エディー・ジョーンズ氏
スペシャルインタビュー 第二弾

リーダーの勝利の哲学
エディー流
情報活用の極意

2012年から15年にかけて、ヘッドコーチとしてラグビー日本代表を率い、2015年ワールドカップ・イングランド大会で24年ぶりの勝利を日本にもたらしたエディー・ジョーンズ氏。現在はイングランド代表ヘッドコーチとしてチームを指揮し、今年2月から3月にかけて行われたシックス・ネーションズでは見事2連覇を達成しました。
そんなエディー氏の勝利の哲学のなかには、情報(=「知」)に対しての独自の活用術が存在しています。エディー氏はリーダーとして、チームビルディングに欠かせない有形、無形の情報をどのように活用しているのか――。
第二回のインタビューではビジネスの世界でチームを率いるリーダーも参考にできる、エディー流の「知」の活用術を紐解きます。

エディー・ジョーンズ氏プロフィール

【情報収集】

充分な準備と体験を経ることが正しい理解につながる

第一回のインタビューでとても印象深かったのが、「準備がすべてである」というお話です。「優れた計画をして、さらにその計画に柔軟性を持たせ、順応性があるかどうかを事前に確認できていれば、変化し得る環境下で何が起こっても素早く順応できる」ということでしたが、ラグビーワールドカップ日本大会が2年後に迫った中での来日(※)も、その“準備”の一環なのでしょうか。

※2017年8月上旬、イングランド代表コーチ、スタッフら6人とともに来日。1週間をかけてキャンプ地候補の宮崎や決勝会場の横浜市などを視察した。

エディー・ジョーンズ氏

おっしゃる通りです。
今回は代表チームのコーチやスタッフを連れてきました。彼らの多くは来日経験がないため、日本の夏は非常に暑く、どんな条件下の試合になるのか、この地で練習することの利点などを知っておくことはとても重要だと考えたからです。
合宿地はまだ確定していませんが、いずれは地域の方と交流も図る必要もあるでしょう。特に日本はとてもユニークな国ですからね。

スタッフの方から、日本に対して何かコメントはありましたか。

「日本人は絶対に本音を表さない」という話がありました(笑)。日本の方は何を聞いても“Yes”と答えますが、その“Yes”が“Maybe”や“No”を意味することもあるのだと実感したのでしょう。
実は今回の来日に備えて、スタッフには日本の政治、経済や社会システムを論評した「Japan The Paradox of Harmony」という本を渡していました。しかし、それだけで日本を知ることができるとは考えていません。
やはり、実際に日本に来てさまざまな体験をすることが、日本の文化や価値観を正しく理解することにつながりますからね。

2年後のワールドカップに向けて、イングランド代表と同組となるチーム(※)についてはどんな情報収集を行っているのでしょう?

※イングランドはC組に入り、フランス、アルゼンチン、アメリカ、トンガとの対戦が予定されている。

ビジネスの世界で各企業が研究・開発を行っているように、我々もさまざまな企業と協力して、情報収集やデータ分析を行っています。ただし、忘れてはならないのは“Sports is human”、スポーツは数字のゲームではないということ。データはこの目で見たものを判断する裏付けにはなりますが、我々の目的はスポーツを科学することではなく、人間(選手)への理解を深めることにあるわけですからね。
今はどこにいても簡単に情報に触れられる時代です。だからこそ、スポーツでもビジネスにおいても重要なのは、膨大なデータに優先順位を付ける術を知ることでしょう。より良い結果を残すためには、何が重要で、何が重要ではないのか、それを戦略にどう取り入れるのかを判断できなければいけません。