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デジタル化の波

1980年代は、情報化・デジタル化が始まった時代でした。企業ではOA化や情報系のネットワーク整備が進められ、情報活用の可能性が広がっていました。ここでは、1989年に発売されたデジタル複合機Ableシリーズについてご紹介します。

複写機市場の成熟

富士ゼロックスにおいても、デジタル化は新たな価値を提供する好機でした。すでに成熟化していた複写機市場では、モノクロコピー単価が下落し続け、値引きによる競争を避けるには、新たな価値を提供する必要がありました。それが、デジタル化です。デジタル化は、複写機機能の複合化(ファクシミリ、プリンター機能の追加)を可能とします。すでに業界では、競合が1987年にオフィス向けデジタル複合機を発売して先行しており、これに追い付くことが急務でした。

デジタル複合機Ableの開発

しかし、デジタル化には営業・生産の両部門から強い反対の声がありました。当時はまだICが高価で、これを多用するデジタル複合機は、同性能のアナログ複写機より原価が大幅にアップするからです。しかし、開発陣は自らASIC(特定用途向けIC)を設計するなど、コスト削減の努力を重ねていました。そして、経営トップの「多少のコストアップは甘受し業界をリードする」という決断により、デジタル化推進の方針が決まり、その最初の成果が、デジタル複合機「Able」でした。

1989年1月に発売した「Able3010」は、デジタル複写機能をもつ普通紙レーザーファクシミリです。それまでのファクシミリのコピー機能と違い、書籍原稿からのファクシミリ送信とコピーを可能にするブックプラテン機能がついており、コピー速度もA4毎分11枚と普及型の複写機に匹敵するものでした。記録方式にはレーザーゼログラフィー技術を採用して、400dpiの高画質を実現するとともに、メモリーを利用したデュアルアクセス機能をもち、通信とコピーの同時処理も可能でした。また、開発工数の削減を通じて開発期間の短縮とコストダウンを図り、その結果、複合機としては初めて100万円を切り、発売も予定より約4カ月早めることができました。

「Able」シリーズの市場における評価は高く、複合機としての設置スペースの有効活用はもとより、常時稼働を求められるファクシミリとしての高い信頼性は十分なお客様満足を獲得しました。

デジタル化と1パス2カラーという技術的難題への同時挑戦を成功させた1991年発売の「Able1301α」は市場の評価も高く、1992年7月の電子写真学会(現・日本画像学会)において、「1年以上にわたって市場でよい評価を受け、かつ1パス2カラー技術に新規性、革新性が認められ、電子写真技術の進歩に大きく貢献した」との理由で技術賞を受賞しました。1パス2カラーは、1度の読み取り・紙送りで、2色同時コピーを行う世界初の試みで、同方式により、白黒コピーと変わらないコピー速度が実現しました。

Able3010