ホーム > 企業情報 > 技術開発への取り組み > 卓越した商品、ソリューション、サービスを支える技術 > デジタルイメージング技術 > 印刷シミュレーション技術

印刷シミュレーション技術

近年の印刷市場は、オフセット印刷機だけではなくデジタルカラー印刷機を含め多様化が加速しています。印刷工程がフルデジタルへ移行するとともに、色校正も平台校正注1からデジタル校正へと変化しました。また、ハイブリッドワークフローとしてオフセット印刷とデジタルプリントの共存も進み始めています。富士ゼロックスでは、オフセット印刷工程における一貫した色再現と新しいワークフローへの適合性・効率化を追求しています。
印刷ワークフローの中で扱われるデータは、会社間や工程間等で印刷物のインキ総量注2やオーバープリント注3設定などの入稿ルールが定められています。お客様の意図する印刷物を制作し、予期せぬ印刷結果や後工程からの手戻りの防止のためには、印刷の前段階でこれらの入稿ルールがきちんと守られていることを確認することが重要です。そのため、要所で入稿ルールを確認するために専用ソフト(プリフライト注4ソフト)等を利用することが多くあります。しかし、チェック結果が文字列ベースのログファイルで作成されるため、直感的に分かりづらく、結果を正しく伝えにくいという課題があります。また、ログファイルを確認するためには、ある程度の熟練が必要です。実際に印刷した段階で問題が発覚すると、大量の印刷物が無駄になるなど取り返しがつかないトラブルにつながるため、印刷前の確認作業は非常に重要な作業となっています。そこで、富士ゼロックスでは印刷トラブルになる部分を直感的に確認できる機能として「警告機能」を開発しました(図1)。富士ゼロックスが開発したプリンターで印刷用データを出力すると、印刷トラブルの元になる部分を警告表示し、問題のある部分や原因をすぐに見つけることができます。これにより、事前に印刷トラブルの原因を正確に伝えることができます。また、印刷用データに問題がないときは、警告が表示されないため通常のプルーフ・カンプとして活用できるのも、富士ゼロックスの「警告機能」の特徴の一つです。これらの「警告機能」を実現するためには、他の印刷システムと富士ゼロックスのプリンターとの互換性を確保した上で、独自の機能を付加することが重要です。
「警告機能」は、以下の5種類に分類できます。

1.特色警告:特色(注5)が使用されている部分を警告色でプリントします。[特許:第4552662号] / 2.オーバープリント警告 モニターや通常のプリントで確認が困難なオーバープリントやトラッピングが指定されているオブジェクトを抽出、または警告色でプリントします。[特許:第4535141号] / 3.ヘアライン(注6)警告:設定値よりも細い線を抽出、消去、または警告色でプリントします。オフセット印刷で消えてしまったり、かすれてしまったりする可能性のある線を検出できます。[特許:第3925112号] / 4.RGB画像警告:RGB画像やCIE画像をプリント時に検出します。製版用RIPで適切に処理されない可能性のあるRGB、およびCIE画像を警告色でプリントします。RGBイメージやRGBオブジェクトなどのRGB画像はマゼンタで、CIE画像はシアンの警告色でプリントします。[特許:第4442634号] / 5.インキ総量警告:設定した数値以上のインキ総量になる部分を、警告色でプリントします。[特許:第4604623号] 図1:警告機能と警告内容

警告処理の流れを2つのパターンに分けて説明します。(図2)。処理1では、特色警告、オーバープリント警告、ヘアライン警告の処理を行います。まず、オブジェクト解析の結果から警告が必要な部分を検出、抽出、または消去するなど独自の処理を加えます。次に、その結果をAdobe® PostScript®インタープリター注7で描画処理させることで警告処理を行います。処理2では、RGB画像警告、インキ総量警告の処理を行います。Adobe® PostScript®インタープリターとCMSインターフェイスで、色空間解析をおこない、警告が必要な箇所を抽出します。次に、画像処理によって警告するオブジェクトをマゼンタやシアンなどの警告色に置換えます。インキ総量警告では、インキ総量の上限を画素ごとに解析し警告処理を行っています。これらの「警告機能」は、Adobe® PostScript®インタープリターとの互換性を確保した上で設計したことで、より信頼性の高いプルーフ環境の提供を実現しました。

図2:警告処理の流れ 図2:警告処理の流れ