強固な経営の基盤

対象とする社会課題
  • 社会からの企業の事業プロセスに対する要求の高まり
  • 情報化社会の進展にともない増大する、情報漏えいや改ざん・消失などのリスクへの対応

取引先への取り組み

目指す姿

取引先との共存共栄の精神のもと、サプライヤーエンゲージメントを盤石にして、競争力のあるサプライチェーンの強化を目指します。

当社の基本的な考え方

富士ゼロックスは、財務などの経済側面に加え、環境、社会、企業統治などのCSR側面にも配慮した調達により、環境、人権・労働、企業倫理などの社会課題の解決に対し、グローバルに寄与します。

当社は、取引先企業を「理念・方針を共有するパートナー」と位置づけています。当社と取引先がCSRに関する価値観を共有し、環境、人権・労働、企業倫理に関するリスクを話し合ってそれらを最小化し、共存共栄の関係を築いて両者の競争力を高めることを狙いとして、CSR調達活動をグローバルに推進しています。

取り組みの経緯

富士ゼロックス株式会社
執行役員 調達本部長
佐藤 義和

当社は、取引先との共存共栄を実現しながら生産ラインストップを低減することを目指したCSR調達を推進してきました。そして、この取り組みが当社の品質、コスト、納期などの改善にも貢献していることの裏づけが取れるようになりました。

2016年度も引き続き、取引先に当社の調達方針に関する理解の継続とCSRの取り組みを強化いただき、さらに強いサプライチェーンを実現していきます。

[経営重点テーマ] 競争力の強化につながる自社生産拠点でのCSR実践強化/CSR調達の拡大および強化 サプライチェーン全体を責任範囲としたCSRの推進と、事業地域に根ざした持続的な事業展開

当社の活動の特長

当社は、サプライチェーンの競争力向上のためには、取引先にCSR経営の重要性を理解して改善し続けていただくことが大切と考えています。当社の取引先の経営トップから実務者に至る皆様とのコミュニケーションを密に行い、CSRの重要さや改善の必要性について理解をいただきながら、サプライチェーン全体でのCSRの取り組みレベルの向上を目指しています。

CSR調達をすすめるにあたっては、説明会やトップセミナーの開催、マネジメント・ガイドラインやCSRセルフチェックリストの展開、訪問確認の実施などにより、取引先の納得性や実効性の高い改善活動を支援しています。

CSRアセスメントの仕組み

2015年度活動の実績

当社の主要生産拠点がある中国華南地区では、ストライキなど生産工場のトラブルが多く発生しています。当社はこれまで、取引先の経営の現状を把握して改善につなげるため、華南地区に重点を置いたCSR調達の取り組みを実施してきました。

富士ゼロックスシンセンでは、取引先のCSRリスクに起因するラインストップが、安定操業・安定供給の面で課題となっていました。CSR調達活動を通じて、取引先に労務管理などの改善を継続的にすすめていただいた結果、2015年度には、取引先のCSRリスクを原因とする富士ゼロックスシンセンのラインストップ時間がゼロになりました。

一方で、昨今、中国華南地区に加え華東地区の生産工場においても、環境や人権・労働などの問題に起因するトラブルが多く報じられるようになりました。また当社が取引先拡大をすすめているASEANでも、同様にトラブルが増加しています。そのため、当社にとってもこれらの地域でのCSR調達の重要性が高まっています。また、当社のお客様からは、当社の生産拠点におけるCSRの取り組みに関してもレベルアップの要請が強まりました。

そこで、富士ゼロックスシンセンで培ってきた「自社生産拠点のCSR」および「CSR調達」のノウハウを華東・ベトナム地区の拠点へさらに展開強化することにしました。そのスタートとして2015年8月に、生産拠点・調達拠点、富士ゼロックス生産本部・調達本部・本社のCSR推進者が富士ゼロックスシンセンに集まり、「生産・調達・本社のキーパーソンによるCSRセッション」を開催しました。セッションでは、当社のCSRの理念を再確認するとともに富士ゼロックスシンセンの生産ラインを自拠点や取引先拠点に見立てて、問題点の確認方法や指摘方法について実践しながら学びました。加えて、拠点を超えた関係者間連携を強化していくことを確認しました。

取引先のCSRリスクに起因する富士ゼロックスシンセンのラインストップ時間の推移

セッションアジェンダ

  • 1日目: CSRへの理解【講義・チーム討議】
  • 2日目: 海外生産拠点に求められるCSRへの理解【講義・模擬監査・チーム討議】
  • 3日目: CSR調達の重要性と取引先への活動【講義・模擬訪問確認・チーム討議】
  • 4日目: CSR活動強化に向けた海外各生産拠点・調達拠点のCSR推進者による改善計画策定【チーム討議・発表】

2016年度活動の概要

中国華東地区およびベトナム地区の生産拠点のCSR経営、および両地区におけるCSR調達の取り組みを強化します。

  1. 富士ゼロックスハイフォン(ベトナム)および富士ゼロックス上海において、生産拠点のCSRの管理体制を再構築します。
  2. ベトナム地区と華東地区の取引先に対しても、環境、人事等の専門スタッフによる訪問確認の仕組み化に向けた活動をすすめ、取引先の実態把握と改善の支援を段階的に強化します。

事例(1)

取引先向け環境・安全衛生・労務管理実務セミナー

2007年に開始したCSR調達の取り組みの中でも特に、富士ゼロックスシンセンの取引先に対し、環境、人事等の専門的なスタッフが取引先を実際に訪問し改善点のアドバイスをすることによって、多くの取引先が改善しました。

取引先からは、さらなる改善のアドバイスをより多くタイムリーに実施してほしい、と求められています。しかし、当社のスタッフが取引先を1社ずつ訪問する方法のみでは、訪問する件数を増やせずアドバイスの提供を広げられません。

そこで富士ゼロックスシンセンでは、取引先の訪問に加え、2014年度より「取引先向け環境・安全衛生・労務管理実務セミナー」を開始しました。これは、取引先生産拠点のトップや管理責任者に集まっていただき、当社のスタッフが環境、人権・労働、企業倫理に関する取り組みや新しい法規制などへの対応方法といったノウハウをお伝えするものです。初年度はまず安全衛生のカリキュラムを3講座用意し、取引先の管理責任者を招きました。取引先からは、「すぐに改善の取り組みに役立つ」など、本セミナーに対して高い評価を得ました。

2015年度は、労務管理や環境保全などのメニューや、当社が従業員に提供してきた支援プログラムの説明を追加するなど本格化し、11講座(13回)を用意。取引先の管理責任者(のべ1,000人以上)にノウハウを提供しました。自主参加の勉強会にもかかわらず、取引先からは多数の申し込みをいただき、全メニューにおいて98%以上の高い満足度を得ています。2016年度は、管理システムなどの新たなメニューを用意して、継続強化します。

実施日 メニュー
2015年5月 安全管理
2015年6月 労務管理—会社ルールの制定と管理
2015年8月 職業健康と安全管理
2015年9月 環境保全の基礎知識
2015年10月 労務管理—未成年ワーカー、妊娠・出産・育児期の女性社員および派遣社員の管理
2015年11月 職業健康と安全管理
2015年12月 環境に関する法律の概要
2015年12月 賃金・労働時間の管理
2016年1月 温室効果ガス排出量の算定とレポートの方法
2016年1月 消防安全の管理
2016年2月 排気・廃水・固体廃棄物の処置と管理

事例(2)

紛争鉱物問題への対応

当社は、紛争鉱物問題を重大な人権問題の一つと認識しています。当社の「購買取引の基本方針」において、紛争鉱物問題に真摯に対応することを明言しています。また、当社はJEITA注1の「責任ある鉱物調達検討会」に参加して、人権侵害に加担しないための合理的かつ効果的な施策を他社と共に検討しています。

米国証券取引委員会(SEC)は、米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)1502条に基づき、2014年以降毎年、SEC登録企業に鉱物の来歴調査の結果を報告する義務を課しています。当社はSEC登録企業ではないため、報告の義務はありません。しかし、当社のサプライチェーンにおける武装勢力の介在有無を明らかにしていくため、また複数のSEC登録企業のお客様の調査に協力するため、2013年より鉱物来歴調査を行っています。2015年の調査では、一次取引先からの回答回収率が97.3%と2014年の調査(92.4%)から向上しました。武装勢力の介在を示す情報はありませんでした。また、当社における紛争鉱物問題の対応ノウハウをお客様にご活用いただく例も出てきました。

2016年以降の調査では、回答回収率の維持とさらなる回答精度の向上に努めます。

  • 注1 JEITA: 一般社団法人電子情報技術産業協会

[経営重点テーマ] 人権の尊重 富士ゼロックスの人権に対する考え方

当社は、社員行動規範において、人権の尊重と差別の禁止を重要な理念として定めています。また、富士フイルムグループの人権への取り組みの基本精神として、「富士フイルムグループ企業行動憲章」の中にも、「あらゆる人権を尊重する」ことが定められています。

当社では毎年、富士ゼロックスおよび関連会社の全従業員を対象とした行動規範教育を実施しており、人権全般、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、メンタルへルスなどに関する教育を実施しています。また、新入社員研修や新任マネージャー教育などの階層別教育の中でも、行動規範教育を実施しています。

加えて、人権啓発標語の募集や各本部長への年2回の人権に関する機関紙の配布などを通じて、人権意識の向上に努めています。

さらに、サプライチェーンについて、特に海外において児童労働、強制労働などの人権侵害が発生しないよう、CSR調達の仕組みの中で取引先への要請と当社による評価の徹底を図っています。

富士ゼロックスは、今後も人権侵害の防止と人権意識の向上に努めます。

[経営重点テーマ] 情報セキュリティーの徹底 自社やお客様の重要情報の、情報セキュリティーリスクからの確実な保護

当社の活動の特長

サービス&ソリューション領域の進展にともないお客様の個人情報や機密情報を扱う機会が増大している現在、当社は情報セキュリティーの徹底を経営の重要テーマの一環としてとらえています。商品やサービスにおける対策だけではなく、情報資産を安心してお預けいただけるよう、社内のガバナンス強化などさまざまな取り組みをすすめています。詳しくは別途発行している情報セキュリティ報告書をご参照ください。

2015年度活動の実績

サイバー攻撃への関連部門横断チームCSIRT注2により、ぜい弱性対応および事故発生時のマニュアルを整備しました。また、サービス商品のセキュリティー品質確保のための点検・評価、重要情報委託先のセキュリティー関連情報の一元管理を行いました。

  • 注2 CSIRT: Computer Security Incident Response Team

2016年度活動の概要

情報セキュリティーの機能集約・全社連携を目的に総務部内に「情報セキュリティセンター」を構築し運用を開始します。内部不正や商品品質・サイバー攻撃など、内外の脅威に対し未然防止と有事対応の視点で課題を抽出し、対策を推進します。

事例

リスクマネジメント・カウンシル

上記活動に加え、2015年度は中国およびアジア・パシフィックの販売会社の情報セキュリティー強化を目的とした活動を行いました。7月にはリスクマネジメント担当者が集まる会議を横浜で開催し、情報セキュリティー事故報告の徹底依頼を行いました。また15,000名を超える従業員に対して情報セキュリティーのWeb教育(英語・中国語・タイ語・韓国語)を展開、情報区分や事故発生時の対応について周知を行っています。

このような取り組みの結果、2015年度には情報セキュリティー事故に至るおそれのある情報まで含め、きめ細かく報告されるようになりました。今後も国内外のセキュリティー事故発生数削減と新たな脅威に対する施策について、Web会議による定期的な情報交換も取り入れて、引き続き取り組んでまいります。

サステナビリティレポート2016アンケート