国立大学法人埼玉大学 副学長 津田俊信様

国立大学法人埼玉大学 副学長 津田俊信様

国立大学法人埼玉大学 副学長 津田俊信様

埼玉大学は埼玉県にある唯一の国立大学で、緑豊かな埼玉大学大久保キャンパスは首都圏を構成する埼玉県南部に所在します。全国の国立大学は、平成16年に全て国立大学法人として再発足し、大きな変革期を迎えています。国立大学では、意思決定の手続きとして様々な会議が開催されますが、埼玉大学では会議の効率化とコスト削減に向け電子会議システムが導入されました。埼玉大学の電子会議システムでは、富士ゼロックスのDocuWorksとDocuShareが採用されています。埼玉大学では教育や研究における様々な面で積極的にIT化に取り組まれておりますが、今回はその一つであるDocuWorks/DocuShareによる電子会議システムの導入についてお話を伺いました。

システム導入前の状況

埼玉大学では、学内の様々な組織の中で頻繁に会議が実施されています。会議は大学運営上の意思決定の仕組みとして必要ですが、多すぎる会議は意思決定の遅延にもつながり、その調和をどう取るかは法人化後の埼玉大学にとって重要な課題でした。また会議には会議用資料の作成やコピーが発生しますが、そのために多くの手間やコストがかかっていました。
そこで埼玉大学では、法人化を契機に会議の整理・削減を行ない、さらに迅速な意思決定・伝達を図るべく、教育研究評議会を手始めに平成16年度に電子会議システムを導入しました。

会議開催時に発生する大量の紙資料

電子会議システム導入前においては、会議開催にあたり会議の本番だけでなく、その準備段階や会議後においても資料が大量に作成/コピーされていました。重要会議の場合には事前打ち合わせなども開催され、そのための資料も作成されます。大学経営トップの会議である本部開催の会議終了後は、大学内の教授会や各種委員会などの下位の会議が開催されることも多く、この場合も会議資料がコピーされます。埼玉大学の正規職員数は、約800人ですが、会議により大学構成員のほぼ全員分へ資料の配布が行なわれることもあり、会議によって膨大な紙資料が消費されていました。
「単に紙の消費という問題だけではありません。国立大学の法人化後は交付金制度となり、大学が交付金の範囲内で自由にその使途を決定することになりましたが、当該交付金は毎年削減されることが予定されていることから厳しい経費削減策を講じなければなりません。しかし職員ひとりひとりのコスト意識を向上させることは容易ではなかったのです。」

重要会議の流れ

電子会議システムの導入に向けて

そこで埼玉大学では、この問題を改善すべく電子会議システム導入に向けて検討を行ないました。 限られた経費の中で、いかに効率的に電子会議システムを導入するか、特に初期投資としてのハード面の整備が問題となります。埼玉大学では、1.当面、会議室に参加者を集合させる会議の形態を継続すること、2.ペーパーレスとすること、3.過去の会議資料を保管・利用するアーカイブを作成すること、4.セキュリティの確保を重視すること、5.極力、時間と経費をかけずに実施すること、の5点を検討の視点に置きました。
その結果、会議室にパソコン端末を置き、それらパソコンを独立したネットワークで接続し、資料をペーパーレスの形で共有するシステムを導入することとしました。

DocuWorks/DocuShareの採用

埼玉大学では電子会議システム専用のソフトではなく、以下の観点を重視しソフトの選定を行ないました。 1.パソコン操作に習熟していない者でも容易な操作が可能であること、2.オリジナルを保持できること、3.セキュリティの確保ができること、4.簡単なメモを直接書き込みするなどパソコン上で紙と同一の作業が可能であること、5.様々な電子データや紙データを取り込むことができること。
様々なソフトを研究した結果、注目されたのが富士ゼロックスのDocuWorksとDocuShareです。

DocuWorks採用のポイント

学内の教員、職員が業務用として使用しているパソコンは、ハード、ソフトともに異なっており、過去に会議用として作成された資料も使用しているソフトがまちまちでした。このように作成された資料をパソコン上で展開するためには、これらを統合した文書管理ソフトが必要であると考え、様々な文書管理ソフトを以下の観点より総合的に比較検討した結果、DocuWorksを採用することとしました。

  1. 他機関での高い導入実績
  2. あらゆる電子文書の変換が可能
  3. 展開のスピードが早い
  4. スキャン機能が充実している
  5. 一覧性、視認性が高い
  6. 容易な操作性
  7. トータルなコストパフォーマンスが高い
  8. Adobe® Acrobat®など他社の文書管理ソフトとの親和性が高い
  9. 文書管理システムであるDocuShareとの連携で業務改善に繋げることが可能
  10. Viewer Lightとの併用で改ざん等の障害を防止できる
  11. 紙資料と同様に扱うための書き込み、ラインマーク、付箋などの機能が充実している。

「電子会議システム導入にあたっては、導入が事務改善の端緒となり、完全ペーパーレス化等に繋がるような発展性のあるものが望ましく、その点でもDocuWorksは適していました。」

システムの導入と効果

埼玉大学の電子会議システムは、第一段階としてDocuWorksを導入し、個人のパソコンを会議会場に持ち込んでの試行、第二段階として専用サーバーとLANを設置し、DocuShareを導入した本格実施、第三段階として会議室に全員分のパソコン端末を設置した当面の計画達成、という三段階で初期の会議システム導入の計画を完成させました。 ハード面では無線マイクシステムやOAフロア化も実施され、将来は大型プロジェクターの導入など段階的導入によって会議出席者の意識改革も図りながら近代化を推進する計画を検討されています。

「今回導入したDocuWorksは、大変よくできたソフトであり、会議出席者も早い段階から操作に慣れていただけたと認識しています。さらに発展段階でDocuShareを導入しましたが、セキュリティの確保と情報の共有化という、二律背反の課題を解決することができたと感じています。」

埼玉大学ではこのシステムを導入した結果、全学的には試算で年額約200万円の経費削減を達成しました。会議出席者も経費節減の必要性をより意識し、パソコン画面のみでも会議の進行に支障が無いことが証明されたことなど、意識改革にも繋がりました。またDocuShareによりいつでも情報を閲覧できる環境も整ったことで、情報の共有化も進行しました。

DocuWorks導入後の会議のイメージ

DocuWorksの感想

会議出席者や会議資料作成担当者などの感想をお聞きしたところ、以下の4点に集約されました。

  1. ソフト間の親和性
    大学内では、例として文書作成ソフトでもWordや一太郎が混在して使用されており、これらで作成されたオリジナルデータを簡単・迅速にDocuWorks文書に置き換えることができる。また、オリジナルデータを合わせ保管することができるので、これらの所在を検索する手間が少なくなった。
  2. 高い一覧性
    サムネイル表示により、文書の形式・イメージで該当文書を探すことができる。
  3. 紙資料に近い使い勝手
    特に枚数の多いデータの場合、「概ね何枚目」とか「中ほどの部分」などの指示でも画面上から該当部分に行き着くスピードが、紙資料と同じような感覚で操作できる。
  4. 膨大な紙資料を持ち歩く必要が無くなった。
    会議後、時として膨大な紙資料を持ち帰る場合もあったが、そのようなことが無くなった。

DocuShareの感想

DocuShare

平成17年4月からは、会議室に専用サーバーを設置し、DocuShareを導入して会議システムの本格稼動を始めています。DocuShareのメリットとして、以下の2点があげられます。

  1. セキュリティの確保
    平成17年4月からは、個人情報保護法が施行されていることなどもあり、セキュリティ等の観点から持ち帰り不可の資料に制限をかけることが必要となったが、それが容易にできる。
  2. 資料の共有化
    フロッピーなどでの電子データの複製では、逐次改定される資料の新旧混同が時として発生するが、会議当日に会場で資料をダウンロードし展開するので、会議出席者が完全に一致したデータを共有することができる。 また、過去の会議データや諸規則等をアーカイブしており、議事進行中でもそれらを容易に確認することができるようになった。

実際にお使いの方々の反響など

会議の開催は、準備段階から多くの職員が係わっています。最後にこれら会議担当者の声をあげておきます。

  1. 資料準備作業
    会議開催の前段階では、1.議題集約、2.資料提出、3.丁合、4.事前了解、5.事前打ち合わせ、6.最終資料セット、などの作業を行なっている。これら各作業では、コピー作業が伴う。結果として、同一資料でも複数のコピーが作成され、しかも最終確定までは、作業ごとに廃棄されている。電子データをベースにした作業では、これらをいわばバーチャルに行なっており、複製作業の省略、ひいてはコピー代金の節約になっている。実は、紙ベースでの複製作業は、大変な労力と時間をかけていたので大変助かっている。
  2. 会議当事者
    試行段階では、手持ちのノートパソコンを持ち込んで資料を媒体から読み込む作業を行なってから会議に臨んでいた。しかし、会議終了後、当該資料を電子データとして持ち帰って部局の関係者に周知徹底を図る際には、コピー機による複製作業がいらず、場合によっては電子メールで目的を達成することができるようになった。しかも紙ベースで起こりがちな丁合ミスや欠落などは発生しにくく、確実な意思伝達に大変有効と認識できた。本年度からの本格実施により、パソコン端末も設置され機器の持ち込みも不要となり、DocuShareからのデータ取り込みも迅速で会議本番での煩わしさもほとんど感じていない。部局での会議にも活用を検討している。
  3. メンテナンス
    試行段階は、個々のパソコンへのデータ取り込みを人的にこなしていたので、その点、若干の煩わしさを感じていた。本格実施により設置されたサーバーやLAN、専用端末などのハードの整備が完成したことから会議が自動化されたという感覚だ。今後は、セキュリティの確保などの課題を解決し、ネット環境と会議システムを連動させて一層の省力化の実現を期待している。

今後の展開

DocuWorksとDocuShareで実現したペーパーレス会議の様子

電子会議システムの導入は、本学の事務改善、特に事務のペーパーレス化の一環として行なわれたものです。したがって、今後の事務改善は、以下のような展開となると予想しています。

  1. 電子決裁の導入
    現在は、完全に紙ベースである決裁(稟議)をネットワーク上で実施する。
  2. 文書管理の電子化(完全ペーパーレス化)
    電子会議システムや電子決裁を実行することにより、保管文書を完全電子化する。
  3. 情報共有
    文書管理の電子化により、文書の電子的アーカイブを完成させ、これを共有することにより、情報の共有化を図る。
  4. バーチャル会議
    現在の電子会議システムを発展させることにより、バーチャルな電子会議システムを構築する可能性がある。

なお、これらを支えるため、光直收ネットワークと全学統一認証および検疫システムによる情報基盤の高度共有化を進めることとしている。