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不可視性と近赤外吸収性を両立させた色材技術

富士ゼロックスでは、印刷機やプリンターなどで出力された印刷物の付加価値を高めるひとつの方法として、目に見えない情報を埋め込み、それをスキャナーなどで読み取って活用することを検討しています。例えば、印刷物ごとに違う識別情報を埋め込んだセキュリティー用途への応用や、インターネット上のリンク先情報を埋め込み、スキャナー機能・通信機能を持つデバイスから直接アクセスできるようにするサービス用途などへの利用が考えられます。
これを実現するため、(1)近赤外光(850nm:センサーの読出波長)に大きな吸収を有すること、(2)可視領域(400~700 nm)に吸収が少ないこと、(3)耐光性を有すること、(4)化学物質として安全なこと、(5)製造に多大なコストがかからないこと、(6)扱いやすい顔料となりトナーやインキに利用できること、を要求項目として抽出し、色素分子材料の探索を行いました。
例えばいくつかの候補の中から、分子の極大吸収波長が810nm付近にあり、可視領域の吸収がほとんどない特徴を有するペリミジン系スクアリリウム色素を選択しました(図1)。次に、不可視性や赤外吸収強度などの要求性能を満足させるため、この色素分子の基本骨格に種々のアルキル置換基を導入して評価した結果、特定の立体的な分岐構造を有する置換基において、色素分子の結晶性が顕著に高まることを見出ました(図2)。合成時の収率および耐光性の向上にもこの置換基が大きく寄与し、実用に耐えうる近赤外吸収顔料が得られました(図3、4)。
この色材技術は富士ゼロックスの「Denshi-Pen」注1に利用されて、帳票の全面に情報を埋め込んでも高品質なドキュメントとして出力できています。富士ゼロックスでは今後、トナーにとどまらずインキを始め様々な印刷材料への展開を進めていく予定です。

図1 ペリミジン系スクアリリウム色素の合成
図2 結晶構造図(a 軸方向)
図3 テトラヒドロフラン(THF)溶液
および固体状態の吸収スペクトル
図4 不可視印刷を実現した反射スペクトル
(OKトップコート紙:王子製紙製)