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日本を支えるものづくり。世界のトップランナーの電子化事例から学べることは?

成長/戦略

新しいテクノロジーが次々と生み出されている昨今ですが、日本の産業の強みがものづくりにあることは今も変わっていません。今回は、世界のトップランナーの取り組みから、日本の製造業が進むべき道筋について考えます。

GE(ゼネラル・エレクトリック)の事例

世界最大の製造業の1社であるアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)は、1世紀以上の歴史を持ちながらも、老舗企業の座に甘んじることなく貪欲にイノベーションを追求していることで知られています。同社は「GE Open Innovation」によって世界中のベンチャー企業やアイデアを持った起業家と協業したり、進化の目覚ましい3Dプリンターを試作ではなく完成品のパーツ製造に使ったりと、斬新な取り組みを次々と実現させています。
そんなGEが目下掲げているのが「2020年までに世界でトップ10のソフトウェア企業になること」です。GEといえば、長年特に重工業の分野で知られてきた企業であり、この言葉に違和感を覚える人もいるでしょう。しかし、同社は今後のビジネスにおいてデータ分析(アナリティクス)やIoTの重要性がさらに高まり、事業成長の核をになうことを強く意識しており、そのために自社の方向性も大きく転換させようとしているのです。
同社が提供するインダストリアルIoTプラットフォームの「Predix」は、各機器に取り付けられたセンサーによって集積した情報を一元化。それだけではなく、複数のAI(人工知能)を搭載することによってデータから「何が読み取れるか」を自動的に導くことまでを目指しています(一部開発中)。先進的なERP開発企業の取り組みのように聞こえますが、想定されている使い道は、発電所や航空機のジェットエンジンのタービンの稼働を可視化しトラブルを未然に防ぐ、といったようなもの。つまり、これまでGEがハードの提供で強みを発揮してきた分野で、モノの活用をさらに推し進めた「コトづくり」を起こそうとしているというわけです。
このような顧客向けに提供する価値は、GE自身が製造業として培ってきたノウハウが生かされたものです。同社はこれまでにもタービンを作る自社工場で4,500個ものセンサーを導入し、生産状況を細部まで把握。収集した膨大なデータをもとに、製品としての最適な品質を得るまでの時間と手間を大幅に削減させています。また、先にも述べた3Dプリンターをジェットエンジンの部品製作に取り入れ、コスト削減・効率化を成功させた事例も、同社の「未来のものづくり」に挑む姿勢をあらわしているといえるでしょう。

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シーメンスの事例

ドイツを代表する企業、シーメンスもGEと同じく1世紀以上もの歴史を持った老舗の製造業です。同社はエネルギーや交通など、GEと重なる多くの分野で事業を展開しており、GEに次ぐ重電の大手として認知されています。そんなシーメンスも生き残りをかけて大胆な組織改革を実施、事業ポートフォリオの整理と電子化された高度なものづくりを行っています。
近年の同社の動きを語るにあたって欠かせないのが、ドイツが産官学一体となって取り組む国家プロジェクト「インダストリー4.0」です。このプロジェクトは、需要予測・生産・販売といった一連のものづくりのプロセスをつないでより効率的なサイクルを構築することで、ドイツの製造業の国際競争力を高めようとしています。シーメンスは、その目玉である「スマートファクトリー」をけん引する中心的な存在です。
スマートファクトリーでは、各機器にセンサーが取り付けられ、稼働状況が一元的に分かるだけではなく、そこから得られたデータをもとに次に発注が必要な部品の数量や、どこのラインの稼働率を上げるかといった事項を人間の手を介さずに決定することができます。この仕組みが正しく構築されれば、より速く低コストで製造を行えるだけでなく、急な需要変化にもフレキシブルに対応できるようになるでしょう。もともとFA(工場の自動化)に強かったシーメンスがここで力を発揮しているのは自然なことで、この仕組みが導入されている同社のアンベルク工場は、2015年の時点で工場操業開始時(1989年)の8倍もの生産台数を実現し、一躍有名になりました。また、シーメンスもGE同様、自社のものづくりから得たノウハウを外部に向けて展開しています。著名な例は、スペイン国鉄(RENFE)が運行する高速鉄道の導入事例です。同社は、15分以上の遅延に対してはチケット料金を払い戻す制度を実施しており、当然電車が遅延するほど損害が発生するわけですが、列車(シーメンス製)に取り付けられた数百種類のセンサーによって各種機器の稼働状況を監視し、故障を未然に防ぐことで、払い戻しを0.04%にとどめています。

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日本の製造業が進むべき道筋

上記の2つの先進的な取り組みについては、日本国内でも盛んに研究されています。経済産業省製造産業局による報告「IoTによるものづくりの変革」(2015年)は、「データ活用の観点から新しいビジネスサイクルが生み出される」として世界的な製造業変革の潮流を分かりやすくまとめた資料です。これをベースに、政府が検討する日本の製造業の道筋について追ってみましょう。
同報告書では、ベンチマークとしてここまでで紹介したアメリカとドイツの製造業の変革について言及しています。それぞれが自国の産業が持つ強みを生かした「ネットからリアルへ」(アメリカ)、「リアルからネットへ」(ドイツ)として対比させています。特に後者については、紙幅を割いてインダストリー4.0の取り組みを解説・分析しており、1つのポイントとして「標準化」を挙げています。さらに「我が国では、ドイツのように設計開発~生産現場までのデータプラットフォームを一括で供給できるプレーヤーが不足」とも指摘しています。
このような指摘はあっても、日本の製造業は全般的に時代遅れになっているということではなく、むしろ「ITを活用した生産自動化により、工場内の生産性向上の分野では世界をリード」しています。つまり、日本の製造業の現場はすでに高度なレベルにあるといえるでしょう。しかし、それらの現場はいまだ「大量生産を念頭に置いたもの」であり、さらには「自社で閉じたシステム」であることが問題なのです。先の事例を見ても分かるように、個々の機能を電子化していくことは決して最終形ではありません。GEもシーメンスも複数の機能が「つながる」ことで新しい価値を生み出しているのです。この「つながる」ために必要なのが標準化されたプラットフォームであり、さらにいうならば日本の製造業のノウハウを外部(他社・他国)に売っていくためにも「標準化」は欠かせない要素だといえるでしょう。

今後の人材育成にも欠かせない電子化

企業内でのIoTというと難しいイメージがありますが、現在手作業で行っているさまざまな作業を電子化していくことがその第一歩となります。また、電子化による効率的なワークフローは、社員がよりイノベーティブなアイデアを生み出す余裕を持つことにもつながります。経済産業省の資料でも標準化とあわせて新しい時代のものづくりに対応した人材育成について触れられており、そうした意味でも日本の今後のものづくりに電子化は欠かせない条件といえそうです。

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