれ終業後の時間を有効に活用しているようです。そうした私生活の充実を反映してか、士気も高く、職場は活気に満ちています」と変化を実感する。

高いモチベーションの根底には、自分が提案する機器やソリューションがお客様の役に立ち、ひいてはお客様をはじめ世の中で働く人々の働き方を変革することにもつながっていくという自負もある。「モノを売るのではなく、お客様の課題を改善しようという会社の思いは、現場にもしっかり浸透している」と津司は胸を張る。

営業一人あたりの1日の活動内訳

お客様の共感を呼ぶソリューションを提供

養命酒製造株式会社
経営管理部
情報システムグループリーダー
谷村 孝之氏

400年以上の歴史を誇る老舗企業が、当社のソリューション提案を通じて変わり始めている。東京第三営業統括AS営業部が担当する養命酒製造株式会社様は、持続的成長を目指し主力の養命酒ビジネスを核に一般食品業へ事業領域の拡大をすすめている。そのために、これまでの従業員の意識、そして企業文化を変える必要があると考え、ITを有効活用した新しい働き方の基盤づくりに取り組み始めた。

経営管理部情報システムグループリーダーの谷村孝之氏は言う。「新しい働き方の基盤づくりの検討は最初手探りでしたが、日本橋オフィスの言行一致事例や実績豊富なソリューション提案を幅広く見せてもらったことで、ゴールまでの道筋を具体的にイメージできるようになり安心感が得られました。また、当社に最適なIT環境をあらゆる選択肢からコーディネートして総合的に提案してくれたことも大きい。さらに、私たちが魅力を感じたもう一つの点は、案件担当チームのレスポンスの速さと的確なコミュニケーション。このプロジェクトが短期間で本番運用までこぎつけることができた大きな要因だと思います」

富士ゼロックス株式会社
大手営業事業部 事業部長
山田 利雄

紙文書やフォーマットの違う電子文書を一元的に扱うことができる「DocuWorks」は、複合機やPCと連携した運用により社内文書の活用度を一気に向上させて、会議のペーパーレス化に加え、記録や保管に至るまで多くの社内コミュニケーションを変え始めている。

「構築フェーズ後はしっかりと運用を根づかせ狙った効果を継続させることがポイント。富士ゼロックスには、全社の働き方を変え、企業文化を進化させるためのパートナーとなってくれることを期待しています」と加える。

大手営業事業部 事業部長の山田利雄は、「お客様の反応にも変化が表れていることを感じています。しかし、働き方変革への取り組みは、やっとスタートラインに立てたようなもの。私たちの事業を通じてお客様に感動を与えられるようなダイナミックなソリューションに仕立てあげたい。当社が狙う頂はまだまだ先にあります」と手応えを感じつつも今後の意気込みを語る。

働き方変革は「量」から「質」へ

7年間にわたる働き方変革は、ワーク・ライフ・バランスの実現からお客様への価値提供まで多方面で成果をあげた。今後、この取り組みをさらに進化させていくためには、労働の量(時間の長短)ではなく質(生んだ価値の大きさ)を評価する制度と、それを許容する風土も必要だ。そのために石田は、ソリューション・サービス開発本部と研究技術開発本部の協力を得て、Eメールの相手や頻度などコミュニケーションの中身に踏み込んだ業務の質の見える化にも着手する方針だ。

もともと当社の働き方変革やソリューションは「人を中心としたコミュニケーション」に主眼を置いている。働き方変革によって生み出された創造的時間をお客様や関係するメンバーとのコミュニケーションに費やすことで、個に蓄積された「暗黙知」を循環させて共有し組織全体の知へと高めたり、対話や交流を活性化させ新たな価値を生み出したりすることが狙いなのだ。また、営業自身がこのプロセスを体験することで、顧客の期待を上回る、驚きと魅力にあふれた提案も可能になる。

「今後も働き方変革を推進し、生産性向上やダイバーシティの推進といった社会課題の解決に貢献するとともに、従業員一人ひとりが成長の実感と喜びを実現できる環境の構築を目指したい」と、石田は決意を語る。

富士ゼロックス株式会社
取締役 専務執行役員
柳川 勝彦

社会課題が複雑化・高度化する中にあっても、私たちが継続的な事業成長を遂げていくためには、社会に対する提供価値を常に進化させ、さまざまな要請や期待にしっかりと応えていかなければなりません。そこで必要になるのは、従業員一人ひとりが志を高く持つこと、そして広い視野と高い視点を身につけることです。プロセスの可視化やコミュニケーションの価値向上は、まさに当社が長年培ってきた強みのひとつ。ステークホルダーに喜ばれ、社会課題の解決にも貢献できるイノベーティブな提案を次々と生み出せる会社にしていくためにも、個や多様性の尊重を基盤として、従業員の能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めていきたいと考えます。

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