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ワークステーション事業の立ち上げ

1980年当時、オフィスではワープロやPCなどが急速に普及していたものの、業務全体の効率化はなかなか進展していませんでした。こうした状況に着目して開発された、富士ゼロックス独自の情報ネットワークシステム「8000 INS」と「J-Star」についてご紹介します。

システム分野の事業拡大

システム事業分野のなかでも、富士ゼロックスがこの時期に特に将来を期待した事業がOA関連の総合的なシステム化でした。それは1982年に発売した商品群「8000 INS」であり、その核となったワークステーションが「J-Star」でした。「8000 INS」は、ワークステーション、サーバー(ファイルサーバー、プリントサーバー、コミュニケーションサーバー)、ネットワーク機器等の商品群で構成される情報ネットワークシステムです。

「8000 INS」および「J-Star」の開発

富士ゼロックスは、1981年にXINS(Xerox Information Network System)構想を発表し、翌年に「8000 INS」を発売しました。これは、1977年からゼロックス社と富士ゼロックスが共同開発してきたもので、富士ゼロックスは日本語化などを担当しました。
「J-Star」は、"世界初"の革新的技術を満載した画期的な商品でした。それまでのワークステーションでは専門知識がないと困難であった文書や図形、グラフの作成・編集、ファイルの分類・保管・検索・Eメール・プリントなど一連の処理が、非常に容易にできたのです。これらは、当時はきわめて画期的な技術といえました。また、「誰でも覚えられる操作」をコンセプトに開発され、画面を机の上になぞらえるデスクトップ思想、アイコン、マウス、マルチウインドウ、ビットマップディスプレイ注1などを備えていました。これらの技術は、ゼロックス社のパロアルト研究所(Palo Alto Research Center:PARC)において、1973年の「Altoコンピューター」の開発以降生み出されてきたものでした。アップル社のスティーブ・ジョブズ氏がPARCを訪問した際、マウスやアイコン等の多くのアイデアのヒントを得て、後にMacintoshに活かしたことはよく知られています。このように「J-Star」は、MacintoshやWindows®の先駆となる操作性とネットワーク機能を実現しており、「8000 INS」のユーザーは、1986年には約800社・約6,000台にまで拡大しました。
低価格で高機能という営業サイドの要求に応えようと、富士ゼロックス独自の開発によって1986年5月に発売したのが、普及型のワークステーション「6060」です。日本語ワープロ、表計算、グラフ作成および通信ソフトを利用できる統合ソフトを備え、文書の作成と図形処理を同時に一画面上で自由に処理できました。さらに、内外の商用データベースを検索したり、「イーサネット」に接続してファイルサービスを利用したりすることもできました。しかし、データ処理系が業務用計算には不向きであり、BASICソフトを搭載して強化したものの文書とデータとの統合処理ができず、また、標準セット価格が150万円と高価格であったため、超高級ワープロであるとの市場認識を脱することができませんでした。その結果、ワークステーション事業は赤字続きとなり、ついに1990年代に市場撤退しました。

ワークステーションFX6060