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「働き方改革」のはずが……「ジタハラ」になっていませんか?

成長/戦略

政府の号令のもと、「働き方改革」実現のために残業時間削減に取り組む企業が増えています。しかし、ただひたすら「残業するな」と社員に早く帰ることを促すだけでは、「ジタハラ(時短ハラスメント)」になりかねません。長時間労働の見直しは歓迎されるべきことのはずなのに、なぜ「ジタハラ」といわれてしまうのでしょうか。

「ジタハラ」によるパニックに注意!

かつて長時間労働がまん延し「不夜城」とまで呼ばれた東京都庁が、小池百合子都知事主導のもと、昨年10月から午後8時完全退庁を開始しました。同じように、働き方の見直しに動く企業・組織は増えています。

しかし、その一方で「働き方改革」の名のもと、時短を強要して社員にプレッシャーを与える行為は「ジタハラ」と呼ばれ問題になっています。

業務のやり方や量を見直すことなく、ただ単に「残業禁止」という方針を打ち出すだけでは、持ち帰り残業が増える、業務の品質が担保できないなど、「働き方改革」どころか現場にパニックを招くおそれがあります。

見せかけだけの「改革」がジタハラを呼ぶ

長時間労働の見直しは本来、歓迎されるべきことのはずですが、なぜジタハラを招いてしまうのでしょう。それは従業員の業務実態の把握が不十分で、単に労働時間の短縮を目的とした早期帰宅の強要が、主な要因として挙げられるのでは無いでしょうか?

したがって、「早く帰れ」というだけでは業務量は減らないため、かえって持ち帰り残業が増えるだけでなんの解決にもなりません。また、残業代が減ったことで企業にはプラスになりますが、手取りの給与が減る社員のモチベーションが下がる恐れがあります。

「ジタハラ」をせずに「働き方改革」を進めるには、業務のムダや人員の配置を見直したり、賃金体系や人事評価基準を見直して残業が減っても社員にマイナスとならないようにしたりするなど、抜本的な対策が必要なのです。

先行企業の事例:長時間労働の解決策は1つではない

長時間労働対策を打ち出し成功している企業では、労働時間の削減にともなった複数の解決策を併せて実行しています。先行企業の事例をみてみましょう。

結婚、出産・育児、介護での退職者ゼロを達成した富士通ワイエフシー

富士通ワイエフシー社は2006年、結婚・出産・育児などのライフイベントを理由に退職しがちな女性社員のリテンション(引き留め)を図るため、ワークライフバランス推進室を設置しました。

2007年度からは、育児や介護などの有無に関係なくすべての社員が利用できる在宅勤務制度を導入。施行開始から約4年後には、従業員351名のうち212名(約60%強)が利用するまでに至っています。週2回出勤すれば、在宅勤務日は各自が自由に設定できるそうです。

テレワークの導入により柔軟な働き方ができるようになり、女性の離職防止だけでなく、男性の育児休業取得、女性幹部の誕生、社員の再雇用などの後押しにもなりました。2009年には、結婚、出産・育児、介護を理由とした退職者数ゼロを達成しています。

経営面をみても、2008年にテレワークを大幅拡充して以降も業績に悪影響はなく、新卒採用の増加にもつながっているといいます。また、ITソリューション企業として、自社の取り組み経験を、顧客への提案にも活用しているそうです。

「100人いたら100通りの働き方」、多彩なキャリアを提案するサイボウズ

グループウエアの開発・販売を手掛けるサイボウズ社はかつて、長時間勤務や休日出勤があたりまえ、年間離職率28%と高い状況でした。しかし、人材採用や教育にかかるコストを考えると、人材のリテンションに取り組む必要があるとして、人事制度の抜本的見直しに着手しました。

サイボウズ社のモットーは、「100人いたら100通りの働き方」です。仕事は、一人ひとり異なる人生の一部に含まれるのですから、ライフイベントのタイミングや考え方で働き方が異なるのは当然です。同社では2007年から、「時間に関係なく働く」「多少残業をする」「定時・短時間で働く」というように、個人の状況に合わせて働き方を選択できるキャリアプランを導入しました。育児や介護がある社員だけでなく、キャリアアップのために学校に通いたい、体調が悪いといった理由でも活用でき、現在は9種類の働き方があります。

こうした取り組みの結果、離職率はピーク時の28%から4%に減少。さらに、女性社員比率も4割まで上昇しました。役員も10人中2人が女性で、1人は子育て中ということです。

最近は副業の解禁や、留学や転職で退職しても6年間は復職が可能な「育自分休暇制度」などのユニークな制度も取り入れています。

残業代を社員に返還!7期連続過去最高益のSCSK

ITサービス企業のSCSKは、2013年4月から「スマートワーク・チャレンジ 20」(後に「スマートワーク・チャレンジ」に変更)という取り組みを推進しています。「より効率的(スマート)に働き(ワーク)、目標(有給休暇20日取得、平均月間残業20時間未満)に挑戦する(チャレンジ)」という意味だということです。

同社では、社員が受け取るはずだった残業手当の減少分を、目標達成時にインセンティブとして支給することで社員に還元する仕組みを開始。2015年7月からはインセンティブ制度を廃止し、全正社員に残業時間の有無に関係なく34時間または20時間の残業手当相当額を、従来の所定月額給与に一律で上乗せ支給しています。

残業の削減というとしばしば「生活残業」の問題が指摘されますが、社員は労働時間を減るうえにインセンティブがもらえるので、導入当初から効率的な働き方を意識するようになったとのこと。2012年度に26時間だった月間平均残業時間は、取り組み後の2015年度には18時間まで減少しました。また、同期間の有給休暇取得率も、78.4%から95.3%に上昇し、完全消化に近づいています。

同社では給与体系見直しに加え、フレックス制度の導入や「どこでもWORK」と名付けた在宅勤務の拡充にも努めています。これは、業務改革、オフィス環境の整備、ITインフラ整備といった複合的な施策を実施したことで、実現できたといえます。

また、労働力が減るなかで企業競争力を維持するという目的から、女性社員の積極的な管理職登用などの女性活躍支援も行っています。その結果、30歳までの女性社員離職率が低下しました。

在宅勤務や柔軟な働き方を認めると、社員がさぼるのではという声があります。しかし、SCSKでは業績が落ちるどころか、2017年3月期には7期連続の過去最高益を更新しています。

IT業界は一般的に「長時間労働」「離職率が高い」というイメージがありますが、これらの事例のように、企業側が「働き方改革」に本腰を入れ、さまざまな抜本的対策を打ち出せば、改革と業績アップの両方を実現できるのです。

「働き方改革」は拙速厳禁

見せかけの残業時間を減らすために「早く帰れ」と号令をかけるのではなく、賃金体系や人事評価基準、業務内容などを複合的に見直し、社員のモチベーションを高めながら生産性を上げる工夫が必要です。そのためには、日ごろからの準備として場所によらず働けるペーパレス化(電子化)や文書管理、多様な働き方を許容する勤怠管理システム等ツールの導入組み合わせによる地道な業務改善が必要になります。

働き方改革に「拙速」は禁物。改革の成果が出るまで数年かかるかもしれませんが、企業側が本気の取り組み姿勢をみせれば、社員もそれに呼応するはずです。

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