帳票のトレーサビリティ技術

オフィスには帳票や書類を回付しながら仕事を行う、さまざまな事務業務があります。このような業務に対して、製造業の生産管理に広く用いられている「POP:現場データ管理システム注1」の考え方を適用して、現場データ注2を広く収集し、管理することができれば、業務状況の可視化と改善のPDCAサイクルを進めることが可能になります。しかし、製造現場で活用されているPOPシステムの導入には高額の投資が必要となるため、一般的な事務業務への導入は困難でした。

富士ゼロックスは、この課題を解決するために、得意とする文書処理技術を活用し、現場データを簡易に収集・管理し、進捗状況を可視化・集計するシステムを、安価に導入可能とする帳票のトレーサビリティ技術を開発しました。この技術により、進捗が停滞している事案や理由を早期に把握できるようになります。さらに、現場データの統計処理によるさまざまな分析によって、プロセスに関わる問題の特定と改善計画の立案の支援が可能となるため、事務業務の効率化と業務品質の向上が期待できます。
図1にこの技術の動作を示します。まず複合機で帳票にバーコード(追跡ID)を付与してプリントアウトします(1)。この時、プリントアウトした帳票上の各種業務データは、プリントデータを解析しバーコードと紐付けられてデータベースに格納されます(2)。次に、事務作業(受領や送付など)のたびに帳票のバーコードをリーダーでスキャンします(3)。この時も作業履歴をバーコードと紐付けてデータベースに追記します(4)。さらに、最新ステータスや進捗割合をデータベースで検索することができます(5)。

図1:帳票のトレーサビリティ技術を活用したシステムの基本動作

図2に帳票のトレーサビリティ技術の活用について、営業事務プロセスを例に示します。
全国の営業所・支店の送付部門で、業務システムからバーコードを付与した帳票をプリントアウトします。事務処理の各作業でバーコードを読み取ることで、帳票の送付・受領といった授受履歴をデータベースに自動記録します。帳票内容に不備があった場合は、受領部門から送付部門に帳票を戻したという授受履歴もデータベースに自動記録します。送付部門ではWebブラウザーからバーコードに紐づけて登録されている不備理由や再提出の期限を確認し、必要な対応をおこなった上で、受領部門(事務センター)に戻します。
このように、業務現場で発生するさまざまなデータや作業履歴を、バーコードに紐づけてデータベース化することで、Webブラウザーから最新のステータスや申し送り事項を確認でき、手作業でおこなっていた台帳の記録作業や進捗に関する問い合わせ対応作業が不要になります。さらに、帳票の送付件数や全体の進捗割合などの情報もタイムリーに検索できます。この技術を利用することで、これまで勘や経験を頼りに行ってきた作業量の予測、整員シフトや処理の優先度の調整などを、現場データに基づいて科学的に行うことができます。
この帳票のトレーサビリティ技術は、事務業務プロセスに対して個別開発を抑えて安価にその状況を可視化し集計するシステムを構築することができ、事務業務プロセスのスピード向上と品質向上に寄与します。

図2:帳票のトレーサビリティ技術活用例

  • 注1 POP:Point Of Productionの略
  • 注2 現場データ:現場で発生するデータ、または、現場の活動状況を反映したデータ