お客様導入事例 YKK AP株式会社様

概要

経営課題:持続的成長のため、商品の設計・開発における品質とスピードの向上が課題

人々の快適な暮らしに貢献するため、「窓」の性能・機能・品質の向上に努めてきたYKK AP株式会社様(以下、敬称略)。中期計画の中で発表した「商品力、提案力による持続的成長」のため、商品の設計・開発における品質とスピードの向上が課題でした。

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取り組み内容:品質と効率の向上のため確実な情報共有を実現する環境を整備

企画から発売までの各フェーズで確実な情報共有と効率的なDR(デザインレビュー)運営のため、開発ドキュメント管理システムを構築。新しい図面管理システムと連携させることで、確実な情報共有を実現し、設計・開発の品質と効率の向上に貢献しました。

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将来展望:さらなる効率化に向け、海外からの登録や試作業務のシステム化を検討

厳密なアクセス制限を実施して、海外との情報共有を実現しました。今後はさらに効率化をはかるため、海外からの図面の登録や、試作手配業務や試作業務管理のシステム化を検討していく方針です。

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サービス概要:商品開発の品質向上と効率化を、ソリューションで実現

開発部門で取り組まれていた、商品開発の品質向上と効率化をITで支援するため、開発・設計業務におけるプロセスの設計支援や文書・図面管理のIT化をお手伝いしました。

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事例詳細

快適な暮らしに貢献する「窓」の、性能・機能・品質の向上に努めてきた

開発本部 商品企画部 商品管理グループ 開発プロセス推進室長 森本 重久 様 開発本部 商品企画部
商品管理グループ
開発プロセス推進室長
森本 重久 様

当社はこれまで「窓メーカー」として、生活者に家の開口部の性能や品質をメーカーとして保証できるよう、サッシとガラスを組み合わせた「窓」を市場に送り出してきました。これは、「窓」を通じて生活者に安全で快適な暮らしを提供することが目的であり、国内で主要な建材流通店と連携して営業展開をはかってきました。

また、当社のデザインセンターでは世界中のトレンド情報を収集・研究し、ハウスメーカーがお客様に提供する住宅や街並みのコンセプト作りを支援してきました。近年では、窓に対する機能要件が大きく変わり、複層ガラスによる省エネやCO2低減などのエネルギー対応から、遮熱性や日射遮蔽、通風性の高い商品へとお客様のニーズがシフトしています。窓の性能に対する行政動向も、「ガイドライン」のレベルから2020年には「義務化」へと変わっていきます。

そこで、現在当社は省くエネルギーの「省エネ」ではなく、住宅設備や家電製品に頼らなくても快適な暮らしができる「小エネ(ローエネ)」を提案しています。窓を閉じたときの機密・性能はもちろん、窓を開けたときにも快適に過ごすことができることを追求したこの考え方は、「パッシブデザイン」という建築設計手法に通じています。

このように窓は、1年を通して快適な暮らしに貢献できる建材です。当社では、建築のトレンドや世の中の動きを踏まえ、つねに生活者のニーズにタイムリーに商品を提供し続けていきます。

商品力、提案力によるAP事業の持続的成長のため、設計・開発における品質とスピードの向上が必要

当社は中期計画の中で、事業方針として「商品力、提案力によるAP(Architectural Products)事業の持続的成長」を掲げています。この「商品力」で開発部門に求められていることは、商品開発における品質とスピードです。特に、2008年から防火設備の認定が「通則認定(仕様規定)」から「個別認定」に変わり、同一仕様の商品もすべて性能証明が必要になったことで、より厳密な検証が必要になりました。

そこで、当社は開発プロセス全体の再構築に取り組みました。ポイントは、以下の3つです。

  1. 各開発フェーズの責任者を明確にしDR(デザインレビュー)の結果と記録を残す
  2. 積み残し課題が解決しないと次工程には進めない
  3. 発売前に品質保証部門が最終仕様確認を行う

問題が発生したときには、その原因を求めて上流に情報をトレースすることにしたのですが、文書管理面では設計者のPCや机の引き出しに試作用図面や最終ドキュメントが保管されるという属人的な管理であり、担当が変われば分からないという課題がありました。一方、厳密な試作・検証のために増えた工数を低減するため、複数の工程を同時並行で進めるコンカレント開発にも取り組みました。しかし、結果的に最終図面でない状態で生産工程や販売準備工程が仕事を進めるため、コミュニケーション不足による仕様の違いや手戻りが発生し、逆に効率アップの阻害要因となっていました。そこで、最終図面だけではなく生産・販売準備に関わるすべての図面やドキュメントを一元的に共有・展開できる、環境の整備とシステム構築に着手しました。

商品企画から発売後の商品評価までを俯瞰(ふかん)して、DRの品質向上と効率化をはかる仕組みを委託

開発本部 開発推進室 技術管理リーダー 山口 敏彦 様 開発本部
開発推進室
技術管理リーダー
山口 敏彦 様

実は以前から、YKK AP独自に開発した図面管理システムを運用していたのですが、図面に付帯した開発ドキュメントの管理(特に開発段階からのドキュメント)、進捗に合わせた履歴管理および版管理、検討過程における図面の変更情報の閲覧などの機能はなく、これらの内容を新たに盛り込んだ場合、膨大な開発費用がかかることが予想されました。また、セキュリティーの担保も困難だと判断していました。

また、商品企画から量産開始までの業務で作成される会議開催案内、議事録、検討記録の登録が徹底されておらず、公式文書としての管理が必要でした。さらに、設計進捗に合わせて動的に公開範囲が変わるため、細かなアクセス制御も必要でした。量産開始後は、通達を基にカタログや商品情報などの公開情報として作り替えるため、正しい情報を管理する必要があります。

そこで当社は、文書や図面の管理に関するノウハウを豊富に持ち、関連システムの構築実績が多数ある富士ゼロックスに相談。設計・開発時に発生するすべての図面やドキュメントに関して、従来のように成果物としてできあがったものを共有するのではなく、開発段階から業務進捗ごとに順次公開していく仕組みの構築を委託しました。

当社から富士ゼロックスに伝えた主な要件は、企画段階から量産・公開までの業務進捗を統合的に管理できること。そして、各工程でのDRを徹底するため、設計・開発の進捗に合わせた会議開催やドキュメント配布、進捗ごとのアクセス制御を動的に変更が可能な、セキュアな環境の構築などです。

設計・開発の品質と効率向上のため、図面・ドキュメントをすべて共有する環境を実現

システムの構築にあたっては、当社から課題の改善に向けたさまざまな要望・意見を出しました。それを受けた富士ゼロックスの営業とSEからは、多彩なアイデアや他社事例の紹介をいただいたほか、ドキュメントに関する豊富なノウハウに基づいた提案力で、より良い着地点に導いていただきました。当社はサイズが異なる同様の商品が多くあり、使用する部品も多数あることから、管理方法もサッシ業界の独特な手法が必要でしたが、富士ゼロックスには当社の業務に積極的に入り込み、対応していただきました。

このような過程を経て完成したのが、設計・開発の各工程で発生するドキュメントを共有し、DRの品質と効率を向上させる開発ドキュメント管理システム「RAPID-Doc(to Reform YKK AP by using Integrated engineering Database)」と命名し、社内に徹底した利用を推進しました。そして、検討段階を含むすべての図面をセキュアな環境で管理し、情報公開までの期間を短縮する新・図面管理システムです。なお、開発ドキュメント管理システムは、開発本部でのISO9001取得時にも、文書記録の保管先として活用されました。これら2つのシステムは、統合情報管理システム「ArcSuite Engineering」を基盤として稼働しています。

2008年より稼働しているこの仕組みにより、企画から発売後の商品評価までの業務プロセスを俯瞰(ふかん)で見られるようになったほか、設計検討から量産までの情報共有が確実に実施できるようになりました。商品開発・設計の品質と効率を向上させ、確実に図面やドキュメントを共有できる環境が実現できたといえます。今後も、当社の経営戦略や付随する課題の変化にともなって、開発部門に求められることは変わっていくと思いますが、富士ゼロックスには引き続き改善に向けた提案など、継続的な協力を依頼したいです。

セキュリティーポリシーに合致した情報活用環境を作り、海外への情報公開も実現

開発本部 開発推進室 技術管理リーダー 山口 敏彦 様 開発本部
技術システム企画室
システム企画開発リーダー
青石 敏博 様

当社は、2011年の事業計画で「グローバル・ネットワークの促進」を決定しました。現在12カ国で展開している業務は生産が主ですが、これを設計へ移行することも検討してきました。そこで、2012年に計画立案し、2013年に「RAPID-Doc」内にある公開できる情報のみ、各国に展開できるようにしました。

この実現には、国内以上にセキュアな環境のほかに、低速ネットワークでも利用できる環境が必須でした。そこで、海外ユーザーは海外での閲覧のみ許可し、日本出張時の閲覧は不可。日本ユーザーは、海外出張時は海外ユーザーと同様に閲覧のみ許可。この厳密なアクセス制限を「RAPID-Doc」で実現したことで、現在は海外との情報共有ができています。

また、2014年秋から図面管理システムの海外公開も実施する予定です。このことで、企画開発から量産までの業務に関わる海外の担当者が、海外向けセキュリティーポリシーの中で、必要な情報を活用できるようになります。今後は、この情報活用を閲覧から登録へと、さらに進歩させていく予定です。

さらなる効率化のため、試作手配業務や試作業務管理のシステム化を検討

現在、DRの納期短縮に加えて、開発スピードアップがはかれたことで、設計者数を変えずに公的試験の追加対応となる性能試験を実施できました。次は、試作業務の効率化の実施を考えています。これまで図面管理システムによって、形材(押出断面形状)や部品の検討を設計上流へフロントローディングし、一定の納期短縮は実現しましたが、ここからより一層改善するためには、試作・試験において計画を遂行するための、本質的な課題への対策が必要だと考えています。そこで、試作手配業務のシステム化と試作業務管理のシステム化に関して、ノウハウや実績を踏まえたアドバイスをいただきたいと思います。

また、貿易管理などについて他社事例や提案から得たノウハウを紹介していただき、当社に「気づき」を与えてほしいと思います。そして、形材検討・部品検討といった開発の上流の業務から試作手配・試験という物づくりの工程まで当社の独自業務に深く踏み込んで提案していただけることを期待しています。

プロフィール

YKK APは、“窓・開口部”から建築空間の品質を向上させることに取り組んできた、日本有数の建材メーカーです。サッシ事業、窓事業を通じて新しい窓の在り方を追求している同社は、これまでにも使用エネルギーの軽減や空間の快適性向上など、顧客ニーズに沿い、または先取りした商品を輩出してきました。さらに、超高層ビルなどの建築分野では、カーテンウォールによるファサード事業を展開。つねに先端技術を追求し、窓技術の進歩に役立てています。

YKK AP株式会社
会社名 YKK AP株式会社
所在地 富山県黒部市吉田200(黒部事業所)
設立 1957(昭和32)年7月22日
資本金 100億円
従業員 12,000名(2014年2月末)
URL http://www.ykkap.co.jp/

ソリューション内容

商品開発の品質向上と効率化を、ソリューションで実現

YKK AP様の事業方針「商品力・提案力によるAP事業の持続的成長」を受け、開発部門では商品開発の品質向上と効率化に取り組まれていました。その取り組みをITで支援するため、今回、開発・設計業務におけるプロセスの設計支援や文書・図面管理のIT化をお手伝いいたしました。

富士ゼロックスが実施した内容は、以下です。

  1. 企画開発プロセスの業務定義
  2. 企画開発プロセスのIT化に向けた全体設計
  3. 「ArcSuite Engineering」を核とした、2システムの個別受注開発

     

    • 新規商品/改造案件を企画から量産立ち上げまでの企画開発プロセス(RAPID-Doc)
    • 詳細設計後から量産立ち上げまでの実装設計プロセス(新図面管理システム)
  4. 海外への設計業務を拡張するための基盤として、セキュアな環境での情報公開を実現

これからもYKK AP様の経営戦略の実施支援、経営課題の改善につながる提案や支援を、継続してまいります。

(左から)
富士ゼロックス北陸株式会社
ソリューションサービス本部
システムエンジニアリング部
部長
石瀬 寛
富士ゼロックス北陸株式会社
営業統括部
富山支店
大手営業課
炭元 崇志
富士ゼロックス中部株式会社
システムエンジニアリング部
業務ソリューショングループ
製造ソリューションチーム
城田 一真
富士ゼロックス北陸株式会社
営業統括部
富山支店
大手営業課 課長
氷見 崇

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  • 注記:事例の内容は2014年4月時点の情報です。

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