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エンジニアリングシステムの広がり

1980年代後半は、業務環境のIT化により業務効率は向上しつつありましたが、紙文書と電子文書の一貫した管理や業務システムとの間には、さまざまな技術的課題を抱えていました。ここでは設計図面の管理や出図を統合的に扱えるシステム「EDMICS(Engineering Drawing Management and Information Control System)」についてご紹介します。

EIS(Engineering Information Systems)構想

1987年当時、エンジニアリング市場を担当していた事業部では、オフィスシステム分野のXINS(Xerox Information Network System)構想に触発されたEIS(Engineering Information Systems)構想注1を打ち立て、その具現化に向けた検討を開始していました。EIS構想の1つとして、スキャナーによる紙図面の電子化、CAD図面や部品表などの技術情報のデータベース化(保管・管理)、さらに検索による図面の修正や出図を容易におこなうことができる、統合図面管理システムの必要性が強く求められていました。

統合図面管理・出図システム「EDMICS」の開発

富士ゼロックス社製のワークステーション「J-Star」に匹敵する独自システムを、エンジニアリング市場にも欲しいという営業部門や製造業のお客様の大きな期待と要請に後押しされて、開発プロジェクトがスタートしました。そして、1989年9月に、設計図面の編集、データベースへの登録、検索、転送、出図など、図面管理にかかわる作業を、すべてネットワークを通じて自在に行える、世界でも画期的な統合図面管理・出図システム「EDMICS」を発売しました。
「EDMICS」は、スキャン操作や編集操作、データベースへの登録、検索抽出、出図操作など、技術情報の保管・管理・検索・印刷に必要な一連の操作をクライアント上のデスクトップで行えるようにデザインされた典型的なクライアントサーバーシステムで、企画から商品化までの全てを独自の技術で成し遂げた富士ゼロックス初のシステム商品でした。扱う情報の単位は最大で3×A0ラスター画像に対応できるものとし、クライアントユーザーに快適な操作性能を提供すること、および、保管情報量の規模には制約を設けず、クライアントとサーバーの増設により、大規模な基幹システムを構築できるようにすること、などを目指しました。また、世の中の標準技術(規格やプロトコル)により実現することで、数十年を経ても保管情報自体の互換性・転用性・可搬性を保証することも重要な設計思想のひとつでした。
CAD図面と手書き図面を一括して管理できるため、必要な図面の検索が格段に容易になったほか、編集時の修正などの工数を大幅に削減できました。また、図面そのものと属性データを関連づけて管理することで、検索や一括訂正を通じて部品の発注ミスなどを防ぐこともできました。「EDMICS」は、図面管理に多大な労力を割いてきたユーザーに歓迎され、図面管理を含むシステムインテグレーションに欠かせないシステムとして浸透し、富士ゼロックスのエンジニアリングシステムの主力商品となりました。そして日刊工業新聞社から「1989年日刊工業新聞社十大新製品賞」を受賞することができました。

EDMICS構成例